浄書とは|公務員の決裁後の文書事務「校合、清書、照合」と意味の違い
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浄書とは
浄書とは、一般的には、下書きなどを清書することをいいますが、文書事務を処理するうえでは、主に起案文書と照合し、相手方へ発送し、又は公告する文書(これを「施行文書」といいます。)を作成し、文書を確定させることをいいます。
起案文書は、起案の段階ではあくまで「案」であり、意思決定の段階で上司から修正指示が入ることがあります。
起案者は、その指示に従い、実際の施行文書を作成します。
浄書とは、施行文書を作成し、それと決定された起案文書とを照合して、確認することをいいます。
具体的には施行文書を作成したら、施行文書と決定内容(修正指示を含む。)とを照合のうえ、その旨を文書管理システム等に記録することで、浄書の作業が終了します。
施行のない文書の場合は、この意味では浄書の必要はありませんが、施行文書以外の決定後の修正についても、文書管理システム等では浄書の機能を利用して行いますので、浄書の画面から修正指示等を確認する必要があります。
文書が施行されれば、それは組織からの有効な意思表示として効力を発生します。
一度有効なものとして意思表示されたものを取り消すのは容易ではありません。
一度施行してしまった文書は基本的には取り消すことができないものですので、十分注意のうえ、浄書を行う必要があります。
施行については「文書の施行とは」を参照してください。
浄書、校合、清書、照合との違い
2種以上の写本・刊本などを比べ合わせて、本文の異同を確かめたり、また、それによって訂正したり相違を書き記したりするという意味では、併せて「校合」、「清書」、「照合」と呼ぶ自治体もありますが、基本的には「浄書」と意味するところは同じです。
浄書の方法
施行すべき文書については、決定後に必ず「浄書」という作業を行い、実際の施行文書を作成する必要があります。
これは、電子メールで送付する場合や、ファックスで送信する場合も同様です。
ただし、施行文書がない場合であっても、起案の時点で作成した案と最終的な案が異なるときは、決定後に起案文書を修正する必要があります。
これについても、文書管理システム等では「浄書」の処理により行います。
承認・決定者のコメントを確認のうえ、必要があれば修正を行い、決定文書を確定させます。
また、何も変更がない場合であっても、照合をして確定をするという意味で、浄書という操作は必ず行います。
どの方法で浄書をする場合であっても、どこをどう修正したのかの記録を残します。
したがって、どのような理由で修正をしたのかを対外的に説明できるようにしておく必要があります。
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文書管理システム等で起案した文書
①原則の手続
原則として文書管理システム等の浄書機能を使用して施行文書を差し替えることにより、浄書を行います。
施行文書以外に修正がある場合には、このときに添付文書の差替えや入力項目の変更を行います。
システム外で送付文書を作成している場合には、浄書のときに、送付用紙に送付番号を入れる必要があります。
決定が終了したら、起案者は、決定権者やその他の決定関与者による修正指示がないか必ず確認をします。
たとえ何も変更がない場合であっても、決定内容を確定させるという意味で、必ず照合のうえ浄書処理をします。
添付文書の差替えや、入力内容の修正は、すべて記録が残ります。
ただし、決定後にその文書を差替えができるのは、誤りがあった場合や、承認・決定権者の指示が合った場合など、理由がある場合のみです。
文書管理システム等には、いつ誰が差し替えたのかということと元の文書の記録は残りますが、その理由までは残りません。
決定後において浄書時に文書を差し替える場合には、その理由をコメント欄等に記入して、後から分かるようにしておきましょう。
②例外の手続
文書管理システム等で起案している場合であっても、次に該当するときには、浄書時に添付文書を差し替えることはできません。
ア 施行文書を紙で作成する場合で、作成しなおすことが困難なとき
イ 電子で作成した施行文書を紙に出力した場合で、作成しなおすことが困難なとき
この場合には、下記「文書管理システム等以外で起案した文書」と同様の方法で紙文書の修正を行います。
ただし、電子文書が登録されている場合には、紙文書の修正と併せて、登録してある電子文書も文書更新機能により修正も行います。
さらに、前述の浄書の手続と同様に、コメント欄に修正の理由等を記入します。
文書管理システム等以外で起案した文書
文書管理システム等以外の方法で起案を行った場合は、起案に添付した案とは別に、施行文書を作成します。
この場合において、承認・決定権者の修正の指示等により、起案文書に添付した施行文書案と異なる施行文書を作成した場合には、起案文書についても修正の記録を残す必要があります。
ただし、文書管理システム等以外の方法で起案した場合は起案文書の添付文書を差替えてもその経過が残りませんので、下記の方法で起案文書の添付文書を訂正します。
この場合には、誤っている部分を二本線で消し、そのわきに正しい文字を記入し、その箇所に起案者の印(施行文書の場合は発信者の印)を押します。
ただし、特に重要な文書、権利の得喪に関する文書については、文書の欄外余白に抹消字数及び加入次数を記入し、その箇所に公印を押します。
施行文書がすでに作成済みで、作成しなおすことが困難な場合も、同じ方法により行います。
紙文書の訂正の方法については、「記載事項の訂正方法」を参照してください。
施行のない文書の浄書
起案文書は、起案の段階ではあくまで「案」であり、意思決定を行うことによってその案が確定します。
案文の作成から意思決定の過程において、承認・決定権者の指示などにより軽微な修正が発生することがあります。
修正がある場合には、意思決定後にその内容を案に反映させ、決定文書を確定する必要があります。
文書管理システム等では、この修正も、「浄書」の機能を使用して行います。
施行を伴わない文書であっても、一度有効なものとして決定した事案は、原則として変更等はできません。
それを取り消したり、変更したりするためには、改めて、起案、決定を行う必要があります。
施行すべき文書がない場合(「施行否」の場合)であっても、十分に確認のうえ、文書を確定する必要があります。
「照合」の意味と方法
照合とは、一般には「読み合わせ」ともいわれ、起案文書と、浄書により作成された施行文書などを照らし合わせ、浄書による誤りがないかどうかを確認することをいいます。
施行文書を作成し、照合を行って、誤りがないことを確認したうえで、文書管理システム等では浄書処理をすることによって、一連の浄書の作業が完了します。
最終的に浄書の作業まで行うと、施行文書の内容が確定しますので、照合には細心の注意を払うことが必要です。
照合の方法には、一人で起案文書と浄書後の施行文書を照らし合わせて行う方法や、一人が起案文書を読み、他の者が浄書文書を見る方法があり、できれば二人以上で行う方が、誤りを発見しやすいといわれています。
照合の結果、誤りを見つけた場合には、再浄書を行い、浄書作業を完了します。
まとめ
・浄書とは、施行文書を作成し、それと決定された起案文書とを照合して確認することをいう。
・浄書は自治体ごとに導入している文書管理システム等で行うのが通例。
・「校合」、「清書」、「照合」と呼ぶ自治体もある。
・施行文書がない場合であっても、決定後に起案文書を修正する必要があるときは「浄書」の処理により行う。
・文書管理システム等以外で浄書を行う場合、誤っている部分を二本線で消し、そのわきに正しい文字を記入し、その箇所に起案者の印(施行文書の場合は発信者の印)を押す。
・文書管理システム等以外で浄書を行う場合で、特に重要な文書や権利の得喪に関する文書については、文書の欄外余白に抹消字数及び加入次数を記入し、その箇所に公印を押す。
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