なぜ地方自治体に文書管理が必要なのか

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なぜ地方自治体に文書管理が必要なのか

文書管理の目的

自治体は条例に基づいて文書管理規則等で文書管理に関する必要な事項を定めています。
単に市の内部の事務処理上のルールを定めたものではなく、住民の知る権利を保障するために、どのように文書管理を行うべきかということを定めています。
自治体が扱う文書は、住民等への説明責任を果たす必要があるからです。

 

文書管理規則等を定めるにあたっては、行政機関の保有する情報の公開に関する法律(「情報公開法」)及び行政機関の保有する情報の公開に関する法律施行令の制定に伴い定められた「行政文書の管理方策に関するガイドライン」(平成12年2月25日付け各省庁事務連絡会議申合せ)や記録管理の国際規格である「ISO 15489-1:2001,Information and documentation−Records management−Part 1:General」とそれを基に日本工業規格(JIS)として定められた「情報及びドキュメンテーション−記録管理− 第1部:総説(JIS X 0902-1:2005)」が参考になるでしょう。

 

JIS X 0902-1:2005には、記録管理の利点として、次のように書かれています。

 

4. 記録管理の利点
記録管理は,記録管理者及び自分の業務活動の過程で記録を作成,又は利用する者の実務を律する。
組織の記録管理は,次の事項を含む。
a) 方針及び標準を設定する。
b) 責任及び権限を定める。
c) 手順及び指針を策定し,普及する。
d) 記録の管理及び利用に関連した一定の範囲のサービスを提供する。
e) 記録を管理するため,特別のシステムを設計,導入,管理する。
f) 記録管理を業務システム及び処理プロセスに統合する。
記録は情報(貴重な資源であって,重要な業務上の資産でもある情報)を含む。記録を行動の証拠として保護し保存するために,組織及び社会が記録の管理に対し系統的なアプローチを取ることが重要となる。記録管理システムは,現在及び将来の利害関係者に対する説明責任を確かなものにするとともに,後の活動及び意思決定に役立つ,業務活動に関する情報源となる。
記録によって組織は,次のことが可能になる。
− 規則正しく,効率的で,説明責任が果たせる方法で業務を管理する。
− 一貫して公平な方法でサービスを提供する。
− 方針策定及び経営の意思決定を支援し,文書化する。
− 経営及び管理における一貫性,継続性及び生産性を提供する。
− 組織全体の活動の効果的な遂行を促進する。

− 災害発生時の業務の継続性を保つ。
− 長期保存,監査及び監督の活動を含む法令・規制要件を満たす。
− 組織活動における証拠の有無又は欠如に関係したリスクの管理を含む,訴訟時の防御及び支援を提供する。
− 組織の利益並びに従業員,顧客,現在及び将来の利害関係者の権利を保護する。
− 歴史的な調査とともに,現在及び将来の研究開発の活動,展開及び遂行を支援し,文書化する。
− 業務,個人及び文化の活動の証拠を提供する。
− 業務,個人及び文化のアイデンティティを確立する。
− 組織,個人,又は集団の記憶を維持する。

 

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このことは、自治体における文書管理についても言えることであり、文書管理がいかに重要であるかの表れです。
文書事務を行うときにも、常に意識しておく必要があります。

 

情報公開を推進するために

前述したように、自治体の文書管理は情報公開条例をその根拠とし、情報公開制度の適正かつ円滑な実現を目的とするものです。文書管理規則等では、その目的を果たすために、文書管理システムを活用し、インターネット等の情報技術を利用することによって、より一層情報公開を推進することを、自治体の努力義務として定めている例もあります。

 

具体的には、文書管理システムに登録された行政文書の目録情報や本体を、ホームページ等で検索し、閲覧できるようにしたり、あるいは情報公開条例に規定されている行政文書開示請求を電子申請できるようにすることが求められています。
こういったサービスは住民等への説明責任を果たし、住民サービスを向上させるためにも、文書管理責任者の指示のもと、どの自治体においても検討する必要があるでしょう。

 

行政文書は自治体だけのものではなく、住民との共有財産であることを念頭に置き、いかに、住民の行政文書に対するアクセスする権利の保障し、実現していく義務を負っているのです。
そのためにも、職員は行政文書を適正に管理していく必要があります。

 

適正な文書管理に必要なこと

(1) 紙文書も電子文書も整理する
文書管理に必要な事項とは、紙文書の整理整頓だけではありません。
以前の文書管理は、紙の書類をいかに片付けるか、またいらない書類をいかに捨てるか、といった視点から捉えられてきました。
しかし、現在では情報化の進展に伴い、電子的に作成され、やり取りされる文書が多くなってきました。
現在においては、電子文書も適正に管理できる仕組みが必要です。

 

(2) 文書サイクルの管理
現在の文書管理は、紙媒体のみならず電子媒体も対象にし、また、文書の作成から廃棄までのサイクル全般を対象にしています。
ただ単に、文書の目録情報を登録するだけでなく、収受・起案という文書の発生から、決裁という意思決定の経過、さらには、廃棄という文書の消滅までを一元的に管理することが必要です。

 

(3) 文書管理システムの利用と運用ルールの整備
このように、電子文書を含めた文書のサイクル全般を一元的に行うためには、情報システムによる支援が必要です。
そのため、今やどの自治体においても、全庁で文書管理システムの運用がはじまっています。

 

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