自己情報開示請求とは|事務の流れと運用の注意点

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自己情報開示請求とは|事務の流れと運用の注意点

( 自己情報の開示の請求)
誰でも実施機関に対し、実施機関が保有している自己情報の開示を請求することができます。
自己情報の開示の請求権は保障されており、実施機関がこれに応じる義務があります。

 

【説明】
自己に関する情報の流れをコントロールするためには、自分の情報がどのように記録されているかを知ることが前提となります。このため、条例では目的の1つである自己情報の開示、訂正等を求める権利のうち中心的な権利である開示の請求権について、具体的に保障します。
実施機関は、原則としてこの請求に応じる義務を負います。
(1) 「開示」とは、自己情報について本人に閲覧させ、又は写しを交付することをいいます。
(2) 「誰でも」とは、自然人全てをいい、実施機関において自己を本人とする個人情報が保有されている限り、住民に限らず全ての者が含まれます。
(3) 「保有している」とは、実施機関が定めている文書の保管、保存及び廃棄に関する規程等により、公的に保管又は保存していることをいいます。
ただし、次の点に注意する必要があります。
① 保存年限が経過していても、現に保管又は保存しているものは、開示請求の対象となります。
② 開示請求の対象となる個人情報は、実施機関が現に保有しているものであり、開示請求に対して新たに作成するものではありません。
(4) 開示の請求をすることができる「自己情報」とは、あくまでも自己を本人とする情報であり、配偶者や家族等であっても請求をすることができません。

 

2 実施機関は、次に掲げる情報(以下「不開示情報」。)のいずれかが記録されている場合を除き、開示しなければなりません。

 

【 説明】
不開示情報は、保護すべき利益に着目して分類したものであり、ひとつの情報が複数の不開示情報に該当することもあります。したがって、開示不開示の判断に当たっては、不開示情報のいずれにも該当しないことを確認しなければなりません。
なお、不開示情報が含まれていない限りは原則開示ですので、開示することによる利益と開示しないことによる利益とを適切に比較衡量し、判断する必要があります。

 

(1) 法令等に定めがあるもの
【説明】
1 「法令等に定めがあるもの」とは、法令等に、本人に対しても閲覧等を拒むという明らかな定めがあるものをいいます。「閲覧に供してはならない」などの規定に、「本人」を含むかどうか明文化されていない場合は、法令等の趣旨によって判断することになりますが、第三者に対して個人情報を保護する意味での閲覧禁止の規定であるなら、本人に対してまで閲覧を禁止する趣旨ではなく、むしろ開示すべきものであるので、該当しません。
2 「法令等」とは、法律、政令、省令、条例及びこれらの委任を受けた規則をいい、国からの通達や住の機関の訓令等は含まれません。

 

(2) 個人の評価、診断、判定、指導、相談、推薦、選考等に関するものであって、本人に知らせないことが明らかに正当と認められるもの

 

【説明】
1 「明らかに正当であると認められるもの」とは、本人が知ることにより、
(1) 極端に不安や動揺を与えるおそれがある場合
(2) 意欲、向上心が阻害される場合
(3) 治療上、本人に悪影響を及ぼす場合( 病名等)
などがあります。
2 「評価」とは、学業成績、勤務状況、功績など、個人の能力、性格、適性等について価値判断した内容の記録をいいます。
 例 内申書、指導要録等
3 「診断」とは、疾病、健康状態等について、専門的見地から行った診察等の内容の記録をいいます。
 例 胃検診カルテ等
4 「判定」とは、個人の知識、能力、適性、資力、技術等について、専門的見地又は一定の基準に基づいて審査や試験を行い、その結果から判断を行った内容の記録をいいます。
 例 職員の採用面接等
5 「指導」とは、学力、能力、技術等の向上又は健康状態若しくは生活状態の改善のために行う教育や指示の内容の記録をいいます。
 例 保護指導記録等
6 「相談」とは、個人からの生活、健康等に関しての相談を受けて、それに対して行った対処方法、回答の内容の記録をいいます。
 例 精神保健相談記録等
7 「推薦」とは、個人の行動や実績に対して、称賛し、何らかの利益をもたらすために行う評価の内容の記録をいいます。
8 「選考」とは、特定の職業、地位等に就く適任者を選ぶために行う個人の能力や資質の調査、判定の内容の記録をいいます。
(3) 開示請求者以外の特定の個人を識別することができるもの又は開示請求者以外の特定の個人の権利利益を害するおそれがあるもの。ただし、次に掲げる情報を除きます。
イ 法令等の規定により又は慣行として開示請求者が知ることができ、若しくは知ることが予定されている情報
ロ 人の生命、健康、生活又は財産を保護するため、開示することが必要であると認められる情報
ハ 当該個人が公務員等( 国家公務員法( 昭和22年法律第120号) 第2条第1項に規定する国家公務員(独立行政法人通則法(平成11年法律第103号)第2条第2項に規定する特定独立行政法人の役員及び職員を除く。)、独立行政法人等の役員及び職員、地方公務員法(昭和25年法律第261号)第2 条に規定する地方公務員並びに地方独立行政法人の役員及び職員をいう。) である場合において、当該情報がその職務の遂行に係る情報であるときは、当該情報のうち、当該公務員等の職氏名及び当該職務遂行の内容に係る部分

