公文書の書き方のルールとコツ50選|伝わる公用文のレイアウトと例文
- 主語をなるべく前に出す
- 述語を明確にし、主語や助詞は省略しない
- 「いつどこで誰が何をどうした」の語順にする
- 助詞「は」を正しく使う
- 一文一意にする
- 否定の対象を明確にする
- 二重否定は使わない
- 並列関係の表し方
- 動詞を名詞化する
- 名詞形「○○と××です」
- 主語「~には」で動詞で受ける
- 主語を統一する
- 「こと」「もの」を削る
- 語尾の言い回しを変化させる
- 同じ言葉は2回までにする
- 修飾語は直前に置く
- 長い修飾語の方を前に置く
- 分かりやすい語順にする
- 一文は40~50文字までにする
- 「手段」「目的」の順番で書く
- つなぎの一文を活用する
- 話の筋道を立てる
- 修飾語で文章に深みを出す
- 能動と受動を使い分ける
- 「~ています。」体で共感を得る
- ポジティブな表現にする
- 依頼は疑問形で伝える
- お役所言葉、専門用語は言い換える
- 不要な接続詞は削る
- 不要な指示語は削る
- 似ている用語は整理する
- 表記ゆれに注意する
- 補助動詞は平仮名で書く
- 慣用句や四字熟語を使う
- 語彙力を高める
- 実例を盛り込む
- 状態を表わす語句の熟語は省略しない
- 正しい熟語を選ぶ
- 誤字脱字に気を付ける
- 誤用されがちな語句に気を付ける
- 重複表現を避ける
- 混合表現を避ける
- 二重否定は使わない
- 数字を示して伝える
- 事実、分析、意見の順番で書く
- 簡単な動詞を使う
- 結論を先に書く
- 手持ち資料は箇条書にする
- 通知文は「さて」「つきましては」で伝える
- 案内文にQ&Aを添える
- 報告書には「所感」を添える
- 事業説明には「目的」「目標」「手段」を入れる
- 人を動かす文章を書く
- 「共感」「具体例」「メリット」で納得させる
- 「話し言葉」「書き言葉」に注意する
- 完成した文章は声に出して読み返す
- 他人の文書を添削する
- 文章の癖を直す
- 予告の副詞を活用する
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主語をなるべく前に出す
主語が何なのかあいまいになると文章が分かりづらくなります。
主語はなるべく文の始めに置くようにします。
戦後政治の混乱の中で何度となく改正され、一時は廃止されそうにもなった○○制度は、現在では、国民生活にとって欠くことのできないものになっています。
→○○制度は、戦後政治の混乱の中で何度となく改正され、一時は廃止されそうにもなりました。しかし、現在では、国民生活にとって欠くことのできない制度になっています。
述語を明確にし、主語や助詞は省略しない
× 管理人の許可なく立入りを認めません。
○ 管理人の許可なく立ち入ることを認めません。
× 大阪まで旅費を支給します
○ 大阪までの旅費を支給します。
「いつどこで誰が何をどうした」の語順にする
公文書では「いつ」「どこで」「誰が」「何を」「なぜ」「どうした」の語順を基本とすると、定型文を作りやすくなります。
例
1997年12月、京都国際会館において、COP3は京都議定書を採択した。
報告書や企画書でも、5W1Hを意識すれば、伝えたい内容を漏らすとなく分かりやすい文章を書くことができます。
5W1Hを意識せずに、順番をランダムにすると以下のような文章ができあがります。
△ 市民センターで「歌の集い」が市の広報で8回コースにて始まったのが平成20年4月のことでした。100人が参加して大変好評でしたが、このまま終わりにしないで是非続けていこうとの思いが集まって、同年10月から月2回継続して開催してきました。
理解はできますが、読後感が悪い文章です。
理由は上記のとおり、5W1Hがバラバラになっているためです。
こういう文書は5W1Hを整理して、順番を整えるだけで読みやすくなります。
1文目 | 2文目 | |
---|---|---|
when(いつ) | 平成20年4月 | 同年10月 |
where(どこで) | 市民センターで | |
who(誰が) | 100人が | 多くの賛同者が |
what(何を) | 歌の集いを | 自主的な活動を |
why(なぜ) | 市の広報で開催を知り | 好評だったから |
how(どのように、どうした) | 8回コースで | 月に2回 |
5W1Hで整理した例
