公用文の敬語の使い方|丁寧語、尊敬語、謙譲語は使える?
敬語の使い方は、一般に接遇などの研修などで取り上げられるテーマですが、公用文にも無縁ではありません。
「敬語」とは、話し相手や話題にしている人物に対する話し手の敬意を表す言語表現をいい、「尊敬語」「謙譲語」「丁寧語」に分けられます。
公用文は公的なものであって私的なものではないことから、挨拶文や答弁書等のような特別なものを除き、私情を含んだ「尊敬語」「謙譲語」といった敬語は使用しません。
一方、助動詞の「です」「ます」、接頭辞「御」「お」などは丁寧語に分類されており、公用文で使用できるため、敬語のうち「丁寧語」だけは、一般的に公用文でも用いられています。
尊敬語とは「おっしゃいました」「いらっしゃいます」など相手の行為を高めて言う言葉で、謙譲語とは反対に「まいります」「いたします」「しております」など自分の行為を低めて、へりくだって言う言葉です。
日常会話でも敬語は間違いやすいので注意が必要です。
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「お」「御」の使い方
「お」「御」を付けるのは、次の場合です。
① 相手の物事を表す場合で、「あなたの」という意味を含ませるとき。
例1 (あなたの)お体にお気をつけてください。
例2 (あなたの)御依頼の品物をお届けします。
② 当方の物事でも、相手に対する物事であるとき。
例
お願いします。
お礼申し上げます。
御報告します。
御挨拶申し上げます。
「れる」「られる」の使い方
尊敬の助動詞の「れる」「られる」を動詞に付ければ、尊敬語になります。
例えば、「書かれる」「言われる」「来られる」などです。
しかし、「御出張される」「お食事される」などという表現は誤りです。「れる」「られる」を付けるときは、「お」「御」という接頭語は付けないこととされているからです。
また、次の例のように、もともと謙譲語である「申す」「参る」に「れる」「られる」を付けても尊敬語にはなりません。
話し言葉としても、よく聞かれる誤った表現なので注意が必要です。
例
市長が出席したいとおっしゃいます(×申されます)
市長がいらっしゃいます(×参られます)
「いたします」は「します」にする
「いたします」は謙譲語のため、公用文では使用しません。
「します」と言い換えます。
「しております」は「しています」にする
「しております」も謙譲語のため、公用文では使用しません。
「しています」と言い換えます。
「ございます」は「です、ます」にする
「ございます」使用せず、「です、ます」を使用します。
また、「申します」「まいります」も特別な場合を除いて使用しません。
「おります」は注意
「おります」は謙譲語のため、公用文では使用しません。
日常会話でも相手の行為に「おります」付けてしまいがちなので、注意します。
× 先生は、このような御経歴を持っております。
× 多くの市民の皆さんが参加しております。
「おります」は間違いやすいのですが、丁寧語ではありません。
「おります」は「います」と言い換えるようにします。
ちなみに、「~しており、」という表現は公用文でも許容されます。
ただし、できるだけ接続助詞を補うなど、他の表現ができないか工夫します。
△ 明日は雨が予想されており、心配である。
○ 明日は雨が予想されているので、心配である。
「ら抜き言葉」「さ入れ言葉」に注意
「食べれる」「見れる」のような「ら抜き言葉」は誤りのため、公用文でも注意が必要です。
また「それでは、質問に入らせていただきます」という表現も、「入らさせる」という表現がない以上、誤りです。
他にも、「させていただくは」日常会話でも乱用されていますが、「させていただく」は相手の了承を得て行う行為以外に用いるのは失礼にあたります。
× 今日は、閉店させていただきます。
○ お庭を拝見させていただきます。
二重敬語は原則使わない
二重敬語は原則として誤りです。
× おっしゃられる
× お召し上がりになられる
× 御留意されるよう
尊敬の動詞に「お~になる」が付く形は二重敬語ですが、許容されています。(例:お召し上がりになる)
ただし、助動詞「れる」「られる」が付く形は許容されません。
謙譲語でも「お伺いいたします」は、「伺う」自体が謙譲語のため、三重敬語ですが許容されています。
一般に、謙譲の動詞に「お」「いたす」「申し上げる」が付く形は、二重敬語でも許容されると覚えておきましょう。
なお、「お読みなっていらっしゃいます」「御案してさしあげる」のように接続助詞「て」の後に敬語が付く形は、「敬語連結」と呼び、二重敬語ではない扱いで許容されます。
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