 

【説明】
1 (1) 「特定の個人を識別することができる」とは、氏名、住所、生年月日その他の記述等により、当該情報の本人である特定の個人が誰であるかを識別することができ、又は識別される可能性がある場合をいいます。
なお、その情報自体からは特定の個人を識別することができなくとも、公知の情報や一般人が通常入手し得る情報と照合することにより、特定の個人を識別できる場合についても含むものとします。特別な調査をしてはじめて識別される場合は含まれません。
(2) 「特定の個人の権利利益を害する」とは、第三者が関与する相談記録や事故報告及び交渉の記録等、開示すれば生活や財産その他の個人の正当な利益を害したりするおそれがあると認められるものをいいます。このような情報は、特定の個人が識別されない場合であっても、開示することにより、なお個人の権利利益を害するおそれがあるため、加えて不開示情報としています。。
2 (1) 「法令等の規定」には、何人に対しても当該情報を開示すること又は公にすることを定めている規定のほか、特定の範囲の者に限り当該情報を開示することを定めている規定も含まれます。
なお、特定の者に限り開示が定められている場合で、その他の者からの請求や開示の目的が制限されている場合においては、その制限外の請求などは法令の規定の範囲外となるので、本号には該当せず、自己情報の開示の対象となります。
(2) 「慣行として開示請求者が知ることができ」とは、事実上の慣習として知ることができる場合をいいます。
(3) 「知ることが予定されている」とは、実際には知らされていないが、将来的に知らされることが予定されている場合をいいます。

 

3 不開示にすることにより保護される開示請求者以外の個人の権利利益よりも、開示請求者を含む人の生命、健康等の利益を保護することの必要性が上回るときには、当該情報を開示しなければならないこととするものです。
現実に人の生命、健康等に被害が発生している場合に限らず、将来これが侵害される蓋然性が高い場合も含まれます。
なお、適用するための比較衡量に当たっては、個人の権利利益にも様々なものがあり、また、人の生命、健康、生活又は財産の保護にも、保護すべき権利利益の程度の差があることから、個別の事案に応じた慎重な検討が必要になります。

 

4 公務員の職氏名及び職務の遂行に係る情報は、政治の透明性を確保し説明責任を全うするとの観点から、不開示情報から除かれており、同様に条例においても不開示情報からは除外します。
(1) 「国家公務員法第2条第1 項に規定する国家公務員」には、一般職のみならず特別職も含みますので、同法第2条第3項規定する国務大臣、国会議員、裁判官等も含まれます。
(2) 「地方公務員法第2条に規定する地方公務員」についても、一般職と特別職の両方を含むことから、地方議会議員、審議会等の構成員の職で臨時又は非常勤の者等も含まれます。
(3) 「職務の遂行に係る情報」とは、公務員が行政機関又はその補助機関として、その担任する職務を遂行する場合におけるその情報をいいます。公務員であっても、自宅の住所、電話番号、学歴、健康状態等は個人の権利利益として保護されるべき情報です。また、勤務態度、勤務成績、処分歴等の職員としての身分取扱いに係る情報についても、「職務の遂行に係る情報」には当たりません。
(4) 「職氏名」は、当該公務員の属する組織の名称と職名、役職名、氏名をいいます。
(5) 職務遂行に係る情報であっても、それが他の不開示情報に該当する場合は、その職氏名及び職務遂行の内容に係る部分を含めて全体が不開示となる場合もあります。

