成功をおさめるは「収める」「納める」?公文書の正しい漢字の使い方
- あう(合う、会う、遭う)
- あがる・あげる(上がる、揚がる、挙がる)
- あたたかい(暖かい、温かい)
- あらい(荒い、粗い)
- あらわす・あらわれる(表す、現す、著す)
- あわせる(合わせる、併せる)
- 言う、いう
- いかす(生かす・活かす)
- 「意思」と「意志」
- 異常、異状
- 「委譲」と「移譲」
- いたす、致す
- いたむ・いためる(傷む、痛む、悼む)
- うかがう(伺う、窺う)
- うち、内
- うつ(打つ、撃つ、討つ)
- うつす(映す、写す)
- おかす(犯す、侵す、冒す)
- おくれる(遅れる、後れる)
- おさえる(抑える、押さえる)
- おさめる(収める、納める、治める、修める)
- おりる・おろす(降りる、下りる、卸す)
- 「改訂」と「改定」
- かえる(変える、替える、換える、代える)
- かえりみる(顧みる、省みる)
- かかる(掛かる、係る、架かる、懸かる)
- 「格差」と「較差」
- 科する、課する
- かたい(固い、堅い、硬い)
- きく(聞く、聴く)
- 効く、利く
- 「規定」と「規程」
- 交代、交替
- こえる(超える、越える)
- こたえる(答える、応える)
- さがす(探す、捜す)
- さきに、先に
- 自任、自認
- 「収束」と「終息」
- 主催、主宰
- 趣旨、主旨
- 召集、招集
- 伸展、進展
- すすめる(勧める、進める、薦める)
- 製作、制作
- そう(沿う、添う)
- 体制、態勢、体勢
- たえる(耐える、堪える)
- たつ(絶つ、断つ、裁つ)
- 追及、追求、追究
- つかう(使う、遣う)
- 作る、造る、創る
- 「適確」と「的確」と「適格」
- 同志、同士
- 特長、特徴
- ととのう(整う、調う)
- とる(取る、採る、執る、捕る、撮る)
- 伸びる、延びる
- のぼる(昇る、上る、登る)
- 計る、測る、量る
- 煩雑、繁雑
- 半面、反面
- 編成、編制、編製
- 保障、保証
- まざる(混ざる、交ざる)
- 町、街
- 丸い、円い
- まわり(回り、周り)
- 未到、未踏
- めぐる、巡る
- もと(下、元、本、基)
- 野生、野性
- 要項、要綱
- 連携・連係
- わかれる(分かれる、別れる)
- わざ(業、技)
成功を「おさめる」の漢字は、「収める」「納める」どちらが正しいか分からなくなってしまうこともよくあると思います。
このように同音で意味の近い語が漢字で書かれる場合、誤用がないように注意します。
成功を「おさめる」の正しい漢字は「成功を収める」です。
他にも「勝利を収める」「時間内に収める」といった用例でも「収める」を持ちます。
一方の「納める」は、「税金を納める」「注文の品を納める」という場合に使用します。
ちなみに「おさめる」には「治める」「修める」という漢字も存在し、「国を治める」「学問を修める」というように使用します。
以下では他にも特に間違えやすい漢字について、五十音順に例を挙げてご紹介します。
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あう(合う、会う、遭う)
合う …計算が合う。目が合う。
会う …人に会う。
遭う …災難に遭う。
あがる・あげる(上がる、揚がる、挙がる)
上がる・上げる …地位が上がる。
揚がる・揚げる …花火が揚がる。歓声が揚がる。
挙げる …例を挙げる。
あたたかい(暖かい、温かい)
暖かい …暖かい空気
温かい …心温まる話
あらい(荒い、粗い)
「荒い」は、勢いが激しい、乱暴である、節度がないなどの意味で、行動、言動、動作などについて用いられます。
「粗い」は、大ざっぱ、手が行き届いていないなどの意味で、状態、様子、やり方などについて用いられます。
ただし、これから完成させるものについて「粗削り・荒削り」などと用いる接頭語としての「粗・荒」には使い分けの区別はありません。
荒い・・・気が荒い。波が荒い。人使いが荒い
粗い・・・きめが粗い。仕事が粗い。粗い調査。
あらわす・あらわれる(表す、現す、著す)
