公文書における漢字と平仮名の使い分け方

公文書における漢字と平仮名の使い分け方

公用文を書くときに、漢字で書くべきなのか、平仮名で書くべきなのかの判断の基準になるのは、「常用漢字表」(昭和56年内閣告示第1号)です。
「常用漢字表」は、「法令、公用文書、新聞、雑誌、放送など、一般の社会生活において、現代の国語を書き表す場合の漢字使用の目安」であり、「科学、技術、芸術その他の各種専門分野や個々人の表記にまで及ぼそうとするものではない」ものとされています。
しかし、官公庁においては、原則として「常用漢字表」に従うことになっています。
マスコミでは「新聞用語懇談会」により漢字表記について統一の基準を設けています。
この中では、常用漢字になっているがマスコミでは使用しないとしている漢字や、常用漢字ではないが読み仮名なしで使用とすることになっている漢字もあります。
マスコミで使用する漢字は必ずしも常用漢字とは一致しませんので、注意が必要です。

 

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常用漢字表による漢字使用の基本原則

常用漢字表による漢字使用の基本原則は、次のとおりです。
パソコン等を使用して文書を作成する場合、読み書きが困難な漢字でも容易に変換することができるため、常用漢字でない漢字を使用してしまう間違いが起きやすいので注意が必要です。

 

(1) 漢字は、常用漢字表に掲げられているものを用います。ただし、常用漢字表に掲げられている漢字でも、読みが掲げられていない語句には用いることができません。
(2) 常用漢字表に掲げられている漢字を用いて表記できる語句は、漢字を用いて表記しなければなりません。
(3) 漢字が常用漢字表に掲げられていない場合は、平仮名で表記します。この場合、平仮名に傍点を打ってはなりません。

 

原則によらない場合

(1) 上の原則は、固有名詞を対象とするものではありません。
(2) 専門用語や特殊用語を書き表すとき、仮名で書くと意味が分かりづらいときなど、どうしても漢字を用いる必要がある場合は、漢字を用いて記載し、振り仮名(ルビ)を平仮名で付けるのが一般的なルールです。

 

ひそ  が きんこ
砒素、蛾、禁錮

 

(3) 2字熟語で1字だけ常用漢字である場合は、「漢字を外しても意味の通る使い慣れたもの」はすべて平仮名で表記し、それ以外で「他に良い言い換えがないもの」は常用漢字以外の漢字だけを仮名書きすることとされています。

 

澱粉 → でんぷん 明瞭 → めいりょう 斡旋 → あっせん
改竄 → 改ざん 口腔 → 口こう

 

(4) 次の語は、常用漢字表にあっても、仮名で書くことになっています。

 

おそれ(×虞 ×恐れ) かつ(×且つ) したがって(接続詞)(×従って)
ただし(×但し) ほか(×外) また(×又) よる(×因る)

 

 

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常用漢字表に読みがないものは平仮名で表記

次のような用語は、常用漢字表に読みがないので、平仮名で表記します。

 

 あらかじめ(×予め) いまだ(×未だ) おおむね(×概ね) かかわる(×関わる)
 かんがみる(×鑑みる) こたえる(×応える) すべて(×全て)
 とどめる(×留める、止める) はぐくむ(×育む) ゆだねる(×委ねる)

 

 

用語の意味によって、漢字と平仮名を使い分けるもの

用語の意味によって、漢字と平仮名両方用いるものもあるので注意が必要です。

 

「おそれ」
 ・おそれ 「懸念」という意味で用いるとき
・恐れ 「恐怖」という意味で用いるとき
「とおり」
・とおり 「次のとおり」のような用法のとき
・通り 「2通り、3通り」「バス通り」のような用法のとき
「いただく」
・いただく 「〜していただく」のような用法のとき
・頂く 「物をもらう」という意味で用いるとき

 

接続詞は原則平仮名

接続詞は平仮名で書くのが原則です。ただし、「又は、若しくは、及び、並びに」の4語だけは例外です。

 

おって(×追って) したがって(×従って) ただし(×但し) なお(×尚)
また(×又) ゆえに(×故に)

 

副詞は原則漢字表記、接続詞は平仮名表記

「副詞」とは、動詞、形容詞及び形容動詞を修飾する語句を言います。
副詞は原則として漢字で表記するので、接続詞の場合と副詞の場合で表記が異なるものもあります。
接続詞として用いる場合との区別がつきにくいので、注意が必要です。
その言葉が以下の文全体に掛かっていれば「接続詞」、特定の用言のみを修飾していれば「副詞」です。

 

「さらに」(接続詞) さらに、財政状況についても検討することが必要である。
「更に」(副詞) 財政状況について、更に検討することが必要である。
「あわせて」(接続詞) あわせて、住民の意向調査を行うべきである。
「併せて」(副詞) 住民の意向調査を併せて行うべきである。

 

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副詞及び連体詞は原則漢字表記

副詞及び連体詞は、原則として漢字で表記します。
「連体詞」とは、名詞、代名詞を修飾する言葉のうち活用のないものを言います。

 

