「取り組み、取組み、取組」の送り仮名の違い|公用文の使い分け方

「取り組み、取組み、取組」の送り仮名の違い|公用文の使い分け方

「取り組み、取組み、取組」の送り仮名の違い|公用文の使い分け方

 

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公用文の送り仮名の原則とは

送り仮名の原則は、「送り仮名の付け方」(昭和48年内閣告示第2号)に定められています。

 

公用文の送り仮名についても、平成22年11月30日付け内閣訓令第1号「公用文における漢字使用等について」により、一部を除外したうえで「送り仮名の付け方」に準拠することとされています。

 

パソコン等で文書を作成する現代においては、送り仮名の付け方には十分注意する必要があります。なぜなら、パソコン等の辞書ファイルは万人向けに作成されていて、その全てが公用文における送り仮名の基準に従っているわけではないからです。

 

上記の「送り仮名の付け方」には通則1から通則7まであり、それぞれ「本則」「例外」「許容」からなっています。
訓令ではそのうち通則6を除いて「許容」の規定を適用せず、各通則の「本則」「例外」を適用しているので、公用文ではほぼ「送り仮名の付け方」どおりの運用がされています。
ただし、この通則6の「許容」だけは適用しているのが公用文の最大の特徴でもあります。

 

間違えやすい語句の例を挙げると「取り組む」と「取組む」、「取り組み」と「取組み」どちらを使えばいいのか、などです。

 

これらの複合動詞は「送り仮名の付け方」の通則6によると、「複合の語の送り仮名は、その複合の語を書き表す漢字の、それぞれの音訓を用いた単独の語の送り仮名の付け方による。」が本則とされています。

 

通則6の「本則」の例

(1)活用のある語
 流 申

 

(2)活用のない語
 伸 乗

 

そして許容として「読み間違えるおそれのない場合は、次の( )の中に示すように、送り仮名を省くことができる。」とされています。

 

通則6の「許容」の例 ※()内が許容

抜く(書抜く) 申込む(申込む) 打せる(打ち合せる・打合せる)

 

このように通則6からだと「とりくむ」「とりくみ」については、「取組む」「取組み」も許容されますが、「取り組む」「取り組み」が本則の使い方となります。

 

ただし、公用文の書き方においては、内閣訓令第1号「公用文における漢字使用等について」で以下のように規定されています。

 

(2)複合の語
ア (前略)活用のない語で読み間違えるおそれのない語については、「送り仮名の付け方」の本文の通則6の「許容」の送り仮名の付け方により、送り仮名を省く。

 

そうすると、公文書においては(1)活用のある語は「取り組む」、(2)活用のない語は間の送り仮名を省いて「取組み」のように書くのが正しそうですが、「公用文における漢字使用等について」にはさらに続いて以下のような規定があります。

 

イ 活用のない語で慣用が固定していると認められる次の例に示すような語については、「送り仮名の付け方」の本文の通則7により、送り仮名を付けない。【例】取組

 

つまり、公文書においては「とりくむ」は「取り組む」、「とりくみ」は「取組」が正しい表記となります。
ちなみに、「行う」「行なう」も判断に迷う送り仮名ですが、公用文では「行う」が正しくなるので、「取組」と一緒に使うときは以下のような例文になります。

業務改善の取組を行う。(×取り組みを行なう)

 

詳しくは後述しますが、公用文の複合動詞については、原則と例外が入り混じっており大変分かりにくいのが現状です。
実際に「組み」という漢字で見れば「仕組み」「枠組み」が正しい表記となっているせいか、公用文上誤った「取組み」という表記がとても多いです。
また「取る」という漢字で見ても、「とりあつかう」は原則どおり「取り扱う」「取扱い」が正しく、「とりのこす」は例外として「取り残す」「取り残し」が正しくなります。
これには近道はなく、一つずつ覚えていくしかありません。

 

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「送り仮名の付け方」の概要

「送り仮名の付け方」には通則1から通則7まであり、それぞれ「本則」「例外」及び「許容」から成っています。
そもそも、この「送り仮名の付け方」は、「法令・公用文書・新聞・雑誌・放送など、一般社会において「常用漢字表」の音訓によって現代の国語を書き表す場合の送り仮名の付け方のよりどころを示すものである」とされています。
確かに、「送り仮名の付け方」は、公用文における送り仮名の付け方のよりどころではあるが、そこに記されている基準に従いすれば何でもよいというわけではなく、公用文については独自の制限的な原則があることに注意してください。
「送り仮名の付け方」に用いられている次のような独特な用語の意味を理解しておくことも必要です。

 

「送り仮名の付け方」の用語

「送り仮名の付け方」に出てくる用語 説明
「単独の語」 漢字の音又は訓を単独に用いて、漢字1字で書き表す語
「複合の語」 漢字の訓と訓、音と訓などを複合させ、漢字2字以上を用いて書き表す語
「活用のある語」 動詞、形容詞、形容動詞
「活用のない語」 名詞、副詞、連体詞、接続詞
「本則」 送り仮名の付け方の基本的な法則と考えられるもの
「例外」 本則には合わないが、慣用として行われていると認められるものであって、本則によらず、これによるもの
「許容」 本則による形とともに、慣用として行われていると認められるものであって、これによってよいもの

