指令文の作成方法と概要|公文書の書き方

指令文の作成方法と概要|公文書の書き方

指令文とは、行政機関がその権限に基づいて、申請又は願い出に対して許可、不許可等の行政行為、補助金の交付決定を行う場合、あるいは、一方的に相手方に対して特定の事項を命令する場合に発する文書に用いる文をいいます。

 

その内容は、住民の権利義務に直接影響を与える行為であり、その文書の内容が不正確だと、本来意図したものとは違う法律効果が発生してしまうことがありますので、形式や内容は、誤りのないように注意しなければなりません。
読み手によって解釈が異なるようなあいまいな表現や遠回しな表現は避け、客観的事実を明確に伝える必要があります。
「である」体を使うことが多いのはそのためです。
また、相手方の権利を保護するため、その表示しなければならない内容が法令で決められている場合があります(不服申立てができる旨を教示しなければいけないなど)ので、注意が必要です。

 

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行政処分の種類

行政処分には下命(作為、不作為、給付、受任を命じる行為)、許可(法令によって一般に禁止されている行為を特定の場合に解除する行為)、免除(法令によって定められた行為、給付、受忍の義務を特定の場合に解除する行為)、特許(特定人に対して、第三者に対抗できる法律上の効力を与える行為)、認可(権限のある行政庁が、当事者の法律行為に対して同意を与えて、私人相互の間の法律行為の効果を完成させる行為)などがあります。
ただし、これらの定義は行政法学上の定義であり、各手続法においては、ここまで厳密に定義せず、認可のことを許可といったりという例もあります。

 

補助金の交付

補助金の交付は、公益上必要があると認めた場合に、特定の事業を行うものに対して、金銭を交付する行為です。
補助金の交付に当たっては、何らの反対給付も請求しません。
交付する金銭の名称には、交付金、助成金などがあります。しかし、その本質は「補助金」に変わりありません。

 

附款

附款は、行政行為の効果を制限するために、意思表示の本体の内容に付け加えられる意思表示です。
例えば、条件や期限を付けて許可する場合などです。
附款は、法令にその根拠規定がある場合や行政庁に自由裁量が認められている場合に付けることができます。
附款を付けるときは、必要な限度にとどめます。その限度を超えた附款は、違法となります。
附款の種類としては、次のようなものがあります。

 

ア 条件
条件は、将来の不確定な事実の成否によって、行政行為の効力を発生させたり、消滅させたりする意思表示です。
例えば、次のように表示します。
(ア) 会社の成立を条件として営業許可を与えます。
(イ) 6箇月以内に工事に着手しなければ、許可は失効します。

 

イ 期限
期限は、行政行為の効力の発生や消滅の時期を、将来到来することが確実な事実の発生や消滅の時期とする意思表示です。
期限には次のような例があります。
  (ア) 平成○年○月○日から許可します。
  (イ) 平成○年○月○日まで許可します。

 

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ウ 負担
負担は、相手方に一定の作為や不作為の義務を命ずる意思表示です。
例えば、営業許可に当たり、一定の届出の義務を負わせることなどの例があります。

 

エ 取消権の留保
取消権の留保は、特定の場合に行政行為を取り消すことができる権利を留保する意思表示です。
例えば、次のように表示されます。
(ア) 公益上必要がある場合は、許可を取り消す場合があります。
(イ) ○○条例第○条の規定に違反した場合は、○○○○の許可を取り消すことがあります。

 

オ 法律効果の一部除外
法律効果の一部除外は、行政行為の法律効果の一部を発生させないことにする意思表示です。
例えば、営業を行うことができる地域を限定して営業許可を与えるようなものがあります。

 

教示

教示は、行政庁が書面で行政処分を行う場合に、相手方にその処分に関する不服申立手続及び行政事件訴訟手続を知らせることです。行政処分を書面で行う場合は、行政不服審査法(昭和37年法律第139号)第57条第1項及び行政事件訴訟法(昭和37年法律第139号)第46条の規定により、次の事項を教示します。