「表す」は、その人の考えや感情などを言語、音楽、絵画などの手段によって表現したり、記号として、その内容を表示したりする場合に用いられます。
「現す」は、今まで隠れていたもの、分からなかった事情などがはっきり見える状態になることをいいます。
表す・表れる・・・言葉に表す。文章に現す。名は体を表す。
現す・現れる・・・姿を現す。才能を現す。成果が現れる。
著す・・・書物を著す。
あわせる(合わせる、併せる)
「あわせる」は、一致させるという意味の動詞には「合わせて」を用い、並行してという意味の副詞には「併せて」を用います。
「合わせる」「併せる」は、二つ以上の物を一緒にするという意味では似ていますが、「合わせる」は混ぜ合わせてぐちゃぐちゃにして別のものにしてしまうことであるのに対して、「併せる」はあわせたものが何かしらの形骸を残して両立させるという、意味の違いがあります。
ただし、接続詞の場合はひらがなで書きます。
合わせる・・・力を合わせる。時計を合わせる。
併せる・・・併せてお願いする。
あわせて・・・あわせて、住民の意向調査を行うべきである。
「合わせる」「併せる」は意味において使い分けが必要ですが、送り仮名にも注意が必要です。
「合わせる」(他動詞)に送り仮名を活用しない「わ」から送るのは、「合う」(自動詞)との対応からです。
一方、「併せる」には、対応する自動詞がないため、「併せる」と活用語尾のみを送ることになります。
ちなみに同様のケースとして、「押さえる、抑える」「起こす、興す」「据わる、座る」「捕らえる、捉える」「分かれる、別れる」など多数の語句があるので注意が必要です。
言う、いう
「言う」は、人が口に出して話す、述べる、注げるなど、人が口にする場合に用います。
それ以外は、慣例的表現(「言い分」などの熟語)を除いて、全て「いう」と仮名書きを用います。
例えば、「係長というポスト」といった表現は多用されます。
いかす(生かす・活かす)
「生かす」の反対語は「殺す」であって、「重篤な病人を生かす」などと用いられます。
「いかす」は、活用するという意味で、漢字で書くと「活かす」ですが、常用漢字表には「活」に「いかす」の読みがありません。
そのため、公用文では「活かす」は使えず、平仮名で書くことになります。
「意思」と「意志」
つまり単純に当事者の思いという意味なら「意思」、意欲があるという意味で「心の動き・志」に重点を置いているなら「意志」となります。
公用文の場合は、ほぼ「意思」を使用しておけば問題ありません。
意思・・・研修への参加の意思を確認する。意思決定。
意志・・・・彼は、意志が弱くてなかなか行動できない。
異常、異状
「異常」は、正常の反対語で、常と異なることです。品詞は形容動詞です。
「異状」は、「異なる状態」のことです。品詞は名詞です。
それぞれ品詞が違うのがポイントで、用法が違うことに注意します。
異常・・・異常な物音。異状な心理。
異状・・・異状なし。特に異状を認めない。
「委譲」と「移譲」
「委譲」は権限を任せて委ねることです。
「移譲」は事務事業や施設を移管することです。
ただし、判断が難しい場合もあり、法令上明確には整理されていません。
いたす、致す
「致す」は、及ぼす、尽くすなどの意味で用いられたり、動詞「する」の謙譲語として用いられたりする本来の動詞です。
「いたす」は、本来の動詞ではなく、補助動詞として「する」の丁寧語の意味で「いたします」という表現で用いられます。
動詞を丁寧にするために付いた「いたします」は平仮名になります。
致す・・・不徳の致すところ。思いを致す。私が致します。(動詞)
いたす・・・お願いいたします。ご案内いたします。(補助動詞)
いたむ・いためる(傷む、痛む、悼む)
痛む・痛める …足が痛む。
傷む・傷める …家が傷む。
悼む …死を悼む。
うかがう(伺う、窺う)
「伺う」は聞くや尋ねるの意味合いで用いるとき、「窺う」はのぞき見るや推定するの意味合いで用いるとき。
うち、内
「内」の反対語は「外」で、区切られた部分の中側を指す意味です。
「うち」は、「~のあいだ」「以内、限度内、範囲内」の意味のときは、平仮名で書きます。