 

(4) 法人その他の団体( 国、独立行政法人等、地方公共団体及び地方独立行政法人を除く。) に関する情報又は開示請求者以外の事業を営む個人の当該事業に関する情報であって、次に掲げるもの。ただし、人の生命、健康、生活又は財産を保護するため、開示することが必要であると認められる情報を除く。
イ 開示することにより、当該法人等又は当該個人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるもの
ロ 実施機関の要請を受けて、開示しないとの条件で任意に提供されたものであって、法人等又は個人における通例として開示しないこととされているものその他の当該条件を付することが当該情報の性質、当時の状況等に照らして合理的であると認められるもの

 

【説明】
1 (1) 「法人その他の団体」とは、株式会社等の商法上の会社、財団法人、社団法人、学校法人、宗教法人等の民間の法人のほか、政治団体や外国法人、法人ではありませんが権利能力なき社団等も含まれます。
(2) 「国、独立行政法人等、地方公共団体及び地方独立行政法人を除く」としているのは、その公的性格に鑑み、法人等とは異なる開示・不開示の基準を適用すべきであるので除くものです。
(3) 「法人その他の団体に関する情報」とは、法人等の組織や事業に関する情報のほか、法人等の権利利益に関わる情報等、法人と関連性を有する情報を指します。なお、法人等の構成員に関する情報は、法人等に関する情報であると同時に、構成員各個人に関する情報でもあります。
(4) 「事業を営む個人の当該事業に関する情報」は、事業に関する情報であるので、法人等に関する情報と同様の要件により、事業を営むうえでの正当な利益等について不開示情報該当性を判断することが適当であるため、個人情報としてではありません。
2 ロと同様に、当該情報を不開示とすることによって保護される法人等又は事業を営む個人の権利利益と、これを開示することによって保護される人の生命、健康等の利益とを比較衡量し、後者の利益を保護することの必要性が上回るときには、当該情報を開示しなければなりません。
(1) 法人等又は事業を営む個人の事業活動によって、被害(公害、薬害等)が生じ、又は生ずるおそれがある場合に、危害の未然防止、拡大防止又は再発防止を図り、その危害からの人の生命、健康、生活又は財産を保護するため、開示することが必要であると認められる情報は開示します。現実に、人の生命、健康等に被害が発生している場合に限らず、将来これらが侵害される蓋然性が高い場合も含まれ、事業活動が違法又は不当であるか否かを問いません。
(2) 「開示することが必要であると認められる」とは、当該情報を不開示とすることによって保護される法人等又は事業を営む個人の権利利益と、これを開示することによって保護される人の生命、健康等の利益とを比較衡量し後者の利益を保護することの必要性が上回ると判断されたときをいいます。その判断の際には、比較衡量されることになる権利利益のそれぞれの性質及び内容に応じ、慎重な検討が必要になります。

 

3 (1) 「権利」には、信教の自由、集会・結社の自由、学問の自由、財産権等、法的保護に値する権利一切を含みます。
(2) 「競争上の地位」とは、法人等又は事業を営む個人の公正な競争関係における地位を指します。
(3) 「その他正当な利益」は、ノウハウ、信用等法人等又は事業を営む個人の運営上の地位を広く含むものです。
(4) 「競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるもの」とは、次のような情報をいいます。
① 法人等又は事業を営む個人の保有する生産技術上又は販売上のノウハウに関する情報であって、開示することにより、当該法人等又は事業を営む個人の事業活動が損なわれると認められるもの
② 経営方針、経理、人事等の事業活動を行ううえでの内部管理に属する情報であって、開示することにより、当該法人等又は事業を営む個人の事業運営が損なわれると認められるもの
③ その他開示することにより、当該法人等又は事業を営む個人の名誉、社会的評価、社会的活動の自由等が損なわれると認められるもの
(5) 「害するおそれ」とは、公にすることにより、法人等の事業活動に何らかの不利益が生じるおそれがあるというだけでは足りず、法人等の競争上等の地位が具体的に侵害されると認められる場合を意味するものです。
そして、公にすることにより、当該法人等の競争上等の地位が具体的に侵害されると認められるかどうかは、当該情報の内容、性質をはじめとして、当該法人等の事業内容、当該法人等と行政との関係、その活動に対する憲法上の権利の保護の必要性等を考慮して総合的に判断します。