 

通則1

単独語のうち活用のある語(通則2を適用する語を除く。)は、活用語尾を送る。
例外:「著しい」など「しい」の付く語 「明らかだ」など「か、やか、らか」の付く語等
許容:「表わす」「断わる」等本則より1字多く送ること

 

通則2

単独語のうち活用語尾以外の部分に他の語を含む語は、含まれている語の送り仮名の付け方によって送る。※含まれている語は()内
例:動かす(動く) 照らす(照る)
許容:読み間違えるおそれのない場合は、活用語尾以外の部分について1字送り仮名を省くことができる。(例:浮かぶ→浮ぶ 生まれる→生れる)

 

通則3

名詞(通則4を適用する語を除く。)は、送り仮名を付けない。
例外:幾ら、後ろ、傍ら、幸い等

 

通則4

活用のある語から転じた名詞及び活用のある語に「さ」「み」「げ」などの接尾語が付いて名詞になったものは、もとの語の送り仮名の付け方によって送る。(例:動き、仰せ等)
例外:卸、煙、恋、志等
許容:読み間違えるおそれがないため仮名を省くもの(例:曇、届、願等)

 

通則5

副詞、連体詞及び接続詞は、最後の音節を送る。
例外:明くる、大いに、直ちに等

 

通則6

複合の語(通則7を適用する語を除く。)の送り仮名は、その複合の語を書き表す漢字の、それぞれの音訓を用いた単独の語の送り仮名の付け方による。(例:書き抜く、申し込む等)
許容:読み間違えるおそれがないため仮名を省くもの(例:書抜く、申込む等)

 

通則7

複合語のうち、慣用が固定していると認められる一部の名詞は送り仮名を付けない。

 

「送り仮名の付け方」と公用文の関係

「送り仮名の付け方」の「本則」「例外」「許容」は、全て公文書に適用されるわけではありません。
公用文に適用される項目をまとめたのが以下の表です。

 

本則 例外 許容

 

 

単独語

活用のある語

通則1 ×
通則2 ×

活用のない語

 

通則3
通則4 ×
通則5
複合語 通則6
通則7

 

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通則1の許容及び通則2「許容」は、公用文には適用しません。
通則4の「許容」も適用しませんが、「曇」「晴」等は、法令に関し表中等での記号的表記法に限って認められているので、公用文でも使用することができます。
また「届」「願」は単独語では使用できませんが、複合語の「○○届」「××願」は通則7を適用し、公用文でも使用できます。
通則6の許容は公用文で唯一適用している許容で、公用文で使用できるものを限定列挙しています。
通則7は送り仮名を省く慣用が固定している語について、送り仮名を付けないものとしていますが、その具体例は「法令における漢字使用等について」(内閣法制局サイトPDF)で例示されています。公用文においては例示されたもののみ使用できます。

 

公用文では認められない送り仮名

上記のとおり「送り仮名の付け方」の通則で「許容」とされていても、以下のような送り仮名は公用文には認められていません。

 

1字多く送り仮名を付けること

通則1の「許容」では、次のように動詞の送り仮名を「本則」より1字多く送ることが認められていますが、公用文では認めていません。

 

× 表す × 著す × 現れる × 行う × 断

 

1字少なく送り仮名を付けること

通則2の「許容」では、次のように動詞の送り仮名を「本則」より1字少なく送ることが認められていますが、公用文では認めていません。

 

× 浮ぶ × 生れる × 押える × 捕える × 変る  
× 聞える × 起る × 暮す × 当る × 終る

 

 

活用のある語(通則1、2)

活用のある語の送り仮名(通則1)

活用のある語とは、動詞、形容詞、形容動詞のことです。
活用のある語は「活用語尾」を送るのが原則です。
「活用語尾」とは、活用の際に語形変化をする部分で、動詞では、「読む」の「む」(「ま・み・む・め」などと変化)、形容詞では、「寒い」の「い」(「く・い・けれ」などと変化)などの類です。

 

例(※下線部分が活用語尾)

 表 生きる 行 実 考える 助ける

 

ただし、語幹が「し」で終わる形容詞は、「し」から送ります。
また、活用語尾の前に「か」、「やか」、「らか」を含む形容動詞は、その音節から送ります。

 

い 惜い 悔い 珍
だ 静だ 穏やかだ 健やかだ 和やかだ 明らかだ 柔らか

 

その他の例外には次のようなものがあります。
次に例示してある語は、活用語尾の直前の1字から送るものですが、その点について特別な説明は示されていません。
この類いの語は、活用しない部分から送るという点で、以下で説明する「通則2本則」に類似していますが、該当するものではありません。
そのため、このまま覚えておくしかありません。

