「及び」「又は」のたすき掛け用法|公文書の書き方
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「及び」「又は」を使った接続方法は、法令等の公用文を作成する際に重宝する知識です。
列挙には「及び」などを使った限定列挙、「等」などを使った非限定列挙があります(限定列挙と非限定列挙の詳細は「及び、等」などの使い方|公文書での並列・併用表現を参照)。
さらに限定列挙には、「及び」を用いて集合の全体を示すものと、「又は」を用いて集合の中の一つを示すものがあります。
また、「及び」「又は」は「たすき掛けの用法」もあるため、その使い方を以下例文とともに解説します。
「及び」「又は」の基本的な使い方
例1 この申請書には、A図面、B図面及びC図面を添付してください。
例2 この申請書には、A図面、B図面又はC図面を添付してください。
例1の場合、A、B、Cの図面の全部を添付しなければ要件を満たせませんが、例2の場合A、B、Cの図面のうちいずれか一つを添付すれば要件を満たせます。
この解釈上の違いは、公用文を書く場合、接続詞の用法がいかに重要であるかを物語っています。
「及び」「又は」のたすき掛け用法
接続詞の「及び」「又は」には、「たすき掛けの用法」があります。
例えば、語句の結びつきが、下図のような関係にある場合にこの「たすき掛けの用法」を使います。
上図のような関係(「AのC及びD」「BのC及びD」)にある場合には、これらを一緒にまとめて、「A及びBのC及びD」とするのが一般的です。
このように、語句の関係が右側から見て「たすき掛け」の形になっているので、「たすき掛けの用法」と呼ばれています。
この用法は、公用文でも法令でも、次の例のように多く用いられています。
例① 次の欄に、本人及び保護者の氏名及び住所を記入してください。
例② 労働者及び使用者は、労働契約を遵守するとともに、信義に従い誠実に、権利を行使し、及び義務を履行しなければならない。
なお、接続詞の「又は」を用いて、次の例のように表記する場合もあります。
例① 委員は、在任中又は退任した後においても、職務上知り得た事項をみだりに他人に知らせ、又は不当な目的に使用してはならない。
例② 委員長及び委員は、在任中、政党その他の政治団体の役員となり、又は積極的に政治活動をしてはならない。
例②の主語は、「委員長及び委員」とするのが普通ですが、委員長又は委員としても、文意はほとんど変わりません。
前後の文脈によっては、「委員長又は委員」とした場合もあり得るので、文章に応じて書き分ける必要があります。
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