 

4 (1) 法人等又は事業を営む個人が実施機関の要請を受けて、開示しないとの条件で任意に提供した情報、その他開示されないと信頼して提供した任意提供情報を不開示とする場合の要件です。
不開示を前提とした情報の任意提供は、一般的に他に知らされないという認識及び信頼の下に行われています。このような情報を開示した場合、当該法人等又は事業を営む個人との信頼関係が損なわれるおそれがあることから不開示情報としています。
(2) 「実施機関の要請を受けて、開示しないとの条件で任意に提供した情報」とは、実施機関が法人等又は事業を営む個人に情報の提供を要請し、要請された法人等又は事業を営む個人が開示しないとの条件でこれに応じて任意に提供した情報をいい、要請を受けずに提供された情報は含まれません。
ただし、要請を受けずに提供申出があった情報でも、提供に先立ち、法人等又は事業を営む個人から開示しないとの条件が提示され、実施機関が合理的な理由があるとしてこれを受諾した場合には含まれます。
(3) 「実施機関の要請」には、法令に基づく報告又は提出の命令は含みませんが、報告等の法的権限があるにもかかわらず、任意に情報を提出させた場合は含まれます。
(4) 「条件」には、実施機関の側から開示しないとの条件で情報を提供してほしいと申し入れる場合も、法人等又は事業を営む個人の側から実施機関の要請があったので情報は提供するが開示しないでほしい、と申し出る場合も含まれますが、いずれの場合も双方の合意により成立するものです。また、黙示的な条件を排除するものではありません。
(5) 「法人等又は個人における通例」とは、当該法人等又は事業を営む個人の個別具体的な事情ではなく、当該法人等又は事業を営む個人が属する業界、業種等における通常の取扱いを意味し、個々の事情により開示しないこととしているだけでは足りません。
(6) 「当時の状況等に照らして」とは、当該情報の提供当時の諸般の事情に照らして判断することを基本としますが、必要に応じ、取得後の事情の変更も考慮する趣旨です。

 

(5) 行政上の義務に違反する行為の取締りその他に関する情報であって、開示することにより、犯罪の予防その他の公共の安全と秩序の維持に支障が生ずるおそれがあるもの

 

【説明】
1 「犯罪の予防」とは、刑事犯、行政犯を問わず、犯罪行為の発生を未然に防止することをいいます。例えば、犯罪を誘発するおそれのある情報を開示しないこともこれに含まれます。
2 「その他の公共の安全と秩序の維持」とは、人の生命、身体、財産等の保護のほか、平穏な社会生活、社会の風紀その他の公共の安全と秩序を維持することをいいます。
3 「支障が生ずるおそれがある」とは、公共の安全と秩序を維持する諸活動が 阻害され、又は適正に行われなくなる可能性がある場合をいいます。
4 該当する情報としては、次のような情報が考えられます。
(1) 犯罪の捜査等の事実又は内容に関する情報
(2) 犯罪の捜査等の手段又は方法等に関する情報
(3) 犯罪の標的となることが予想される施設の所在、警備の状況等に関する情報
(4) 犯罪等の情報の通報者、告発者等が特定され、その結果、これらの人々の地位又は正常な生活が脅かされるおそれのある情報
(5) 犯罪の被疑者、参考人等が特定され、その結果、これらの人々の生命、身体等に危害が加えられ、又はその地位若しくは正常な生活が脅かされるおそれのある情報

 

(6) 実施機関並びに国、独立行政法人等、他の地方公共団体及び地方独立行政法人の内部又は相互間における審議、検討又は協議に関する情報であって、開示することにより、率直な意見の交換若しくは意思決定の中立性が不当に損なわれ、不当に住民の間に混乱を生じさせ、又は特定の者に不当に利益を与え、若しくは不利益を及ぼすと認められるもの

 

