行政文書分類基準表とは?運用と管理方法

行政文書分類基準表とは?運用と管理方法

行政文書分類基準表とは

行政文書分類基準表(以下「分類基準表」といいます。)とは、文書が発生したときにどういう分類・基準(保存期間など)で管理するかを、組織としてあらかじめ定めておくものです。
保存期間等の基準は、担当者や年度によって変わるものではなく、組織の普遍的な基準として決定されている必要があります。
しかし、事務分掌の変更等により当然見直しの必要性は発生します。
原則として年度ごとに見直しを行い、文書管理責任者が決定を行います。
分類基準表はあくまで管理の基準を定めたものですので、実際にどのような文書が発生したかという目録は、分類基準表とは別に管理する必要があります。

 

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1 行政文書分類基準表の意義
分類基準表を整備する目的は、統一的で分かりやすい分類体系や適切な基準で文書管理を行うことです。
これは、文書を探しやすくし、事務を効率化するためだけでなく、情報公開制度の運用と個人情報の管理を適正に行うために欠かせません。
分類基準表を毎年度当初に組織として定めることにより、同じ文書なのに年度や担当者によって保存の基準が変わってしまったり、あるいは、前年度から機械的に複写しているうちに、なぜその基準(保存期間など)で管理しているのか誰も分からなくなってしまうような状態を防ぎます。
また、庶務的な文書など、全庁で共通して発生する文書の管理基準としては、「共通行政文書分類基準表」(以下「共通分類基準表」といいます。)として共通の基準を文書係で定め、統一的な管理を行えるようにします。
そして、もう一つの重要な目的は、基準を公表することにより、外部に対しての説明責任を果たすことです。
行政文書は区民との共有物であり、それをどのような基準で管理しているのかは、常に明らかにしておくべきです。
基準を定めることにより、自治体が行政文書を各組織や担当者の恣意ではなく、正当に決定された根拠に基づいて管理しているということを、外部に対して説明することができます。

 

文書分類の基本

1 文書分類とは
数多くの文書の中から、必要なものをすぐに取り出すには、発生した文書を体系的に分類しておく必要があります。
「分類」とは、文字どおり、いろいろなものが混じりあっている状態の中から同じ種類のもの同士を集めて、整理し、一定の考え方に基づいて秩序づけることです。
例えば4段階の分類の下にフォルダを作成し、文書を管理するなどの方法が考えられます。
文書分類の管理においては、ある一定のルールに基づいた分類を作成し、それを組織のメンバーが守っていくことが必要です。
しかし、業務の内容が多様化するにもかかわらず分類があまりに固定化していると、分類整理に無理が生じて形骸化し、文書の収納がそのときの担当者しだいになってしまい、結局は担当者の記憶に頼って文書を探すということになってしまいます。
文書の分類は、誰もが共通して理解(検索)できる一定の基準に基づいて整理されることにより、はじめてその目的が達せられます。
分類を設定するときには、その目的を理解のうえ、「誰もがその分類をたどって目的の文書にたどりつくことができる」分類を設定しなければなりません。

 

2 分類体系の基本
(1) 分類法
実際の分類方法としては、主題別・相手先別・一件別整理法等又はこれらを複合的に組み合わせた整理法がありますが、一般的には「主題別整理法」が多く使われています。
「主題別整理法」は、「文書の内容別」にまとめる整理法、すなわち、その文書の中に「何が書かれているか」を簡潔に表そうとするものです。
基本的には大−中−小などいくつかの段階を踏んで分類を行います。
その他の分類法としては、相手先を50音別などに並べる「相手先別整理法」(名刺や台帳の整理など)、報告書、起案文書など文書の形式別に分類を行う「形式別整理法」、一つの事案について初めから終わりまでの記録を一つの件名にまとめる「一件別整理法」(建築・土木工事の資料、訴訟の資料など)などがあります。

 

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(2) 割り付け方式と積み上げ方式
分類・フォルダを作成していくに当たっては、「割り付け方式」と「積み上げ方式」の二つの手法があります。
「割り付け方式」とは、あらかじめ全庁的に一定の決められた分類・フォルダを割り振ってしまい、発生した文書は必ずそのどれかの分類に当てはめていくことで管理を行う方法です。
組織や担当者に依存せず統制して管理できる半面、現場の業務にそぐわない形骸化した分類形態になってしまう恐れがあります。
「積み上げ方式」とは、割り付け方式とは逆に、現場で文書が発生するごとに分類・フォルダを付け足していく手法です。
現場の業務に沿った管理ができ、形骸化を防止できる半面、その時々の感覚で無秩序に作られてしまい、統一的な管理ができなくなる恐れがあります。

 

3 分かりやすい分類
文書を「使いやすく」「整理しやすい」状態にするための分類を作るのは、容易ではありません。
そして、それは業務をよく知っている主管課の職員でなければできません。
分類を作るうえでは、次の点に心がけることが必要です。
・ 似たもの同士を集めること。
・ 仕事の流れに沿うこと。
・ 誰もが連想しそうな表現を使うこと。