○ 平成20年4月、市民センターにおいて、市の広報で開催を知った100人が参加して8回コースにの「歌の集い」が始まりました。同年10月、コースの終了にあたり、「このまま終わりにしないで継続して活動しよう」との声が上がり、多くの賛同者が自主的な活動を開始し、継続的に月2回開催してきました。
このように「いつ、どこで、誰が、何を」という一番理解しやすい順番を基本として文章の骨格を作ります。
そして「なぜ、どのように」を、文脈から判断した適切な位置に挟み込みます。
助詞「は」を正しく使う
助詞の「は」は、必ずしも主語を表すものではありません。
話題を提示するときにも使用します。
また、公用文では、話題の提示をする際に「は」で違和感がある場合、「ついては」を多く使用する傾向にあります。
以下の例はどちらも文法的に誤りではありません。
・この資料は、事務の効率化を目的として作成した。(主語は「私たちが」等であり、省略された例)
・この資料の内容については、現在検討している。
一文一意にする
説得力がある文章を書こうとしているうちに、1文がとても長くなってしまうことがあります。
例
× この研修は、維持管理・更新に係る本格的なPDCAサイクルへの移行を図るにあたっての人材育成の充実の一環として、老朽化による社会的な影響が大きく、点検による安全性の確認が急務となっている橋梁を対象に、実務的な点検の適切な実施・評価に重点を置いたものです。
このように、全てを一文に詰め込もうとすると、読み手に大変な負担を書ける文章になってしまいます。
○橋梁は、老朽化の進行に伴う社会的な影響が大きい都市施設であるため、点検による安全性の確認が極めて重要です。
今後、耐用年数を迎える橋梁が増加することに伴い、維持管理や更新に係るPDCAサイクルを本格的に機能させる必要性が、ますます高くなります。
この研修では、橋梁点検の実践的な手法を習得すると共に、PDCAサイクルの「実施」と「評価」に重点を置き、維持管理や更新に係る実務を学びます。
このように伝えたい内容を一文一意にすると、読み手に伝わりやすくなります。
一文が長いと、読み手は、理解が追いつかず、前半に書かれていることを忘れてしまします。
公用文を書くときは、一文一意を意識するようにしましょう。
否定の対象を明確にする
否定形では、打ち消されるものをはっきりさせます。
× 太郎は次郎のように器用ではない。
例の場合、太郎は、「次郎とは違って、器用ではない」のか、「次郎と同じで、器用ではない」のかがはっきりしません。この場合は次のようにします。
○ 太郎は、次郎ほど器用ではない。
○ 太郎は、次郎と同じで器用ではない。
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二重否定は使わない
「~しないわけではない」「~できないわけではない」など、一つの文の中に否定形が二つ以上使われている文を二重否定といいます。
否定形が重なっていると、本当は肯定なのか否定なのか混乱し、誤解を生じることがあります。
二重否定形は、多くの場合言い換えることができますので、できるだけ言い換えるようにします。
× その業務がスムーズに進まなかったのは、部署内のコミュニケーションがうまくいっていなかったからだと考えられなくもない。
○ その業務がスムーズに進まなかったのは、部署内のコミュニケーションがうまくいっていなかったからだと考えられる。
並列関係の表し方
並列関係(二つ以上の語句が同じ資格で並んでいる関係)の場合には、語句のバランスが悪くならないようにします。
× この池で、釣りや泳がないでください。
○ この池で、釣りや水泳をしないでください。
○ この池で、釣りをしたり、泳いだりしないでください。
動詞を名詞化する
×接遇の基本は、毎日気持ちの良い挨拶でお客様をお迎えします。
○接遇の基本は、毎日気持ちの良い挨拶でお客様をお迎えすることです。
主語が「接遇の基本」、述語が「お迎えします」では意味が通じません。
この述語を「お迎えすることです」と動詞に「こと」を付けて名詞化すると意味が通じるようになります。
「特徴は」「基本は」「ポイントは」などの属性を述べるときは、動詞に「こと」や「点」を付けた名詞で受けると主語と述語が一致しやすくなります。
名詞形「○○と××です」
文章が長くなると、主語と述語が離れてしまい「文章のねじれ」が起こりやすくなります。
その場合は名詞の形にして「~のは、○○と××です。」とします。
×窓口のお客様が多いのは、大安など縁起の良い日と、3月から4月にかけての引っ越しシーズンに多くのお客様が市役所に訪れます。
