情報公開制度を分かりやすく解説|公文書、行政文書のメモの定義
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情報公開の実施機関
実施機関は、条例に基づき、行政文書の開示についての義務を果たすための情報管理主体としての側面と、開示請求に対し決定( 行政処分) を行う行政庁としての側面を有します。
⑴ 審査会、審議会などの附属機関については、各実施機関の管理に属しているので、実施機関と同様に取り扱います。
⑵ 各実施機関が事務局を持っている各種団体は、この制度の対象とはなりませんが、事務局として、実施機関の職員が職務上作成し、実施機関が管理している文書は、実施機関の保有する行政文書となり、対象となります。
行政文書とは
⑴ 職務上作成し、又は取得した文書は、実施機関の職員が自己の職務の範囲内において事実上作成し、又は取得した場合をいい、文書等に関して自ら法律上の作成権限又は取得権限を有するか否かを問いません。
職務には、地方自治法第180条の2 又は第180条の7 の規定により他の実施機関から委任を受け、又は他の実施機関の補助執行として処理している事務等を含みます。
⑵ 電磁的記録
電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られた記録全般をいい、光ディスク、磁気ディスク、磁気テープなどの媒体に記録され、その内容の確認に再生用の機器を用いる必要がある情報をいいます。
⑶ 実施機関の職員が組織的に用いるものとして、当該実施機関が保有しているもの
行政文書が、その作成又は取得に関与した職員個人段階のものではなく、組織共用の実質を備えた状態、すなわち、実施機関の組織において、事務事業の執行上必要なものとして、利用、保存されている状態のものを意味します。
したがって、職員が自己の執務の便宜のために保有する正式文書と重複する当該文書の写しや、職員の個人的な検討段階にとどまる資料等(いわゆる個人メモ)は、これにあたりません。
以下に行政文書又は個人メモの区分の例をあげます。
行政文書
起案文書、収受文書、各種手引書、会議の資料、組織的に利用・保存されている電磁的記録
個人メモ
起案文書の下書き(原本性のないワープロ・フロッピィ等)、会議録作成用のメモ(原本性のない録音テープ)、行政文書の複写を職員が便宜的に保有している場合の当該複写
ただし、行政文書と個人的メモの判断は、外形的な要件で決まるものではなく、組織的な利用・保存がなされていたかどうかで決まるので、以下のような場合には、形式的には個人的メモであっても、行政文書となるので注意が必要です。
正式の会議録がなく事実上の会議録として利用・保存されているメモ、原本性確保のため保管されている録音テープ、当該行政文書が廃棄された場合の当該複写文書
なお、文書規程等に基づき廃棄された行政文書については、公開の対象となりませんが、保存期間が満了していても廃棄されずに現に保有されているものは、公開の対象となります。
⑷ 例外
開示請求の対象となる行政文書から除かれるもの、つまり、条例の適用を除外する行政文書について定めたものです。
ア 不特定多数の者に販売することを目的として発行されるものは、一般にその内容を容易に知ることができるものであることから、本制度の対象外です。
イ 一般の行政事務処理上の必要性からではなく、歴史や文化、学術研究といった観点から、その資料的価値に着目して保有されているものを開示請求は対象外です。具体的には、図書館や郷土資料室において、歴史的若しくは文化的な資料又は学術研究用の資料として特別の管理がされているものは、条例の適用除外となります。
ウ 特別の管理がされているものとは、以下の要件をすべて満たすものをいいます。
① 他の一般文書と区分して管理されていること。
② 資料の内容及び所在を明らかにする目録が作成され、それが公にされていること。
③ 部外者の利用に関する手続が定められ、それが公にされていること。
行政文書の開示方法
行政文書の開示方法としては、「閲覧」「視聴」「写しの交付」の三つです。
組織共用文書の範囲
⑴ 作成した文書