うち・・・委員は経験者のうちから選任する。そのうちに連絡する。明るいうちに済ませる。
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うつ(打つ、撃つ、討つ)
打つ …くぎを打つ。
討つ …敵を討つ。
撃つ …鉄砲を撃つ。
うつす(映す、写す)
写す・写る …書類を写す。
映す・映る …スクリーンに映す。
おかす(犯す、侵す、冒す)
犯す …法を犯す。
侵す …権利を侵す。
冒す …危険を冒す。
おくれる(遅れる、後れる)
遅れる …完成が遅れる。
後れる …後れを取る。
おさえる(抑える、押さえる)
押さえる …要点を押さえる。
抑える …怒りを抑える。
おさめる(収める、納める、治める、修める)
「収まる」は、「収」に物の内側に立って取り入れるという意味があり、自分の手に入れること、乱れていたものや平静を欠いていたものが元の通りの安定した状態になること、入れ物の中にきちんと入ることを意味します。
「納まる」は、「納」が織物などの貢物を倉庫の中に入れ込むことを示しているように、外側から内側に入れることを意味しており、物をきちんとしまう、然るべき受け手にわたる、終わりにすることなどを意味します。
収める・・・成功を収める。財布に収める。目録に収まる。勝利を収める。成功を収める。
納める・・・注文の品を納める。国庫に納まる。税金を納める。仕事納め。
治める・・・国を治める。
修める・・・学問を修める。
おりる・おろす(降りる、下りる、卸す)
降りる …電車を降りる。
下りる …許可が下りる。
卸す …小売に卸す。
「改訂」と「改定」
「改訂」は文書や書籍の更新のみに用います。
料金、規約、制度の更新には「改定」を用います。
かえる(変える、替える、換える、代える)
変える …形を変える。
換える …書き換える。乗り換える。
替える …振り替える。入れ替わる。
代える …書面をもって代える。
かえりみる(顧みる、省みる)
顧みる …過去を顧みる。
省みる …自らを省みる。
かかる(掛かる、係る、架かる、懸かる)
掛かる …迷惑が掛かる。
懸かる …賞金が懸かる。
架かる …橋が架かる。
係る …本件に係る訴訟
「格差」と「較差」
「格差」は構造的な差異があるという意味で、「較差」は数量的な差異があるという意味。
・地域の格差
・一票の較差
科する、課する
「科する」は、法令違反行為に対して制裁を加えることです。
「課する」は、割り当てること、税金や業務を義務として負わせることです。
誤用が多い語句なので注意が必要です。
科する・・・禁錮3年の刑を科する
課する・・・税金を課する。業務を課する。
かたい(固い、堅い、硬い)
堅い …堅い材木
固い …固く信じる。団結が固い。
硬い …硬い表現
きく(聞く、聴く)
「聞く」は、自然と音や声を耳に感じることです。自ら聞く気で聞くのではなく、聞こえてくるような場合に用いられます。また、尋ねるという意味合いのときにも用いられます。
「聴く」は、自ら積極的に耳を傾ける意味合いのときに用います。
ただし、聞き耳を立てる、盗み聞きをする、聞きほれるなど、自ら積極的に耳を傾ける場合でも、慣例的に「聞く」を用いる場合もあります。
聞く・・・物音を聞く。道順を聞く。音楽が聞こえてくる。
聴く・・・音楽を聴く。意見を聴く(※使役の意味では「聞」 例:意見を聞かせてください)。理由を聴く。
効く、利く
「効く」は、効き目や効果が現れるという意味です。
「利く」は、本来の機能通りに動く、可能であるという意味です。また、ものを言う、口添えをするという意味もあります。
効く・・・冷房が効く。薬が効く。
利く・・・クーラーが利く。口を利く。左手が利く。小細工が利く。
「規定」と「規程」
「規定」とは、例規中の個別具体的な条項や語句のことを言います。
「規程」とは、個々の条項をいうのではなく、例規の総体の意味で用いられます。訓令などの題名において「○○規程」のように固有名詞の一部として多用されます。
規程・・・文書管理規程。職務管理規程。決裁規程。
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交代、交替