飽くまで 必ず 少し 既に 直ちに 甚だ 再び 全く 最も 専ら
余り 至って 大いに 恐らく 必ずしも 辛うじて 極めて 殊に
少なくとも 絶えず お互いに 例えば 次いで 努めて 常に 初めて
果たして 割りに 概して 実に 大して 特に 突然 無論 明るく
去る 我が(国) 速やかに 自ら

 

ただし、次のような副詞は原則として仮名で書きます。

 

かなり ふと やはり よほど

 

 

助詞及び助動詞は、平仮名表記

(1) 助詞及び助動詞並びにそれらと類似した語句は、原則として平仮名で表記します。

 

〜あて(×宛て) 〜において(×於いて) 〜すること(×事) 〜ごとに(×毎)
〜にすぎない(×過ぎない) 〜のため(×為) 〜できる(×出来る) 〜とともに(×共に)
〜など(「等」は「など」とは読まない。) 〜のほど(×程) 〜まで(×迄)
〜してください(×下さい) 〜してほしい(×欲しい) 〜のようだ(×様だ)
〜ぐらい(×位)

 

(2) 「できる」と「ください」
「ください」は、単独の動詞として用いる場合は漢字を使いますが、助動詞として用いる場合は平仮名を用います。
また、「できる」は、「出来高」「良い出来」など名詞として用いるときは漢字を使用しますが、助動詞として使用する場合は平仮名を使用します。

 

資料を提出してください。(助動詞)
資料を下さい。(動詞)

 

(3) 「など」と「ほか」
「等」は「など」とは読みませんので、「など」と読ませたいときには平仮名で書きます。
「等(とう)」と読むときには、熟語の一部であると考えられているので漢字で書きます。
また、「他」に「ほか」の読みはありませんので、「ほか」と読ませたいときには原則として平仮名で表記します。
「外」は、「課長、係長外3名」というような表記に限って用います。
「その他」など「他(た)」と読むときには漢字で書きます。

 

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(4) 「時」と「とき」
「とき」は、ある時点をあらわすときには「時」と漢字で書きますが、条件を表すときには平仮名で書きます。

 

事故があったときには連絡してください。(条件)
事故があった時、私は外出していた。(時点)

 

(5) その他に間違えやすい助動詞

 

正しいもの(×物)と認める 試してみる(×見る) 進んでいく(×行く)
今のところ(×所)は問題ない 連絡してよい(×良い) 〜かもしれない(×知れない)

 

 

接頭語の「御」

「御」は、後に漢字の語が来るときに用い、「ご」は後に平仮名の語がくるときに用います。
また、「御」には「お」の読みはないので、「お」と読ませるときには平仮名を用います。

 

御理解 御承知 御礼(おんれい) ごあいさつ お忙しい お願い

 

「ご」は、マスコミでは一貫して平仮名を用いているので、平仮名の方が正しいように思われがちですが、公用文では上のようなルールになっています。

 

接尾語

次のような接尾語は、原則として、平仮名で書きます。

 

げ(惜しげもなく) ども(私ども) ぶる(偉ぶる) み(弱み) め(少なめ)

 

 

「箇」と「か」

「〜箇所」「〜箇年」のように用いる場合は、前の数字が漢数字のときは漢字、算用数字のときは平仮名を用います。
「箇」の略字である「ヶ」は、公用文では用いません。

 

五箇年計画 3か年分割

 

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その他に間違いやすい表記

 

@ 漢字で書くもの
辺り(×あたり) 当たって(×あたって) 幾つ・幾ら(×いくつ・いくら)
一斉(×いっせい) 一遍に(×いっぺんに) 今更(×いまさら)
面白い(×おもしろい) 片付ける(×かたづける) 括弧(×かっこ)
傍ら(×かたわら) 我慢(×がまん) 嫌いがある(×きらい)
殊更(×ことさら) この期に及んで(×このご) 差し障り(×さしさわり)
早急(×さっきゅう) 是非(×ぜひ) 大概(×たいがい)
大した(×たいした) 大層(×たいそう) 大体(×だいたい)
大抵(×たいてい) 駄目(×だめ) 丁寧(×ていねい)
取りあえず(×取り敢えず) 取り計らう(×とりはからう)
倣う(×ならう) 外れる(×はずれる) 無駄(×むだ)
眼鏡(×めがね) 面倒(×めんどう) 目途(×もくと)
厄介(×やっかい) 行方(×ゆくえ) 余計(×よけい)
知る由もない(×よし)

 

A 平仮名で書くもの
あいさつ(×挨拶) あいまい(×曖昧) 在りか(×在り処)
いかん(×如何) いす(×椅子) いちず(×一途)
いったん(×一旦) いろいろ(×色々) おかげ(×お陰・お蔭)
けた(×桁) ごぶさた(×御無沙汰) しゅん工(×竣工)
しんしゃく(×斟酌) せっかく(×折角) たくさん(×沢山)
だれ(×誰) ちなみに(×因みに) 帳じり(×帳尻)
ちょうど(×丁度) ちょっと(×一寸) 取りやめ(×取り止め)
何とぞ(×何卒) のっとる(×則る) ふさわしい(×相応しい)
ふだん(×普段) まじめ(×真面目) ますます(×益々)
見いだす(×見出す) むなしい(×空しい) むやみ(×無闇)
もくろみ(×目論見) もろもろ(×諸々)

 

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