動詞の例:明らむ 味わう 哀れむ 慈しむ 教わる 脅かす 関わる 異なる 逆らう 捕まる 群がる 和らぐ 揺する
形容詞の例:明るい 危ない 危うい 大きい 少ない 小さい 冷たい 平たい
形容動詞の例:新ただ 同じだ 盛んだ 平らだ 懇ろだ 惨めだ 哀れだ 幸いだ 幸せだ 巧みだ

 

 

活用語尾以外の部分に他の語を含む語の送り仮名(通則2)

通則2本則には「活用語尾以外の部分に他の語を含む語は、含まれている語の送り仮名の付け方によって送る」とありますが、一読しただけでは分かりにくい説明です。
例えば、「動詞の活用形又はそれに準ずるものを含むもの」の事例として「動かす」を挙げ、その含まれる語として「動く」を挙げています。「動く」「動かす」を活用させると以下のようになります。

 

未然形 連用形 終止形 連体形 仮定形 命令形
「動かす」

動かさ
動かそう

動かし 動かす 動かす 動かせ 動かせ
「動く」

動か
動こ

動き 動く 動く 動け 動け

 

このように、「動かす」の「動か」の部分は活用しません。
この活用語尾以外の部分である「動か」に他の語である「動く」の未然形である「動か」という活用形が含まれているということです。
「動かす」と「動く」は、他動詞と自動詞の関係にあるとはいえ、全く別の語です。
このような関係にある動詞では、その送り仮名に整合性を持たせるために、このような基準を設けています。
言い換えると、自動詞「動く」の「動」を「うご」と読ませるなら、他動詞「動かす」の「動」も「うご」と読ませなければ、整合性がとれないとも言えます。
このような理由から、「動かす」などは、単純に活用語尾だけを送ればいいということにはなりません。
「送り仮名の付け方」では、このような送り仮名の付け方の事例を次のように挙げています。( )内が含まれる語です。

 

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①動詞の活用形又はそれに準ずるものを含むもの。

【動詞】
動かす(動く) 照らす(照る) 語らう(語る) 生まれる(生む) 冷やす(冷える) 計らう(計る) 向かう(向く) 押える(押す) 捕らえる(捕る) 及ぼす(及ぶ) 積もる(積む) 聞こえる(聞く) 暮らす(暮れる) 冷やす(冷える) 当てる(当たる) 集める(集まる) 落とす(落ちる) 終える(終わる) 変える(変わる) 定める(定まる) 交える(交わる)
※動詞の事例で下線を引いた、当てる(当たる)といった語句は、活用語尾だけを送ると他動詞と自動詞が全く同じになってしまうため、このように送る点に注意します。
活用語尾直前の1字から送るという原則は、他動詞と自動詞を明確に区別し、読み間違いを避けるという役目もあるからです。

 

【形容詞】
勇ましい(勇む) 輝かしい(輝く) 喜ばしい(喜ぶ) 頼もしい(頼む) 恐ろしい(恐れる)

 

【形容動詞】
晴れやかだ(晴れる)

 

②形容詞・形容動詞の語幹を含むもの

【動詞】
重んずる(重い) 若やぐ(若い) 怪しむ(怪しい) 悲しむ(悲しい) 苦しがる(苦しい) 確かめる(確かだ)

 

【形容詞】
重たい(重い) 憎らしい(憎い) 古めかしい(古い) 細かい(細かだ) 柔らかい(柔らかだ)

 

【形容動詞】
清らかだ(清い) 高らかだ(高い) 寂しげだ(寂しい)

 

③名詞を含むもの

【動詞】
汗ばむ(汗) 先んずる(先) 春めく(春)

 

【形容詞】
男らしい(男) 後ろめたい(後ろ)

 

活用のない語(通則3、4、5)

活用のない語は、名詞、副詞、連体詞、接続詞ですが、それぞれ次のような送り仮名の付け方の原則があります。

 

基本的な「名詞」の送り仮名(通則3)

本則によって、名詞は送り仮名を付けないのが原則ですが、諸事情によって例外があります。

 

名詞の基本の例

月 鳥 花 山 男 女 彼 何

 

例外として、名詞でもあっても最後の音節を送る語句があります。
①次の語は、最後の音節をおくるものです。
これは送り仮名というよりも、音読みなどの誤読を避けるため工夫です。
言い換えると、正しく訓読みさせるために、最後の音節を送るものです。

辺り 哀れ 勢い 幾ら 後ろ 傍ら 幸い 幸せ 全て 互い 便り 半ば 情け 斜め 独り 誉れ 自ら 災い

 

②数をかぞえる「つ」を含む名詞は、その「つ」を送ります。
なお、この場合の数字は必ず漢数字で書くことになっています。

一つ 二つ 三つ 幾つ

 

活用のある語から転じた名詞等の送り仮名(通則4)

活用のある語から転じた名詞及び活用のある語に「さ」、「み」、「げ」などの接尾語がついて名詞になったものは、元の語の送り仮名の付け方によって送ります。

 

①活用のある語から転じたもの

動き 仰せ 恐れ 薫り 曇り 調べ 届け 願い 晴れ
当たり 代わり 向かい
狩り 答え 問い 祭り 群れ
憩い 愁い 憂い 香り 極み 初め
近く 遠く

 