「交替」は、同一の仕事を時間を分けて順々に入れ替わって行う意味で用いられる。短時間で何度も交替するイメージです。
「交代」は、前の人が行っていた仕事や役目を、別な人が代わって引き継ぐ意味で用いられます。当事者間では1回限りで交代するイメージです。
交替・・・交替で勤務する。昼夜交替で働く。
交代・・・部長が交代する。主役が交代する。
こえる(超える、越える)
「越える」は、ある場所や物体の上を過ぎて、またいで、その向こうに行く意味です。また、比喩的に、年や季節を過ぎ、又は困難な事柄を乗り切っていく意味でも使われます。
「超える」は、一定の分量、限度、範囲を過ぎてその上にいく意味です。ただし、「30日を超える」といった場合、基準点の「30日」を含まず、それより上の日数を指す点に注意します。含む場合は「30日以上」と表記します。
越える・・・山を越える。難関を越える。権限を越えた発言。年を越す。
超える・・・人の能力を超える。目標額を超える。10万人を超える。予想を超える。
こたえる(答える、応える)
「答える」は、他人からの呼びかけや問いかけに対して、返事したり、説明したりする意味です。
「応える」は、他人からの期待、要求又は歓迎に対して、それに見合うような活躍、活動又は行為をする意味です。
答える・・・質問に答える。「はい」と答える。次の問いに答えなさい。
応える・・・期待に応える。負託に応える。要望に応える。歓迎に応えて手を振る。
さがす(探す、捜す)
捜す …犯人を捜す。
探す …空家を探す。
さきに、先に
先に・・・名詞「先」に助詞「に」が付いた語句で、前の部分、将来、先方など様々な意味で用いられます。
さきに・・・副詞の単独語で、この前、以前、かつて、などの意味で用いられます。
さきに・・・さきにお知らせした件。さきに御案内いたしましたように。
自任、自認
「自任」は、自分が引き受けた役職や存在について、自分はそれにふさわしい能力、資質、資格を持っていると思うことによって、誇りを持っている意味です。
「自認」は、自分で認めることであるが、その認める内容があまり良くない場合に用いられることが多いです。
「自任」・・・第一人者だと自任している。適任だと自任している。
「自認」・・・不得意だと自認している。悪い癖だと自認している。
「収束」と「終息」
「収束」は事態がある程度収まることをいいます。
「終息」は事態が終結することをいいます。
「終息」はあくまで自動詞のみに用いるので、「終息させる」という表現はしません。
主催、主宰
「主催」は、催物、行事、会合などを主体として開催する意味です。
「主宰」は、多くの人々を組織し、その先頭に立ち、中心となって物事を運営する意味です。
主催・・・住民主催の祭り、運動会の主催者、主催団体
主宰・・・劇団を主宰する。同人誌を主宰する。会の主宰者。
趣旨、主旨
「趣旨」は、文章などで述べようとすることの全体の趣、物事を行う事情、理由、目的などの意味です。
「主旨」は、文章、話、意見などの中心となる事柄、内容、骨格となる考え方の意味です。
つまり、「主旨」は、「趣旨」を更に絞った内容となります。
趣旨・・・趣旨の説明、設立の趣旨、条例制定の趣旨
主旨・・・判決理由の主旨。次の文章の主旨を50字以内で述べよ。
召集、招集
「召集」は、地位の高い者が自分より地位の低い大勢の人を呼び集める、召し集めるという意味です。現在は、天皇が国事行為として国会を召集する場合に限って用いられます。
「招集」は、単に多くの人を招き集める意味です。
召集・・・国会が召集された。
招集・・・議会を招集する。株主が招集された。
伸展、進展
「伸展」は、伸ばして広げることで、物事の規模の勢いの伸張、拡大の意味です。
「進展」は、物事が進歩して発展する意味です。また、進行して展開する意味もあります。
伸展・・・事業の伸展。国の伸展。
進展・・・話合いが進展する。事件が進展する。
すすめる(勧める、進める、薦める)
進める …時計を進める。
勧める …入会を勧める。
薦める …候補者として薦める。