○窓口のお客様が多いのは、大安など縁起の良い日と、3月から4月にかけての引っ越しシーズンです。
主語「~には」で動詞で受ける
上記の例文は、主語を「窓口には」にすれば、動詞で受けることもできます。
○窓口には、大安など縁起の良い日と、3月から4月にかけての引っ越しシーズンに多くのお客様が訪れます。
主語を統一する
1つの文で2つのことを表現する場合、前半と後半で主語が変わってしまう間違いがよくあります。
特に後半の主語が省略されている場合は注意してください。
× 係長は、主任に自らの業務の効率化をさせ、税金を大切に使う職員にならなければならない。
○ 係長は、主任に自らの業務の効率化をさせ、税金を大切に使う職員として育てなければならない。
上記の間違った例では、前半の主語が「効率化をさせる」係長で、後半の主語が「職員になる」主任になってしまっています。
2つ目の例では「育てる」を述語にすることで、どちらも係長が主語になり、意味が通りやすくなります。
文章が長い場合は二つの主語を用いる場合もありますが、短い文では1つの統一した主語で、2つのことを表現した方がすっきりした文章になります。
「こと」「もの」を削る
「こと」「もの」は、それ自体は意味を持っていない形式名詞です。
公用文では「こと」「もの」が乱用されがちなので、注意が必要です。
ほとんどの場合、形式名詞「こと」「もの」がなくても意味は通じるため、以下のような工夫をして文章を具体的にしましょう。
① 削っても通じる部分は削る
② 「とは」「ため」「べき」等に置き換える
③ 動詞や具体的な名詞に置き換える
「とき」「ところ」「わけ」「はず」も同様です。
例1
△ 男女共同参画社会を実現することにおいては、男女の人権を尊重することによって、政策・方針決定過程への女性の参画が進むことや、男女が共に働きやすい職場環境が整備することが必要です。
○ 男女共同参画社会を実現するためには、男女の人権を尊重し、、政策・方針決定過程への女性の参画を進め、男女がともに働きやすい職場環境を整備する必要があります。
例2
△ 人事というものは、本人の思うようにならないものであり、どのような部署に配属されたとしても戦力になれるように、日頃から能力向上に努めておくものである。
○ 人事とは、本人の思うようにならないのが常であり、どのような部署に配属されたとしても戦力になれるように、日頃から能力向上に努めておくべきである。
語尾の言い回しを変化させる
「である」「です」「ます」など、同じ語尾ずっと続く文章は、読み手に単調で稚拙な印象を与えてしまいます。
語尾の言い回しに変化を付けるとテンポとメリハリが生れるようになります。
いつでも活用できるよう、色々な語尾に触れて言い回しを増やしてみてください。
「である」体の語尾例
である されている した
したところである いる
していない がある
ている
「です・ます」体の語尾例
です ます ません ました
しまいます なります います
あります ています します
ものです しました なります
ください ことです ましょう
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同じ言葉は2回までにする
同じ言葉を多用すると、文章に違和感が出てしまいます。
やむを得ず同じ言葉を使う場合でも、一文で2回までに抑えるようにしましょう。
文書をチェックしてうるさい印象があるときは、言回しを変えたり、他の言葉に置き換えたりします。
例
△ 都心から30分足らずにもかかわらず本市には多くの自然があり、本市の公園には各地から多くの人々が訪れている。
○ 都心から30分足らずにもかかわらず自然が豊かなこともあり、本市の公園には市内外の人々で賑わっている。
例文では「から」「本市」「多くの」がそれぞれ2回用いられ、くどい印象があります。
「多くの」を「豊か」「賑わい」で表現することで文章がスッキリします。
語彙力を磨くことが理想ですが、インターネットで類義語を調べるのもいいでしょう。
修飾語は直前に置く
修飾語の位置を誤ると、複数の解釈ができる文章になってしまうこともあります。
△ 迅速に地震で発生した災害廃棄物を焼却又は資源化処理できる施設を整備する必要がある。
○ 地震で発生した災害廃棄物を迅速に焼却又は資源化処理できる施設を早急に整備する必要がある。
前者は「迅速に」という修飾語が文頭にあるため、被修飾語の候補が「焼却」「資源化」「整備」と複数あり、読み手を混乱させる文章です。