 

(1) 全体のバランスを考える
分類を利用する際の「情報検索」の順序としては、「大」から「中」へ、「中」から「小」へという手順になります。
「大」→「中」→「小」の順に細かくなることによって、効率的に文書を探すことができます。
適正な分類を作るためには、業務を担当する組織内で「中」「小」分類を見て分かりやすいということだけではなく、他組織の職員や外部の人が区全体の分類からたどって目的の文書にたどりつけることが重要です。
その大分類(課全体)の中で、自分の係の作成する中分類は適当な位置付けになっているか、細かすぎたり粗すぎたりしないか、意識をする必要があります。
また、中分類、小分類といった同じ段階の分類の中では、その粗さをある程度そろえる必要があります。

 

(2) 一貫性を持たせる
どのような基準で区分するのかをハッキリ決める必要があります。
例えば、前述の「主題別分類」の中に「相手先別分類」が意味もなく入り込んでいるような状態は、一貫性がなく、せっかくの分類を、かえって分かりにくくしてしまいます。

 

(3) あいまいなものを作らない
内容が分からないあいまいなフォルダ名であったり、似たようなフォルダ名が複数あったりすると、文書の発生時にどちらの分類にするか迷い、ミス・ファイルの原因になります。
同じような文書が、そのときによって違う分類で管理されてしまうのは、分類管理を行ううえで最も避けなければならないことです。
また、「その他」のような、どのような文書が入っているのか分からない名称は、分類名としては避けるようにします。

 

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(4) 業務の流れ順に置く、関連性の強いものは近くに並べる
内容が「似ているもの」や、業務上「関連性の強いもの」等は、近くに並べることにより、業務を効率化することができます

 

(5) 分類名における注意
分類名は、何よりも「誰が見ても分かりやすい」ことが重要です。
分かりやすいというのは、担当職員が見て分かりやすいということではなく、組織外の人、特に住民が見ても分かるということです。
そのためには、次の点に注意して分類名を付けることが必要です。

 

ア 普遍的な名称を使用する
単純に「組織名」や「施設名」などの固有名詞をそのまま使用してしまうと、組織改正等で名称が変わるごとに分類名まで変えなければいけなくなってしまいます。
実際に行う業務が変わっていないにもかかわらず分類名が変わるのは、分類の性質からして望ましくありません。
細かい組織改正や組織名変更に依存しないような、一般名詞的な名称の方が、長期的には分かりやすく管理することができます。
また、「組織名」や「施設名」が、業務の内容を誰にでもわかりやすく示しているとは限りません。

 

イ 略称等は使わない
略称は、その組織の職員にとっては分かりやすく、使いやすい名称かもしれませんが、組織外の人にとっては分かりません。
一般的に広く浸透しているようなものを除き、略称や特定の業務関係者の間でしか分からないような用語は使用すべきではありません。
例)× 児扶手 → ○ 児童扶養手当

 

分類体系の運用例

例えば分類法としては「主題別分類法」により、そして作成手法としては「割り付け方式」と「積み上げ方式」を組み合わせることにより、分類を管理するのもいいでしょう。
具体的には、「部名」「大分類」「中分類」「小分類」の4段階に分類し、「部名」と「大分類」は割り付け方式で固定とし、「中分類」と「小分類」については積み上げ方式により各課で作成します。
また、後述のとおり全庁で発生する文書については、共通分類基準表を作成し、割り付け方式で管理します。
これは、「割り付け方式」「積み上げ方式」双方の長所を生かすためです。

 

1 共通分類と個別分類
庶務的な文書など、全庁の多くの係で発生・管理する「全庁共通文書」については、各係で基準を作成するのは非効率的なうえ、組織によって分類や管理基準が違うのは望ましくないため、共通の分類基準表を作成します。
共通分類基準表は、文書係で定め、公表していきます。
各係は、全庁共通文書については、共通分類基準表に従って管理を行います。
各業務に固有の文書については、各係で分類基準表を作成し、管理します。
各課は、年度始めに課内各係の分類基準表を決定し、統括文書管理責任者に提出します。

 

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2 各分類の概要
「部名」「大分類」については固定とし、全庁的に定められているもの以外の分類を使用することはできません。
「中分類」「小分類」については、各主管課で定めます。

 

(1) 部名
部の名称を使用します

 

(2) 大分類
原則として、「課」の業務単位で同じ分類を使用します。
ただし、課の名称というわけではなく、あくまで課の業務ですので、事務所や「第一課」「第二課」のように、担当地区などの違いから他の課となっているが、同じ内容の業務を行っているような場合には、同じ大分類名を使用します。
また、共通分類に属する分類の場合には、大分類は(共通)とします。

 

(3) 中分類
事務事業の大きなまとまりであり、小分類をまとめたものです。
その係で行っている業務の名称を使用します。

 