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製作、制作
「製作」は、道具、器具、機械など実用的な品物を作る意味です。
「制作」は、絵画、彫刻、映画など芸術作品を作る意味です。
製作・・・家財道具を製作する。鉄鋼製作所。
制作・・・映画を制作する。番組を制作する。
そう(沿う、添う)
沿う …川沿いの家
添う …連れ添う。付き添う。
体制、態勢、体勢
「体制」は、制度化、組織化された国家、社会、組織の仕組み、構造、在り方の意味です。
「態勢」は、ある物事、状況に対応するための一時的、臨時的な身構えや態度の意味です。
制度的に永続するものが「体制」、一時的なものが「態勢」といった覚え方ができます。
また、「体勢」は、「体制、態勢」と全く別物で、体の姿勢、体の構えの意味になります。
体制・・・政治体制を批判する。独裁体制が崩壊する。
態勢・・・受入れ態勢。防災態勢は万全か。柔軟な態勢で臨む。
体勢・・・体勢を崩す。無理な体勢で飛ぶ。不利な体勢になった(比喩表現)。
たえる(耐える、堪える)
堪える …鑑賞に堪えない。
耐える …重圧に耐える。
たつ(絶つ、断つ、裁つ)
断つ …退路を断つ。
絶つ …命を絶つ。
裁つ …紙を裁つ。
追及、追求、追究
「追及」は、責任や誤りなどを徹底して調べたり、言い立てたりして責める意味です。
「追求」は、どこまでも後を追いかけてっ目的とするものを求める意味です。
「追究」は、学問、真実などを問い詰めて調べる意味で、深く究める意味になります。
追及・・・責任を追及する。犯人を追及する。
追求・・・利潤を追求する。幸福を追求する。
追究・・・真理を追究する。本質を追究する。
つかう(使う、遣う)
使う・・・物を使うとき
遣う・・・気持ちや言葉を遣うとき
作る、造る、創る
「作る」は、人が手で小規模なものをこしらえる意味です。また、抽象的なものや無形のものを生み出すような意味もあります。
「造る」は、機械などを使って、大規模なもの、工業的なものをこしらえる意味です。
「創る」は、創造力をいかして新しいものを創出する意味です。
作る・・・規則を作る。服を作る。計画を作る。実積を作る。
造る・・・船を造る。庭園を造る。財産を造る。
創る・・・新しい文化を創る。画期的な商品を創る。新時代の作品を創り出す。
「適確」と「的確」と「適格」
「適確」と「的確」は、いずれも主に法令に用いられます。
「適確」は、適正で確実なことを意味しますが、事実や実態に合致しているだけでなく最良の方法で行われる意味です。
「的確」は、取り上げたものが適正である、的を外れる確かであるという意味です。
法令上は「適確」がやや多く使用されますが、法令以外の公用文では「的確」が使用されるのが慣例になっており、意味の違いはあまり意識されていません。
また、「適格」は、反対語は「欠格」であって、定められた資格に適合していることを意味します。
的確・・・的確な判断。的確に処理する。的確な政策を立案する。
適確・・・適確な措置を講じなければならない。適確に遂行するものとする。
適格・・・彼を適格と認める。適格検査。
同志、同士
「同志」は、志を同じくする仲間、主義主張を同じくして同じ目的を持った仲間の意味です。
「同士」は、同じ種類、性質、状態にある仲間の意味です。
接尾語として用いる場合は、平仮名で「車どうしが衝突した」などと書きます。
同志・・・同志の会合。同志を募る。
同士・・・若者同士。好きな者同士。同士討ち。
特長、特徴
「特長」は、他と比べて特別に優れている点、長所の意味です。
「特徴」は、他と違って特に目立つ点、特色の意味です。こちらは「特長」と違い、良い意味でも悪い意味でも用いられます。
特長・・・この政策の特長。自分の特長を伸ばす。
特徴・・・特徴のない話し方。最近の犯罪の特徴。
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ととのう(整う、調う)
「整える」は、乱れたところがないように整理する意味です。
「調える」は、必要なものを揃える、用意する、物事をうまくまとめる意味です。