修飾語は被修飾語の直前に置き、被修飾語の候補が複数ある文では上記例の後者のようにそれぞれに修飾語を置くようにしましょう。
長い修飾語の方を前に置く
△ 本市の特徴は、美しい花と緑があふれるまちだということです。
○ 本市の特徴は、花と緑があふれる美しいまちだということです。
上記例では「美しい」と「花と緑があふれる」という2つの修飾語があるため、被修飾語が曖昧になっています。
2つの修飾語を同時に用いるときは、長い修飾語を前に置くようにします。
短い修飾語が前にあると、2つの修飾語が一体の修飾語として解釈されてしまいがちだからです。
理解しにくい文章と感じたら、文中の修飾語の順序をチェックするようにします。
分かりやすい語順にする
△ 児童虐待に関する知見を深め(目的①)、虐待児童への対応と保護者に対する支援策の考察や事例討議を通じ(手段)、児童虐待に適切に対応できる能力の向上を図る(目的②)。
例文は、「目的」の間に「手段」が挟まっている形のため、テンポよく読めなくなっています。
こういった場合は、「目的」を2つ固めて、「手段」と分離するだけでも分かりやすくなります。
○ 児童虐待に関する知見を深め(目的①)、児童虐待に適切に対応できる能力の向上を図るために(目的②)、虐待児童への対応と保護者に対する支援策の考察や事例討議を行う(手段)。
○ 虐待児童への対応と保護者に対する支援策の考察や事例討議を通じて(手段)、児童虐待に関する知見を深めるとともに(目的①)、児童虐待に適切に対応できる能力の向上を図る(目的②)。
一文は40~50文字までにする
主語と述語の間に盛り込む内容が多すぎると一文が長くなってしまいます。
省略できる内容は削り、省略できない内容は別の一文を書き添えるようにするだけでも分かりやすい文章になります。
下記の文を読むと分かるように、60文字以上の文章は読むとストレスを感じます。
一文の理想は40文字程度、長くても50文字程度に抑えるようにしましょう。
△ 駅前地区は、狭い道路や行き止まりの私道が多く木造家屋が密集しており、オープンスペースも不足しているなど、防災性の向上や住居環境の改善が喫緊の課題である。(76文字)
△ 駅前地区は、狭い道路が多く木造家屋が密集しており、オープンスペースも不足しているなど、防災性の向上や住居環境の改善が喫緊の課題である。(67文字)
○ 駅前地区は、狭い道路が多く木造家屋が密集しており、防災性の向上が喫緊の課題である。(41文字)
「手段」「目的」の順番で書く
文章に説得力を持たせるには、①「手段」、②「目的」の順番で書くようにします。
具体的な表現を例示すると以下のような言い回しになります。
× 「~を実現するために、~を行う。」
○ 「~を行うことで、~を実現する。」
手段と目的が混在した以下のような文章は、読み手にとって理解が困難です。
× 市民の移動手段の利便性向上を図るため、市内公共交通の現状について調査・把握するとともに、既存の鉄道路線の延伸や新たな路線の構築など既存計画も踏まえた上で、目標年次を定めて、市が目指すべき公共交通網の将来像を検討するため、将来の社会情勢などを見据えたバス交通の充実や交通不便地域の解消に向けた課題を整理する。
「手段→目的」の順番を固定して整理すると以下のように分かりやすくなります。
○ 市内公共交通の現状について調査・把握することで【手段①】、既存の鉄道路線の延伸や新たな路線の構築の可能性を探り、市民が移動する際の利便性向上を目指す【目的①】。
さらに、バス交通の充実や交通不便地域の解消に向けた課題について、社会情勢の変化を見据えながら既存計画を踏まえて整理し【手段②】、目標年次を明確に定めて市が目指すべき公共交通網の将来像を作成する【目的②】。
「つなぎの一文」の例
つなぎの一文を活用する
文と文の繋がりが良く見える以下のような「つなぎの一文」を添えると、文章の仕上がりが整います。
文を繋ぐのは「接続詞」を使うのが基本ですが、文脈に相応しい接続詞が思い付かないときは、つなぎの一文を活用しましょう。
・この取組をさらに促進し、その実効性を高めていくことを目的に~
・これまで断行してきた行政改革の成果に期待する声もあり~
・適切な○○がなされなかった結果~
・○○機能を強化するためにも~
「つなぎの一文」には様々な言回しがあるので、日々触れた文章から集めてみてください。
活用すれば、文章の格式や説得力をさらに高める効果が期待できます。
話の筋道を立てる