②「さ」「み」「げ」などの接尾語が付いたもの

暑さ 大きさ 正しさ 確かさ
明るみ 重み 憎しみ
惜しげ

 

通則4の例外として、次の語は送り仮名を付けないことになっています。
次の語も活用する語から転じたものですが、例外として送り仮名はつけません。

謡 虞 趣 氷 印   頂 帯 畳
卸 煙 恋 志 次 隣 富 恥 話 光 舞
折 係 掛(かかり) 組 肥 並(なみ) 巻 割
※ここに掲げた「組」は、「花組」「白組」などの「組」で、例えば「足場の組みが悪い」などとして使う場合の「くみ」を意味するものではない。「組み」も「組」と同じく名詞であるが、動詞の意識が残っているような使い方の場合は、「組み」と送り仮名をつける。「光」「折」「係」も同様に「光り」「折り」「係り」となる場合がある。

 

「副詞、連体詞、接続詞」の送り仮名(通則5)

副詞、連体詞は、原則として最後の音節を送ります。

 

副詞、連体詞、接続詞の送り仮名の例

【副詞】
必ず 更に 少し 既に 再び 全く 最も

 

【連体詞】
来る 去る

 

【接続詞】
及び 

 

例外① 次の語は、次に示すように送ります。

明くる 大いに 直ちに 並びに 若しくは

 

例外② 次のように、他の語を含む語は、その含まれている語の送り仮名の付け方によって送ります。
例えば、「必ずしも」という副詞は、「必ず」という語の送り仮名と同じになります。〔 〕内が含まれている語。

併せて〔併せる〕 至って〔至る〕 恐らく〔恐れる〕 従って〔従う〕 絶えず〔絶える〕 例えば〔例える〕 努めて〔努める〕
辛うじて〔辛い〕 少なくとも〔少ない〕 互いに〔互い〕 必ずしも〔必ず〕

 

「取り組む」などの複合語(通則6、7)

「送り仮名の付け方」は全部覚える必要はなく、単独の漢字の送り仮名については、「常用漢字表」の「例」の欄を見れば分かるようになっています。
そのため個別の語句について、いちいち「送り仮名の付け方」を参照する必要はありません。
ただし、動詞が名詞化したような語句の場合は別です。
例えば、複合動詞「取り扱う」の名詞形である「とりあつかい」は「取り扱い」と書くのか、「取扱い」と書くのか。
また、動詞を一部に含む熟語が完全に名詞化した語句「ものおき」は「物置き」と書くのか、「物置」と書くのか。
結論からいうと、公用文で送り仮名を省略できる具体例は「公用文における漢字使用等について」「法令における漢字使用等について」で列挙されています。
つまり似たような語句でも送り仮名を省略できる場合とできない場合があるので、その都度確認するしかありません。
こういった複合語については、一応原則はあるものの例外が多いので、よく調べ、決まったルールに従う必要があります。

 

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複合動詞の送り仮名(通則6)

通則6の本則では、「複合の語(通則7を適用する語を除く。)の送り仮名は、その複合の語を書き表す漢字の、それぞれの音訓を用いた単独の語の送り仮名の付け方による」とされています。

 

①活用のある語
複合の語を書き表すそれぞれの漢字の単独の語の送り仮名の付け方によります。
つまり、送り仮名を付ける必要がない語はそのままで、送り仮名を付ける必要がある語はそれを省略することなく付けて書き表すということになります。

 

【動詞の例】
書き抜く 流れ込む 申し込む  打ち合わせる 向かい合わせる  長引く 若返る  裏切る 旅立つ
【形容詞の例】
聞き苦しい  薄暗い  草深い 心細い  待ち遠しい  軽々しい 若々しい 女々しい
【形容動詞の例】
気軽だ  望み薄だ

 

②活用のない語
複合の語については、活用のない語であっても、原則として①の上記活用のある語と同じ原則ですが、読み間違えるおそれがある場合のみその原則が適用されます。
公用文においては、読み間違えるおそれがない場合は、後述の通則6「許容」を適用されることに注意します。

 

③許容
通則6許容においては、読み間違えるおそれがない場合は、活用がある語については、例えば「書き抜く」を「書抜く」と、活用のない語については「入り江」を「入江」というように、送り仮名を省くことができるとされています。
しかし、公用文においては、「活用のある語」については、送り仮名を省くようなことは絶対にしてはいけません。
一方、公用文にでは、「活用のない語」については、この「許容」を適用して、独自の用例を示しています。
その独自の用例は「送り仮名の付け方」(昭和48年内閣告示第2号)で列挙されています。

 

言い換えると、複合動詞については、途中の送り仮名を、「動詞形」のときは付けますが、「名詞形」のときは付けないともいえます。
例えば、動詞のときは「取り扱う」「差し戻す」「申し込む」ですが、名詞のときは「取扱い」「差戻し」「申込み」となります。

 

ただし、「書き込み」「繰り返し」といった例外もあります。
マスコミでは、名詞形の場合もすべて送り仮名を付ける慣例であり、ワープロの漢字変換でもこちらが出やすくなっているので、注意が必要です。
以下は「公用文における漢字使用等について」「法令における漢字使用等について」で例示されている語句です。