整う・・・整った文章。隊列を整える。服装を整える。。
調う・・・味を調える。支度を調える。式典の準備を調える。資金を調える。交渉を調える。協議が調う。
とる(取る、採る、執る、捕る、撮る)
「取る」は、色々な意味で使われますが、手に持つ、ある場所から自分の場所に移す、身に負う、場所や時間を占める、手足などを動かす意味です。
「執る」は、その手で運用する、事務などを処理する、堅く守る、実行の意味合いで用いられます。
「採る」は、選択して取り上げる、採取する、比べて良いと認める意味です。
特に、選択の意味の「採る」を「とる」とひらがな書きしてしまう間違いが多いので注意が必要です。
取る・・・手に取る。資格を取る。責任を取る。時間を取る。
採る・・・決を採る。意見を採り入れる。優秀な人材を採る。山菜を採る。血を採る。この手段を採る。
執る・・・筆を執る。指揮を執る。教べんを執る。式典を執り行う。事務を執る。あっせんの労を執る。不偏不党の立場を執る。
捕る・・・ねずみを捕る。
撮る・・・写真を撮る。
※「措置をとる」は意味合いによって、「採る(選択)」「執る(実行)」いずれも用いることが可能で、判断が難しい場合は平仮名で「とる」とするものとされています。この分別は難しいので、通常「措置を講ずる」とするのが適当です。
伸びる、延びる
「伸びる」は、それ自体が長くなる、大きく豊かになる、疲れたり殴られたりして動けなくなる、などの意味で用いられます。
「延びる」は、同じものを継ぎ足して長くなる、時間が長くなる、期日や期限が先になる、薄く平らに広がる、弾力がなくなる、どうにか命を保つ、などの意味で用いられます。
伸びる・・・身長が伸びる。背筋が伸びる。業績が伸びる。疲れでぐったり伸びる。
延びる・・・鉄道が延びる。期日が延びる。そばが延びる。生き延びる。
のぼる(昇る、上る、登る)
上る・・・坂を上る、川を上る、1億円に上る
登る・・・山を登る、演壇に登る
昇る・・・太陽が昇る、エレベーターで昇る
計る、測る、量る
「計る」は、物の数、程度をしるために調べる、工夫して計画する、だます、相談するの意味で用いられます。
「測る」は、物のそばに尺度をくっつけてはかる意味で、物の長さ、広さ、高さ、深さ、早さなどを調べる意味、ある事情から他の事柄の見当をつける意味で用いられます。
「量る」は、はかりや升で分量を明らかにする、物の重さや量を調べる、ある事情から他の事柄の見当をつける意味で用いられます。
計る・・・時間を計る。実現を計る。まんまと計られる。上司に計る。
測る・・・距離を測る。面積を測る。速度を測る。真意を測る。心底を測りかねる。
量る・・・米を升で量る。体重を量る。容積を量る。人の心中を量る。気持ちを推し量る。
煩雑、繁雑
「煩雑」は、こまごまと込み入っていて煩わしく、心理的に面倒である意味です。
「繁雑」は、物事が多くてごたごたしている意味ですが、面倒という心理的な要素は入っていません。
煩雑・・・煩雑な事務手続。理屈が煩雑で分かりにくい。
繁雑・・・繁雑な組織の仕組。繁雑な機械構造。繁雑な制度。
半面、反面
「半面」は、物の半分の面の意味です。一般に、同一の平面にありながら対立する性質を持った二つの面の一方を指します。
「反面」は、反対の面、表裏両面のあるものの片方の面の意味です。名詞ですが、副詞的に用いられることもあります。
半面・・・顔の右半面。コートの半面。真相の半面。
反面・・・盾の反面。反面教師。陽気な反面、涙もろい(副詞的)。
編成、編制、編製
「編成」は、多くの人や物を集めてまとまりある一つの組織にする意味です。
「編制」は、全体を分割して系統的な単位として組織する意味です。
「編製」は、主として法令で用いられる語で、戸籍・選挙人名簿を作る場合に用いられます。
編成・・・30人の選手団を編成する。予算の編成。
編制・・・学級を編制する。消防団を編制する。
編製・・・戸籍を編製する。選挙人名簿は投票区ごとに編製する。
保障、保証
「保障」は、ある状態や地位が危害を受けないように責任を持って守る意味です。
「保証」は、人や物について確かさを請け負う、債務者に代わってその義務履行の責任を負うなどの意味です。