【説明】
1 「実施機関」は首長、教育委員会、選挙管理委員会、監査委員及び農業委員会等です。
2 「実施機関並びに国、独立行政法人等、他の地方公共団体及び地方独立行政法人の内部又は相互間」とは、次の場合をいいます。
(1) 実施機関の内部
(2) 国、独立行政法人等、他の地方公共団体又は地方独立行政法人の内部
(3) 実施機関の相互間(首長部局と行政委員会の相互間等)
(4) 実施機関と国、独立行政法人等、他の地方公共団体又は地方独立行政法人の相互間
(5) 国、独立行政法人等、他の地方公共団体又は地方独立行政法人の相互間

 

3 「不当に住民の間に混乱を生じさせ」とは、未成熟な情報や事実関係の確認 が不十分な情報を開示することにより、誤解や憶測を招き、不当に住民の間に混乱を生じさせるおそれがある場合をいいます。これは、適正な意思決定を行うことそのものを保護するのではなく、情報が開示されることにより、住民に不当な影響が生じないようにする趣旨です。

 

4 「特定の者に不当に利益を与え、若しくは不利益を及ぼす」とは、尚早な時期に、又は事実関係の確認が不十分なままで情報を開示することにより、不正な投機を助長するなどして、特定の者に利益又は不利益を与えるおそれがある場合を想定したもので、3と同様に事務及び事業の公正な遂行を図るとともに住民に不当な影響が生じないようにする趣旨です。

 

5 「不当に」とは、審議、検討又は協議に関する情報の性質に照らし、検討段階の情報を公にすることによる利益と支障とを比較衡量し、公にすることの公益性を考慮してもなお、その支障が看過しえない程度のものである場合をいいます。

 

6 意思決定後の取扱い
審議、検討等に関する情報については、実施機関等において意思決定が行われた後は、一般的には当該意思決定そのものに影響が及ぶことはなくなるため、本号の不開示情報に該当する場合は少なくなると考えられます。
しかし、その意思決定を前提として次の意思決定が行われる場合など審議、検討等の過程が重層的又は連続的な場合には、当該意思決定後であっても、本号に該当する可能性があるので、注意する必要があります。
また、審議、検討等が終了し、意思決定が行われた後であっても、当該情報が開示されると、住民の間に混乱を生じさせたり、また将来予定されている同種の審議、検討等に係る意思決定に不当な影響を与えたりするおそれがあれば、該当する場合があります。

 

(7) 実施機関又は国、独立行政法人等、他の地方公共団体若しくは地方独立行政法人が行う事務又は事業に関する情報であって、開示することにより、次に掲げるおそれその他当該事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるもの
イ 監査、検査、取締り、試験又は租税の賦課若しくは徴収に係る事務に関し、正確な事実の把握を困難にするおそれ又は違法若しくは不当な行為を容易にし、若しくはその発見を困難にするおそれ
ロ 契約、交渉又は争訟に係る事務に関し、国、独立行政法人等、地方公共団体又は地方独立行政法人の財産上の利益又は当事者としての地位を不当に害するおそれ
ハ 調査研究に係る事務に関し、その公正かつ能率的な遂行を不当に阻害するおそれ
ニ 人事管理に係る事務に関し、公正かつ円滑な人事の確保に支障を及ぼすおそれ
ホ 独立行政法人等、地方公共団体が経営する企業又は地方独立行政法人に係る事業に関し、その企業経営上の正当な利益を害するおそれ

 

【説明】
1 (1) イからホまでに掲げるおそれはあくまで例示であって、当該事務又は事業における開示することによる支障は、イからホまでに限定されるものではありません。
公にすることにより支障が生ずる場合には、「その他当該事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれ」として不開示となります。
(2) 「事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるもの」とは、事務又は事業に関する情報を開示することによる利益と支障とを比較衡量した結果、開示することの利益を考慮してもなお、当該事務又は事業の適正な遂行に及ぼす支障が看過しえない程度のものをいいます。
この場合、「支障を及ぼすおそれ」は、単なる抽象的な可能性では足りず、当該事務又は事業の適正な遂行に支障を生じることについて、法的保護に値する蓋然性が認められなければなりません。

 