 

教示は、書面で行います。この場合は、その指令文書の末尾に教示内容を書きます。
行政処分としての指令を行った場合、その処分は、当然行政不服審査法の規定による不服申立て及び行政事件訴訟法の規定による行政事件訴訟の対象となります。

 

ア 不服申立手続に関する教示
(ア) 当該処分につき不服申立てができること
(イ) 不服申立てをすべき行政庁
(ウ) 不服申立てをすることができる期間(通常は、同法第14条第1項の規定により、処分があったことを知った日の翌日から起算して60日以内です。)。

 

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イ 行政事件訴訟手続に関する教示
行政事件訴訟を提起することができる処分を行う場合には、アに加えて行政事件訴訟手続に関する教示も行う必要があります。
(ア) 当該処分又は裁決(決定)に係る取消訴訟の被告とすべき者
(イ) 当該処分又は裁決(決定)訴訟の出訴機関
(ウ) 法律に、当該処分についての審査請求に対する裁決を経た後でなければ処分の取消しの訴えを提起することができない旨(不服審査前置主義)の定めがあるときは、その旨
(エ) 法律に、処分についての審査請求に対する裁決に対してのみ取消訴訟を提起できる旨(裁決主義)の定めがあるときは、法律にその定めがある旨

 

不服申立て
不服申立てとは、行政庁が行った行政処分を受ける相手方の権利利益を救済するための制度で、「審査請求」、「異議申立て」、「再審査請求」の3種類があります。審査請求は、処分庁の上級行政庁・第三者的行政庁に対して行うものであり、異議申立ては、処分を行った当該処分庁に対して行うものです。どちらの行為をどこに対してできるかは、その処分の根拠法令等により異なります。誤った教示をしないように注意しなければなりません。

 

行政事件訴訟
行政事件訴訟とは、公法法規の適用関係に関する事件(行政事件)の裁判をいい、民衆訴訟や機関訴訟を含めて用いられます。

指令文全般の注意点

ア 指令先
(ア) 個人の場合は住所と氏名を書きます。
(イ) 法人の場合は所在地と法人名を書きます。
(ウ) 法人格を持たない団体の場合は所在地と団体名と代表者の氏名を書きます。

 

イ 指令先には敬称を付けないのが基本ですが、敬称を付けないためにトラブルの起きる例もありますので、敬称を付けても間違いではないといわれています。

 

ウ 相手方の申請に基づく場合は、必ずその申請書の日付及び文書番号を明記します。 「です・ます」体でも、「である」体でもかまいません。

 

エ その行政処分に根拠規定がある場合は、本文か記書きに書きます。

 

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オ 「教示」を記載する場合は、指令文書の末尾に、本文から少し離れて記載します。教示は例
えば次のように行います。
例)処分に対する不服申立て及び取消訴訟の提起の双方が認められている場合で、異議申立ての対象となる処分を行うとき

 

1 この決定に不服がある場合には、この決定があったことを知った日の翌日から起算して60日以 内に、○○市長に対して、異議申立てをすることができます(なお、この決定があったことを知った日の翌日から起算して60日以内であっても、この決定の日の翌日から起算して1年を経過すると異議申立てをすることができなくなります。)。
2 この決定については、この決定があったことを知った日の翌日から起算して6箇月以内に、○○市を被告として(訴訟において○○市を代表する者は○○市長となります。)、処分の取消しの訴えを提起することができます(なお、この決定があったことを知った日の翌日から起算して6箇月以内であっても、この決定の日の翌日から起算して1年を経過すると処分の取消しの訴えを提起することができなくなります。)。ただし、上記1の異議申立てをした場合には、その異議申立てに対する決定があったことを知った日の翌日から起算して6箇月以内に、処分の取消しの訴えを提起することができます。

 

カ 許可や認可などは、絶対に指令文の形式で出さなければ誤りということではありません。通常の往復回答文の形式で出すことも可能です。

 

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