 

(原則によるもの)

明渡し 言渡し 入替え 植付け 受入れ
受持ち 受渡し 打合せ 打切り 移替え
埋立て 売上げ 売惜しみ 売出し 売払い
売渡し 売行き 追越し 買上げ 買入れ
買受け 買換え 買占め 買取り 買戻し
書換え 貸切り 貸越し 貸倒れ 貸出し
貸付け 借入れ 借受け 借換え 刈取り
切上げ 切替え 切下げ 切捨て 切取り
切離し 組合せ 組入れ 組替え 組立て
繰上げ 繰入れ 繰替え 繰越し 繰下げ
繰延べ 繰戻し 差押え 差止め 差引き
締切り 据置き 据付け 座込み 備置き
備付け 立会い 立入り 立替え 付添い
積卸し 積替え 積込み 積出し 積立て
積付け 釣合い 問合せ 取上げ 取卸し
取替え 取決め 取崩し 取消し 取壊し
取下げ 取締り 取調べ 取締り 取調べ
取立て 取次ぎ 取付け 取戻し 投売り
抜取り 乗換え 乗組み 話合い 払込み
払下げ 払出し 払戻し 払渡し 貼付け
引上げ 引揚げ 引受け 引起こし 引換え
引込み 引締め 引継ぎ 引取り 引渡し
振出し 巻付け 巻取り 見合せ 見積り
申合せ 申入れ 申立て 申出 持込み
戻入れ 焼付け 雇入れ 譲受け 譲渡し
呼出し 読替え 割当て 割増し 割戻し

 

(例外によるもの)

編み上げ 歩み寄り 言い合い 言い換え
言い違い 言い伝え 言い直し 言い抜け
言い回し 生き埋め 行き過ぎ 行き倒れ
行き違い 生き残り 生き別れ 入れ替わり
植え込み 請け合い 受け売り 受け答え
受け継ぎ 請け戻し 討ち入り 打ち消し
打ち出し 埋め合わせ 売り切れ 売り込み
売れ残り 追い込み 置き去り 送り迎え
押し合い 押し入れ 押し出し 押し付け
押し戻し 落ち着き 思い入れ 思い切り
思い違い 思い付き 折り合い 折り返し
折り込み 買い切り 買い出し 買い付け
返り討ち 返り咲き 係り結び 書き誤り
書き入れ 書き置き 書き下し 書き込み
書き出し 書き取り 書き抜き 掛け合い
掛け替え 掛け捨て 駆け出し 飾り付け 
刈り入れ 借り越し 刈り込み 聞き納め
聞き落とし 聞き覚え 聞き捨て 聞き違い
聞き伝え 切り通し 切り抜き 切り盛り
切り込み 食い上げ 食い込み 食い過ぎ
食い倒れ 食い違い 食い逃げ 組み打ち
繰り合わせ 繰り返し 凍え死に 下げ渡し
差し入れ 差し込み 差し支え 忍び歩き
忍び泣き 知り合い 吸い上げ 住み込み
競り合い 染め変え 染め返し 染め付け
抱き合わせ 抱き込み 立ち後れ 立ち消え
立ち聞き 立ち腐れ 立ち直り 立ち回り
立て付け 立て直し 建て直し 食べ過ぎ
食べ残し 使い込み 付き合い 継ぎ足し
作り直し 付け足し 付け届け 積み残し
詰め合わせ 詰め替え 照り返し 通り掛かり
通り抜け 飛び込み 取り入れ 取り込み
取り残し 取り運び 取り払い 取り巻き
取り持ち 取り分け 泣き別れ 殴り合い
殴り込み 投げ入れ 投げ捨て 成り立ち
縫い上げ 縫い返し 縫い込み 抜き書き
抜き差し 盗み聞き 盗み読み 塗り替え
願い下げ 願い出  練り直し 乗り合い
乗り入れ 乗り越し 吐き出し 掃き立て
張り合い 張り替え 張り込み 張り出し
引き合い 引き出し 引き立て 引き抜き
引き回し 引き分け 引っ越し 引っ込み
吹き替え 吹き込み 吹き通し 吹き流し
振り付け 振り分け 振る舞い 巻き戻し
待ち合わせ 待ち伏せ 見せ掛け
向かい合わせ 蒸し返し 申し送り
申し開き 申し渡し 燃え残り 持ち合わせ
盛り上がり 焼き直し 焼き戻し 焼け焦げ
焼け太り 行き詰まり 行き悩み 寄せ集め
呼び掛け 呼び捨て 読み合わせ 寄り合い
寄り集まり 割り付け 割り振り

 

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繰り返しになりますが、複合動詞の送り仮名については以下のルールが大原則です。