2 (1) 「監査」とは、主として監察的見地から、事務又は事業の執行及び財産の状況の正否を調べることをいいます。
(2) 「検査」とは、法令の執行確保、会計経理の適正確保、物資の規格、等級の証明等のために帳簿書類その他の物件を調べることをいいます。
(3) 「取締り」とは、行政上の目的による一定の行為の禁止又は制限について、適法及び適正な状態を確保することをいい、巡視、監視等の事務も含みます。
(4) 「試験」とは、人の知識、能力等又は物の性質等を試すことをいい、資格試験、入学試験、採用試験等をいいます。
(5) 「租税の賦課若しくは徴収」とは、国又は地方公共団体が、国税又は地方税を特定の人に割り当てること又は収入金をとることをいいます。
(6) 「正確な事実の把握を困難にするおそれ又は違法若しくは不当な行為を容易にし、若しくはその発見を困難にするおそれ」とは、これらの事務において、例えば、監査等の対象、実施時期、調査事項等の詳細な情報を事前に開示してしまうと、判断の前提となる事実の把握が困難となったり、法令違反行為等を助長したり、巧妙に事実や証拠を隠蔽されたりなどのおそれをいいます。
また、監査等の事後であっても、詳細な内容を開示することによって、今後の規制を免れる方法を示唆することになるようなものは、該当し得ると考えられます。

 

3 (1) 「契約」とは、相手方との意思表示の合致により契約行為を成立させることをいいます。
(2) 「交渉」とは、当事者が対等の立場において、相互の利害関係事項に関し、一定の結論を得るために協議、調整などの折衝を行うことをいいます。
(3) 「争訟」とは、訴訟及び行政不服審査法(昭和37年法律第160号)その他の法令に基づく不服申立てをいいます。
(4) 「財産上の利益又は当事者としての地位を不当に害するおそれ」とは、例えば、用地取得等の交渉方針や用地買収計画案を開示することにより、適正な額での契約が困難になり財産上の利益が損なわれたり、交渉や争訟等の対処方針を開示することにより、当事者として認められるべき地位を不当に害したりするおそれをいいます。

 

4 「公正かつ能率的な遂行を不当に阻害するおそれ」とは、例えば、知的所有権に関する情報や調査研究の途中段階の情報で、一定の期日以前に開示することにより特定の者に不当な利益又は不利益を及ぼすおそれや、試行錯誤の段階の情報で、開示することにより自由な発想、創意工夫や研究意欲が不当に妨げられ、減退するなどの、能率的な遂行を不当に阻害するおそれをいいます。

 

5 「公正かつ円滑な人事の確保に支障を及ぼすおそれ」とは、勤務評定や人事異動、昇格等の人事管理に関する情報を開示することにより、公正かつ円滑な人事の確保が困難になるおそれをいいます。

 

6 「独立行政法人等、地方公共団体が経営する企業又は地方独立行政法人に係る事業」については、企業経営上の正当な利益を保護する必要があり、「企業経営上の正当な利益を害するおそれ」のあるものを不開示とするものです。
ただし、「正当な利益」の内容については、経営主体、事業の性格、内容等に応じて判断する必要があり、不開示となる情報の範囲については、企業の公共性に鑑みると、法人等情報よりも狭くなる場合も考えられます。

 

(8) 未成年者又は成年被後見人(以下「未成年者等」という。)の法定代理人による開示の請求がなされた場合において、当該未成年者等の意思又は利益に反すると認められるもの

 

【説明】
1 本人の権利利益を保護するという観点から、未成年者又は成年被後見人(以下「未成年者等」といいます。)の法定代理人に対し、本人に代わって開示等の請求権を認めています。
しかし、これはあくまで代理権の行使であり、本人である未成年者等の利益を害するおそれがある情報が含まれている場合には、開示しないこととします。

 

2 「未成年者等の意思又は利益に反すると認められるもの」とは、当該個人情報の性質、開示に至る状況や経過などから、客観的に判断して、未成年者等と法定代理人との利益が相反するおそれがある情報をいいます。
例としては、次のようなものが考えられます。
 法定代理人から虐待を受けている未成年者の児童相談記録、調査記録、一時保護した際の状況等の記録など
 法定代理人が未成年者に対する権利侵害について、刑事上の責任を問われている場合などにおける、当該権利侵害に係る子どもの個人情報が記録された文書等
 成年被後見人と成年後見人との間で、財産管理上争いがある場合の成年被後見人に係る記録

 