(4) 小分類
最小単位である「フォルダ」を、一定の共通点でまとめたものです。

 

分類基準表の管理

1 分類基準表の作成・管理方法
(1) 各課における個別分類基準表の決定
分類基準表は、決められた様式に従い、各所属においてエクセル形式で作成のうえ、各課の文書管理責任者(課長)が年度始めに決定をします。

 

(2) 個別分類基準表の提出
各課は、年度始めに文書管理責任者が決定を行ったら、個別分類基準表を統括文書管理責任者に提出し、承認を受けなければなりません。
また、統括文書管理責任者は、不備がある場合は修正を求めます。

 

(3) 個別分類基準表の管理
年度途中であっても、見直しは必要に応じて行い、変更をしたら、文書管理責任者が改めて決定する必要があります。
個別分類基準表を変更したときは、統括文書管理責任者に再提出をします。
また、提出するだけではなく、各課においては常に最新の分類基準表を整備し、いつでも参照できる状態にしておく必要があります。
(4) 共通分類基準表
各課は、庁内共通文書については、共通分類基準表に従わなければなりません。
共通分類基準表は、統括文書管理責任者が定め、各課がいつでも参照できる状態におきます。

 

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2 共通分類に属する文書のフォルダを作成する際には
共通分類基準はあくまで「目安」として定めているものであり、必ずこのとおりに管理しなくてはいけないというものではありません。
ただ、特別違う基準で管理する必要がなければ、原則としては共通分類基準に従って管理を行います。
ただし、庶務的な文書であっても担当業務の内容などにより管理の基準は異なるため、すべての組織に適応できるような基準にすることはできません。
業務の特性により共通基準表とは異なる保存期間などで管理する必要がある場合には、各組織で適切な保存期間などを判断します。

 

3 文書分類基準表作成の注意点
A 部名・大分類
「部名」と「大分類」は固定ですので、主管課で変更することはできません。
「大分類」は、課の業務機能を示すものですので、課で共通のものを使用します。
どちらも、固定して定めていますので、各課で変更することはできません。
文書管理システムにも、固定された「部名」、「大分類」が登録されています。

 

B 中分類・小分類
「中分類」は、係で担当している業務を表します。
「小分類」は、その中でのさらに細かい業務分類となります。
※ 分類の作成に当たっては、前述のとおり、誰もが文書を探しやすい体系となるよう注意します。

 

C 標準行政文書ファイル名
標準的なファイル名を設定します。実際にフォルダを作成して管理するときに「○○申請書(1月分)」「○○申請書(2月分)」などと分けて管理するとしても、管理の基準が同じなのであれば、分類基準表の上では一つのファイルでかまいません。

 

D 保存期間
保存期間は、原則として「0年、1年、3年、5年、10年、30年、条件付(「○○終了時」「返還後○年」など)」の7つのうちのいずれかになります。
ただし、法令上の理由があるときには、その他の保存期間を定めることができます。
その場合には、保存期間を「その他」にしたうえで、保存期間コメントにその具体的な年数を表示します。
「長期」「永年」で保存する必要がある場合には、保存期間は「30年」としてください。(30年経過後に、廃棄するか延長するかの見直しをするという意味であり、30年後に自動的に廃棄されるわけではありません)
また、保存期間として具体的な年数が決まっていない場合でも、「条件付」にするなどして、必ず入力してください。
保存期間が空欄ということはありえません。

 

E 保存期間コメント
保存期間に関して備考として補足する必要がある場合には、この欄に入力します。
保存期間を「条件付」とした場合にはその具体的な条件を、保存期間を「その他」とした場合にはその具体的な年数を入れるものとします。

 

F 不開示情報の有無、個人情報の有無
そのファイルに通常、不開示情報を含んだ文書が収納されるかどうかを、不開示情報の有無の欄に記入します。
また、不開示情報の中でも、個人情報を含んだ文書が収納されるかどうかを、個人情報の有無の欄に記入します。
個人情報であっても、職員の職氏名のように、情報公開条例等に該当して、定型的に不開示情報の除外事項となっているような場合には、「有」とする必要はありません。
不開示情報は、個人情報だけとはかぎりませんので、不開示情報が「有」であっても、個人情報は「無」の場合もありますが、個人情報が「有」の場合には、不開示情報は必ず「有」となります。

 

G 備考
上記以外に、普遍的な管理の基準として示しておくべきことがあれば、備考欄に記入します。

 

4 秘密文書の包括指定について
秘密情報を含む文書は通常、登録を行う際に1件ごとに秘密文書の指定を行わなければなりませんが、定型的に秘密情報が含まれており、かつ1件ごとに秘密文書の指定を行うことが困難なものについては、事前に包括的な指定を行うものとしています。
包括指定を行う際には、文書分類基準表の作成に併せて、包括秘密指定一覧表を作成し、分類基準表とともに起案を行い、文書管理責任者が決定します。

 

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