① 動詞形のときは、送り仮名を省略しない
② 名詞形のときは、送り仮名を省略する

しかし、この原則に例外が多いことが話を紛らわしくしています。
例えば「立ち合い」と「立退き」、「取り残し」と「取下げ」のように、同じ漢字でも送り仮名の付け方が異なっています。
「前の漢字の意味が弱いときは送り仮名を省略し、そうでないときは送り仮名を省略しない」とも言われますが、全てがそうでもありません。
理屈抜きで、複合動詞の送り仮名は一つ一つ覚えるしかありません。

 

送り仮名を省略する複合語(通則7)

活用のない語で送り仮名の省略の慣用が固定している語句については、送り仮名を省略します。
公用文及び法令において送り仮名を省略できる語句は、「公用文における漢字使用等について」「法令における漢字使用等について」で以下のように例示されています。
「手続」や「手引」や「取組」等、間違いが多い語句は赤字にしていますので、特に注意が必要です。

 

通則6の許容を適用し送り仮名を省略する語句

預り金 魚釣道具 受皿 渦巻 内払
売場 縁組 置場 贈物 帯留 折詰
買物 格付 掛金 貸金 缶切 期限付
切土 靴下留 砂糖漬 下請 条件付
仕分 捨場 栓抜 染物 田植 立札
月掛 月払 釣鐘 釣銭 手続 届出
飲物 日雇 歩留り 船着場 不払
賦払 前払 見習 未払 持家 持分
元請 催物 盛土 雇主

 

通則7を適用し送り仮名を省略する語句

合図 合服 合間 預入金 編上靴 植木
(進退)伺 浮袋 浮世絵 受入額 受入先
受入年月日 請負 受付 受付係 受取
受取人 受払金 打切補償 埋立区域
埋立事業 埋立地 裏書 売上(高)
売掛金 売出発行 売手 売主 売値
売渡価格 売渡先 絵巻物 襟巻 沖合
置物 奥書 奥付 押売 押出機 覚書
(博多)織 折返線 織元 織物 卸売
買上品 買受人 買掛金 外貨建債権
概算払 買手 買主 買値 書付 書留
過誤払 貸方 貸越金 貸室 貸席 
貸倒引当金 貸出金 貸出票 貸付(金)
貸主 貸船 貸本 貸間 貸家 箇条書
貸渡業 肩書 借入(金) 借受人 借方
借越金 刈取機 借主 仮渡金 缶詰
気付 切手 切符 切替組合員 切替日
くじ引 組合 組入金 組立工 倉敷料
繰上償還 繰入金 繰入限度額 繰入率
繰替金 繰越(金) 繰延資産 消印
月賦払 現金払 小売 小売(商) 小切手
木立 小包 子守 献立 先取特権
作付面積 挿絵 差押(命令) 座敷 指図
差出人 差引勘定 差引簿 刺身 試合
仕上機械 仕上工 仕入価格 仕掛花火
仕掛品 敷網 敷居 敷石 敷金 敷地
敷布 敷物 軸受 下請工事 仕出屋
仕立券 仕立物 仕立屋 質入証券 支払
支払元受高 字引 仕向地 事務取扱
事務引継 締切日 所得割 新株買付契約書
据置(期間) (支出)済(額) 関取
備付品 (型絵)染 ただし書 立会演説
立会人 立入検査 立場 竜巻 立替金
立替払 建具 建坪 建値 建前 建物
棚卸資産 (条件)付(採用) 月掛貯金
付添人 漬物 積卸施設 積出地
積立(金) 積荷 詰所 釣堀 手当
出入口 出来高払 手付金 手引
手引書 手回品 手持品 灯台守 頭取
(欠席)届 留置電報 取扱(所)
取扱(注意) 取入口 取替品 取組
取消処分 (麻薬)取締法 取締役 取立金
取立訴訟 取次(店) 取付工事 取引
取引(所) 取戻請求権 問屋 仲買 仲立業
投売品 並木 縄張 荷扱場 荷受人 荷造機
荷造費 (春慶)塗 (休暇)願 乗合船
乗合旅客 乗換(駅)乗組(員) 場合 羽織
履物 葉巻 払込(金) 払下品 払出金
払戻金 払戻証書 払渡金 払渡郵便局
番組 番付 控室 引当金
引受(時刻) 引受(人) 引換(券)
(代金)引換 引継事業 引継調書 引取経費
引取税 引渡(人) 日付 引込線
瓶詰 歩合 封切館 福引(券)
船積貨物 踏切 振替 振込金 振出(人)
不渡手形 分割払 (鎌倉)彫 掘抜井戸
前受金 前貸金 巻上機 巻紙 巻尺 巻物
待合(室) 見返物資 見込額 見込数量
見込納付 水張検査 水引 見積(書)
見取図 見習工 未払勘定 未払年金 見舞品
名義書換 申込(書) 申立人 持込禁止
元売業者 物置 物語 物干場 (備前)焼
役割 屋敷 雇入契約 雇止手当 夕立
譲受人 湯沸器 呼出符号 読替規定 陸揚地
陸揚量 両替 割合 割当額 割高 割引
割増金 割戻金 割安
※括弧書きが付いているものは、括弧の語句が付かなければ、通則7は適用されない。

 