3 実施機関は、請求に係る自己情報に不開示情報が記録されている場合において、その部分を容易に、かつ、自己情報の開示の請求の趣旨を損なわない程度に分離できるときは、その部分を除いて開示の請求に応じなければなりません。

 

【 説明】
1 不開示情報が記録されている場合は、請求に対して可能な限り開示する趣旨から、不開示とする情報を除き、その他の部分について開示することとします。これを、一部開示といいます。
2 「容易に」とは、開示する部分と不開示とする部分との分離や一部開示のための複写物の作成が、記録媒体を損傷することなく、かつ、多くの時間と費用をかけることなく行える場合をいいます。
なお、対象となる個人情報の量が多く、時間、労力を要することは、区分及び分離の容易性とは関係ありません。
3 「請求の趣旨を損なわない程度」とは、開示請求の趣旨から判断して、開示部分と不開示部分を分離しても、請求者が知りたい内容が理解できる場合をいいます。
不開示情報を除くと、公表情報だけになる場合や無意味な文字、数字の羅列、罫線のみなどとなる場合は、開示請求の趣旨が損なわれる場合に該当するといえます。
4 開示請求された個人情報の記録が、容易に分離できないか、又は分離することによって請求者の目的が達せられない場合は、その個人情報の全部について不開示とすることができます。
5 なお、開示の対象となる個人情報は、現に保有している個人情報であり、開示できる部分のみを抽出し、新たに別の情報を作成して開示するものではありません。

 

【運用】
1 開示・不開示の判断は、請求者によって異なることはなく、あくまでも情報の内容によって行います。
また、自己情報の開示を求める権利を保障する条例の趣旨を尊重して慎重に行い、請求の趣旨を十分考慮して決定を行います。
2 個人情報の一部開示は、次の要領で行います。
(1) 開示部分と不開示部分が別々のページのときは、不開示部分を取り除いて開示します。
(2) 開示部分と不開示部分が同一のページに記載されているときは、不開示部分を黒い紙などで覆って複写するか、該当するページを複写したうえで、その複写物の不開示部分を黒のマジックインキ等で消し、さらにそれをもう一度複写したものを開示します。
この際、不開示とした部分が透けて見えることのないよう注意する必要があります。
(3) 不開示情報は、当該部分を黒塗りにしますが、開示請求に係る内容以外の情報が記録されている場合には、当該部分を白塗りにして枠で囲むなどの処理をしたうえで、開示することとします。

 

4 実施機関は、開示の請求に応じることができない自己情報であっても、期間の経過により不開示に該当しなくなったときは、開示の請求に応じなければなりません。

 

【説明】
情報の価値や開示した場合の影響は、社会情勢の変化や時間の経過により変化することもあります。
開示請求された個人情報が、その時点では開示できないと判断しても、一定の期間が経過すれば、開示しても差し支えないこともあると考えられます。
このため、開示の可否の判断は恒久的なものとせず、同一の情報の開示請求であっても、請求された時点ごとに判断し、決定する必要があります。

 

5 実施機関は、開示の請求に係る自己情報が存在しているか否かを答えるだけで、不開示情報を開示することとなるときは、当該自己情報の存否を明らかにしないで当該請求に応じないことができます。

 

【説明】
1 「開示の請求に係る自己情報が存在しているか否かを答えるだけで、不開示情報を開示することとなるとき」とは、開示請求者に対し、存在するが不開示情報に当たるという回答又は存在しないと回答するだけで、不開示情報を開示した場合と同様の結果をもたらし、不開示情報として保護すべき権利利益が害される場合をいいます。
2 該当する情報の例としては、次のようなものが考えられます。
 特定の病歴に関する情報
 表彰候補者に関する情報
 捜査関係事項の照会回答に関する情報

 

【運用】
1 条例により開示請求に応じない決定をするときは、応じられない旨の決定を行うことになります。
当該決定は、行政処分に該当することから、実施機関は十分な拒否理由を明記しなければなりません。
2 存否応答拒否をする必要がある個人情報については、当該個人情報が実際には存在しない場合であっても、不存在の決定をするのではなく、存否応答拒否の決定をするものです。
3 開示請求に対する応答の例外であり、みだりに用いることは望ましくありません。
また、個人情報の性質上、本人の関与が予定されていることから、適用に当たっては、その妥当性を厳格に判断し、濫用することのないようにしなければなりません。

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