職務上の内部検討に付された時点以降のものであって、当該組織において利用可能な状態で保存されているものをいいます。具体的には、次のア及びイの両方の要件を満たすものが組織共用文書に該当します。
ア 職務上の内部検討に付された時点以降のもの
① 「職務上の内部検討」とは、課長等一定の権限を有する者(以下「課長等」といいます。)を含めて行われる内部検討をいいます。
② 「一定の権限を有する者」とは、職務権限規程等に規定する事案の決定権を有する者をいいます。
③ 課長等が不在の際、職務権限規程等に規定する事案の決定又は審議の臨時代行者が検討に加わった場合は、職務上の内部検討に付されたものとみなします。
④ 課長等を含む内部検討に付されていないものであっても、台帳類・帳簿類及び簡易又は定型的な文書等であって当該組織において利用するために作成されたものは、職務上の内部検討に付されたものとみなします。
⑤ 起案文書については、事案の決定権者の指示により作成されるものであるため、起案者により作成された時点で職務上の内部検討に付されたものとみなします。
⑥ 「職務上の内部検討に付された時点以降」とは、組織として説明する責務を果たす観点から、作成した文書が職員の個人的検討の段階を離れ、一定の権限を有する者の関与を経て組織的に用いる文書としての実質を備えることとなった時点以降という趣旨です。
イ 組織において利用可能な状態で保存されているもの
① 文書規程の規定に基づき、登録等が行われ、保存されているものをいいます。ただし、登録等が行われていない場合であっても、共
用のファイリングキャビネットや書庫等に保存されているものは、「組織において利用可能な状態で保存されているもの」に該当します。
② 「保存されているもの」には、回付中の文書又は内部検討の途上にある文書を含むものとします。
ウ 具体例
① 事案決定等の手続が終了した文書
② 事案決定等の手続の途中の文書
③ 課長等を含む内部検討に付された段階の素案等
④ 庁内の組織間での事務説明用に提出された資料
⑤ 部長会、部内課長会その他課以上の組織をまたがる会議、打合せ等に提出された資料
⑥ 関係部課長会等に提出された資料
⑦ 庁議等に提出された資料
⑧ 審議会、懇談会等の資料
⑨ 説明会、対外的打合せ等の資料
⑩ 事務マニュアル、業務日程表等組織的に利用する文書
⑵ 取得した文書
受領した時点以降のものであって、組織において利用可能な状態で保存されているものをいいます。
具体的には、次のア及びイの両方の要件を満たすものが組織共用文書に該当します。
ア 受領した時点以降のもの
受領した時点以降のものであれば、必ずしも収受の手続が完了している必要はありません。したがって、会議等で配布された文書は、配布された時点で受領したことになります。
イ 組織において利用可能な状態で保存されているもの上記⑴イに同じ。
ウ 具体例
① 供覧の手続が終了した文書
② 供覧の手続の途中の文書
③ 会議等で受領した資料
④ 申請書、届出書、報告書等(実施機関へ提出された時点で対象となります。)
⑤ 委託契約等の成果物
⑶ 電磁的記録の取扱い
電磁的記録についても、上記⑴及び⑵と同様の考え方とします。
ア 業務用システムのデータ等
汎用コンピュータ、オフィスコンピュータ、サーバー等により処理されている業務用システム(当該事務処理のために特別に作成されたプログラムを用いてパソコン等により処理を行っているものを含みます。)のデータ等については、実施機関が組織的に利用・管理するものと認められるので、原則として組織共用文書に該当します。
イ フロッピーディスク等に記録された文書等
パソコンやワープロで作成された文書等で、フロッピーディスクやハードディスク等(以下「フロッピーディスク等」という。)に記録されたものについては、上記⑴又は⑵の要件に該当する場合は組織共用文書となります。
なお、起案文書や資料等を作成するため、職員が事務処理の過程で補助的、手段的に作成した文書であってフロッピーディスク等に記録されているものについても、組織において利用可能な状態で保存されている場合は、組織共用文書に該当します。
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