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送り仮名がなくなる場合

例えば「とりあつかい」については、動詞は省略せずに「取り扱う」、名詞は一部省略して「取扱い」が正しいことは前述しましたが、さらに後ろに語句が続くときは「取扱所」「取扱注意」のように送り仮名を全て省略します。
上記「通則7を適用し送り仮名を省略する語句」の一覧にあるように「仕入価格」「取消処分」「持込禁止」のように前の語句の送り仮名を省略するものが多いですが、「事務取扱」「事務引継」「代金引換」など後ろの語句を省略するものもあります。
また「受付」「請負」「受取」「取組」「振替」のように複合動詞の名詞形なのに振り仮名を全て省略する語句もあります。

 

通則6と通則7は限定的に適用する

「送り仮名の付け方」通則6の許容は、かなり広く送り仮名を書かないことを認めています。
公用文や法令において、これら全ての送り仮名を省略する訳にはいかないため、訓令等で約200語の対象語句が例示されています。
そのため、公用文では対象語句を限定列挙ととらえ、これらの語句以外の省略を認めない運用をしています。

 

一方、通則7は本則であり、送り仮名を付けないことが広く慣用されている名詞に限られていることから、訓令では対象語句が例示されていません。
「送り仮名を付けない慣例がされているかどうか」が判断基準ですが、実際に個々に判断するのは困難です。
そのため公文書においては、通則7で送り仮名を付けない複合語は「法令における漢字使用等について」で例示された約300語のみを使用します。

 

解説や広報等では読みやすさ重視

「公用文作成の考え方」では広く一般に向けた解説や広報等では、読み手に配慮し、送り仮名を省略せずに表記することができるとしています。
国語分科会報告書では、以下のような語句が例示されています。

 

売場→売り場  期限付の職→期限付きの職
手続→手続き  雇主→雇い主

 

ただしこれらは通則6の許容に係るもののみであり、通則7が適用される語句に送り仮名を付けることは認められていません。

 

送り仮名を付けない1字の漢字

次の例のような1字の漢字には送り仮名を付けません。

 

謡 趣 氷 印 頂 卸 煙 志
次 隣 富 恥 話 舞 並 巻 割

 

「組、光、折、係」なども同様ですが、名詞でも動詞の意味が残っている場合は送り仮名を付けます。

・活字の組みが弱い
・述語への係りに違和感がある
・宝石の光りが眩しい
・着物の折りを整える

 

特殊な送り仮名(付表の語)

「常用漢字表」の「付表」に掲げてある語のうち、原則になじまない特殊な送り仮名の付け方をするものについて言及があります。
これは公用文にも適用されるので、以下のように書きます。
①次の語は、次に示すように送ります。

浮つく お巡りさん 差し支える 五月晴れ 立ち退く 手伝う 最寄り

 

②次の語は、送り仮名は付けません。

息吹 桟敷 時雨 築山 名残 雪崩 吹雪 迷子 行方

 

間違いやすい送り仮名の例

「伺」「届」「願」「調べ」
各種文書の標題で使う「伺」「届」や「願」は送り仮名を省略できますが、「調べ」は省略できません。

 

「写」「写し」
コピーを意味する「写し」は送り仮名を付けます。

 

「書き」「書」
「覚書」「ただし書」「箇条書」は振り仮名を省略しますが、「なお書き」は振り仮名を付けます。

 

「払い」「払」
「払」は「概算払」「分割払」「前払」などは送り仮名を省略しますが、「売払い」「後払い」「即時払い」「門前払い」は省略できません。

 

「組」「組み」
「組」は「紅組」「白組」「雑誌とおまけが組になっている」などと、同じ目的で行動を共にする人の集まりや同じ類いの幾つかのものが集まって一揃いになっているようなものなどを意味する場合に用いる表記です。
一方「組み」は、「足場の組みが悪い」「いかだの組みがゆるい」などと動詞の意識が残っているような場合の表記です。

 

「手当て」「手当」
報酬、給与、また、本俸以外に支給するお金の意味の「手当」は、「家族手当」「児童手当」「期末手当」というように送り仮名を付けません。
一方、「手当て」は、前もってその用に備えること、用意、準備を意味する場合や手段、対応策、特に、病気やけがなどに対する処置を意味する場合に用いる表記です。
「手当」「手当て」は、そもそも「手を当てる」という動詞から生じてきた名詞ですが、「手を当てる」の原義は「障害などがある所に手を当てていたわる、あらかじめ手を打ってうまく対応する」などの意味です。
「手当」「手当て」は、両方とも名詞ですが、上記の「組み」と同じように、動詞の意識が残っている名詞には「手当て」のように、送り仮名を付ける傾向にあります。

 

「手引」「手引き」
「手引」は、案内、解説、しおり、手ほどき、マニュアルなどの意味で用いられる表記で、入門書、指導書などの書名にも用いられています。
一方、「手引き」は、手を引いて導くこと、誘導することなどの意味で用いる場合の表記です。
一般的に、「強盗の手引きをする」「内部の者の手引きによる犯行」などと余りいいことには用いられません。
「手引」「手引き」は、そもそも「手を引く、手で引く」という動詞から生じてきた名詞ですが、「手を引く、手で引く」の原義は「手を引いて連れていく、手で引き出す」などの意味です。
これも上記の「組み」や「手当て」と同様、動詞の意識が残っている場合には「手引き」のように、送り仮名を付ける傾向にあります。そのため「文書事務の手引き」などと書かないように注意が必要です。

