公務員昇任試験の論文の例文と添削例|公文書の書き方
公務員の昇任試験では論文を書かせて、文章力を問われます。
「文書主義」の公務員にとって、文章を書く能力が業務を円滑にするために不可欠だからです。
昇任試験の論文では、「当事者意識」が重要です。
試験で不合格になる人は、以下のような「当事者意識」が低い論文を書いていることが多いので注意しましょう。
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本市では子育て支援、防災対策、コミュニティ支援など、様々な施策が行われている。そのため、管理経費の節減や職員数の削減など、経営改革の取組も進められている。しかし、景気後退の影響もあり、今後は法人・住民税が減少するとともに扶助費の大幅な増加が見込まれており、零細企業が多い本市においては市民生活の悪化が懸念されている。このため、限られた予算と人員で、多様化する市民ニーズに柔軟に対応していくことが必要である。職員一人一人が意欲を持ち、能力を最大限に発揮し、組織力を高めるために、人材育成を進めることが重要である。
一見無難なようですが、「行われている」「進められている」「懸念されている」といった「受動態」のオンパレードです。
「大切である」「重要である」といった表現も、「当事者意識」とは真逆の「他人事」といった印象を生んでしまっています。
そのため、昇任試験の論文では、以下のような「当事者意識」を強調した文体を基本にしましょう。
添削例
本市は、全庁を挙げて行財政改革を断行し着実に成果を上げてきたが、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う景気低迷などの煽りを受け、経営環境は予断を許さない状況である。
一方、少子高齢化対策や地震・風水害に対する備え、耐用年数を次々に迎える小中学校の建て替えなど、喫緊の課題が山積している。
このため、現場の最前線での実務の中核を担う中堅職員が先頭に立ち、業務改善をさらに進めて無駄を省き、人・モノ・金などの行政資源を重点事業に振り向けていく必要がある。今こそ、職員の育成に積極果敢に取り組み、組織力の向上と戦力の底上げを図らなければならない。
このように自分事という意識が滲む論文は説得力があります。
当事者意識が低い論文は極めて低い評価となるため、強い信念を持って論文を書くようにします。
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