保障・・・安全を保障する。生活を保障する。社会保障。
保証・・・身元を保証する。品質を保証する。連帯保証。
まざる(混ざる、交ざる)
「交じる」は、ある物の中に別の物が、容易に判別できるように、それぞれ溶け合わないで入り込んでいく、また、入り込んでいる状態の意味です。
「混じる」は、ある物の中に別の物が、容易に判別できないほどに、それぞれ溶け合って入り込んでいく、また、入り込んでいる状態の意味です。
交ざる・・・漢字仮名交じり文。男女が交じる。ベテランに若手が交じる。
混ざる・・・異物が混じる。酢に酒が混じった味。黒と白の絵具を混ぜる。
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町、街
「町」は、人家が多く集まっている所、住宅や商店が密集している地域の意味です。
「街」は、行政区域などとは関係なく、商店などが並んでいる賑やかな地域の意味です。
なお、行政施策として用いられる「まちづくり」の「まち」は、地域全体の意味の抽象的なものとして平仮名で書きます。
町・・・町と村。町役場。町外れ。下町。
街・・・街角。学生の街。街の灯り。
丸い、円い
「丸い」は、立体的な球形の意味です。転じて、全部、完全、角がない、円満であるという意味もあります。
「円い」は、平面的な球形の意味です。転じて、角がない、円満であるという意味もあります。
丸い・・・丸い頭。丸三日。丸焼け。丸く治める。
円い・・・円く輪になる。円い人柄。
まわり(回り、周り)
回り …身の回り 胴回り
周り …池の周り 周りの人
未到、未踏
「未到」は、まだ誰も到達したことがない意味です。主に、業績や記録に関して用いられます。
「未踏」は、まだ誰も足を踏み入れたことが意味です。主に、土地に関して用いられます。
未到・・・科学には前人未到の分野がある。前人未到の記録に挑む。
未踏・・・世界には前人未踏の秘境がある。人跡未踏の奥地を探索する。
めぐる、巡る
巡る・・・「物の周りをぐるぐると廻ること、あちこちと順々に回り歩くこと」の意味のとき
めぐる・・・「関連する、関する」の意味のとき。
めぐる・・・地球温暖化問題をめぐる議論
もと(下、元、本、基)
下 …法の下に平等
元 …火の元 出版元
本 …本から直す。
基 …使用を基にする。基づく。
野生、野性
「野生」は、動植物が山野で自然のままで生長する意味、また、その動植物の意味です。
「野性」は、自然・本能のままの粗野な性質の意味で、「野生」が動植物に用いられるのに対し、「野性」は専ら動物、時には良い意味で人間についても用いられます。
野生・・・野生の馬。野生の草花。
野性・・・野性に目覚めた猛獣。野性的な魅力。野性味豊かな人。
要項、要綱
「要項」は、必要な事項、大切な事項、また、それを書き表したものの意味で用いられます。
「要綱」は、物事の根本となる大切な事柄、また、それをまとめたものの意味で用いられます。
「要項」が現実的かつ具体的な必要事項を意味するのに対し、「要綱」は重要な大綱すなわち物事の大筋を要約したものを意味します。
なお、行政機関において、公文書の題名として「○○要項」「××要綱」など用いられますが、その使い分けに公式のルールはありません。ただし、法制執務の分野で「要綱」と言えば、地方公共団体による行政指導の準拠なるものを指すのが一般的です(例:住宅開発指導要綱)。
要項・・・募集要項。市民祭の実施要項をまとめる。
要綱・・・新しい政策の要綱を示す。法案の要綱。
連携・連係
「連携」は、同じ目的を持つ者が互いに連絡を取りながら、協力し合って物事を行う意味です。
「連係」は、切れ目なくつながって次に及ぶ、連ねつなぐ意味です。
連携・・・お互いに連携して推進する。市民と連携して政策を進める。
連係・・・連係動作。連係プレーで進める。連係を保つ。
わかれる(分かれる、別れる)
分かれる …意見が分かれる。
別れる …家族と別れる。
わざ(業、技)
業 …至難の業
技 …技をみがく。柔道の技
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