 

「並み」「並」
「並の人間」「並の料理」「並外れ」というように「普通の程度、中くらいであること」という意味の名詞で用いる場合は送り仮名を付けません。
「家並み」「人並み」などと、同じものが幾つも並んでいることを表したり、同じ程度であることを表したりする場合の接尾語として用いる場合は送り仮名を付けます。

 

「合わせる」「併せる」
「合わせる」「併せる」は、二つ以上の物を一緒にするという意味では似ていますが、「合わせる」は混ぜ合わせてぐちゃぐちゃにして別のものにしてしまうことであるのに対して、「併せる」はあわせたものが何かしらの形骸を残して両立させるという、意味の違いがあります。
「合わせる」「併せる」は意味において使い分けが必要ですが、送り仮名にも注意が必要です。
「合わせる」(他動詞)に送り仮名を活用しない「わ」から送るのは、「合う」(自動詞)との対応からです。
一方、「併せる」には、対応する自動詞がないため、「併せる」と活用語尾のみを送ることになります。

 

ちなみに同様のケースとして、「押さえる、抑える」「起こす、興す」「据わる、座る」「捕らえる、捉える」「分かれる、別れる」など多数の語句があるので注意が必要です。

 

「後」「後ろ」
「後」について、常用漢字表は「ゴ、コウ、のち、うしろ、あと、おくれる」の音訓を定めています。
このうち、「後ろ」と「後れる」には送り仮名が必要です。
「後れる」という動詞に送り仮名を付けるのは当然ですが、「前」の反対語である「後ろ」という名詞に「ろ」を送るのは、「活用する語から転じて名詞になった語を除き、元来の名詞には送り仮名を付けない」という原則に対する例外として「送り仮名の付け方通則3例外」にうたわれています。
「後」と表記しただけでは、「あと」との誤読を避けられないため、「後ろ」のように送り仮名を付けます。

 

「済み」「済」
「済み」は「使用済みです」など単独で用いるときは送り仮名を付けますが、「使用済額」など後ろに語句が続くときは省略します。

 

その他
その他特に間違いやすい送り仮名は次のとおりです。

 

当たって(×当って) 危ない(×危い)
承る(×承わる) 行う(×行なう)
打合せ(×打合わせ ×打ち合わせ)
押さえる(×押える) 終わり(×終り)
来る(×来たる) 仕組み(×仕組)
速やか(×速か) 損なう(×損う)
問合せ(×問い合わせ ×問合わせ)
伴う(×伴なう) 懐かしい(×懐しい)
申合せ(×申合) 申立て(×申し立て)
申出(申し出) 届出(×届け出)
○月○日付け(×付)

※「付け」はルール上、「日付」を除いて送り仮名は省略できませんが、一般には、辞令書等の特殊な用途で省略する慣例がある場合もあります。 「期限付」という使い方や、「条件付採用」という後ろに語句が続くときは送り仮名を省略します。

 

送り仮名の原則によらない場合

①「送り仮名の付け方」は、地名、人名などの固有名詞を対象とするものではありません。
②必要と認める場合は、「送り仮名」の付け方の本分の通則2、通則4と通則6の「許容」そして「付表の語」のなお書きを適用してもかまいません。

 

ただし、この「必要と認める場合」というのは、具体的には「専門用語と特殊用語にこの原則を適用するに当たって、必要と認める場合には、特別の考慮を加える余地があるものとする。」ということです。
したがって、一般的な公用文の場合には迷うことなく「原則」を適用します。

 

まとめ

・二つの動詞がくっついて一つの動詞になっているものを、複合語という。(例:取り組む、取り扱う)
・複合語の送り仮名は、活用のある語は「取り組む」「取り扱う」のようにそれぞれ送り仮名を書くのが「送り仮名の付け方」(昭和48年内閣告示第2号)の本則として正しい。
・読み間違えるおそれのない場合は、「取組む」のように送り仮名を省くことも許容されているが、公用文では認められない。
・複合の語で、活用のない語であって読み間違えるおそれのない語については、真ん中の送り仮名を省く。(例:取扱い)
・複合の語で、活用のない語で慣用が固定していると認められる語については、全て送り仮名を付けない。(例:取組、手引)
・公用文の送り仮名は1字多く送ったり、少なく送ったりするのは認められない。
・活用のある語は「活用語尾」を送るのが原則。(「読む」の「む」(「ま・み・む・め」などと変化))
・ただし、語幹が「し」で終わる形容詞は「し」から、活用語尾の前に「か」、「やか」、「らか」を含む形容動詞は、その音節から送る。
・名詞は原則として送り仮名を付けない。
・副詞、連体詞は、原則として最後の音節を送る。(例:必ず)

 

 

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