△ 県内では、社会資本等の整備及び更新に伴い、大量の建設副産物が発生していますが、我が国の持続ある発展と国民の安全で豊かな生活を確保してくためには、建設資源の循環利用を進めていく必要があります。このため県は、「建設リサイクル推進計画」を定め、積極的に建設資源循環に取り組んできたところです。
このたび、県建設副産物協議会において、下記の指針を改定しました。貴職におかれましては、発注に際し、本指針を徹底されますようにお願いします。
「県内」と県の話からスタートし、次に「我が国」と国の話が入り、また「このため県は」と県の話に戻っています。
このような文書を作成するときの基本は、社会背景など大きなテーマから書き始めて、地域の課題などに移っていくことです。
筋道を立てて文章を構成すると以下のような文章になります。
○ 我が国の持続ある発展と国民の安全で豊かな生活を確保してくためには、建設資源の循環利用をさらに進めていく必要があります。一方、県内においては、社会資本等の整備及び更新に伴い、大量の建設副産物が発生しているのが現状です。このため県は、「建設リサイクル推進計画」を定め、積極的に建設資源循環に取り組んでいるところです。
この取組をさらに促進し、その実効性を高めていくことを目的に、このたび、県建設副産物協議会において、下記の指針を改定しました。貴職におかれましては、建設工事の発注に際し、本指針を徹底されますようにお願いします。
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修飾語で文章に深みを出す
一文は40~50文字までにするのが基本と述べましたが、文書の性質によっては、読みやすさよりも「深み」や「説得力」を重視したい場合もあります。
文章を読んでみて、「物足りない」と感じたときは修飾語を補うだけで、あっさりした文章に深みが出てきます。
読み手に強く訴えたい文書、承認試験の論文などでは修飾語が便利なので、色々な言い回しを試してみてください。
例1
当該地区は、老朽化した木造家屋が多く、緊急車両の進入が困難な道路や私道が多いなどの課題を抱えている地区である。
→当該地区は、老朽化した木造家屋が密集しており、緊急車両の進入が極めて困難な狭い道路や行き止まりの私道が多いなど、防災面で喫緊の課題を抱えている地区である。
例2
住み続けたいと思えるまちづくりの一翼を担う中堅職員として、係長を補佐し、職務に邁進していく決意です。
→ずっと住み続けたいと誰もが思えるまちづくりの一翼を担う中堅職員として、係長を力強く補佐し、全身全霊をかけて職務に邁進していく決意です。
能動と受動を使い分ける
能動態は語尾が「~する」「~した」という表現で、受動態は語尾が「~される」「~された」という表現です。
能動態は文章に「主体性」を生み、受動態は「客観性」「謙虚さ」「曖昧さ」を生むことができます。
また、受動態主語は省略できる特徴もあります。
「主体性」を強調すべきなのか、「謙虚さ」を強調すべきなのか、文書の性質によって能動と受動を使い分けるようにしましょう。
例えば、住民に対して主要施策を説明するような文章では、市の意気込みが伝わるよう「能動態」を使用する、といった具合です。
受動態は使いやすい一方、読み手に自信の無さや無責任な印象が伝わってしまうため、乱用には気を付けましょう。
「~ています。」体で共感を得る
現在進行形「~(し)ています。」は、主体性を出しやすい便利な表現です。
例えば、2020年の国際オリンピック委員会総会で滝川クリステルさんのスピーチの冒頭の和訳です。
東京は皆様をユニークにお迎えします。日本語ではそれを「おもてなし」という一語で表現できます。
それは見返りを求めないホスピタリティの精神、それは先祖代々受け継がれながら、日本の超現代的な文化にも深く根付いています。「おもてなし」という言葉は、なぜ日本人が互いに助け合い、お迎えするお客さまのことを大切にするかを示しています。
下線部の「根付いています」「示しています」がポイントです。
これを例えば過去形の「根付きました」や、現在形の「示します」と変えて読んでみると、なんとなく「他人事」のようなニュアンスが出てしまいます。
「現在進行形」を近い未来に繋がる表現として用いると、読み手の共感を得やすくなります。
このため、所信表明や議会答弁でも積極的に用いられています。
ポジティブな表現にする
「~しなければならない」「~できない」「~の問題がある」など、ネガティブな表現が多い文章は読み手を辟易させます。
公用文においても、ネガティブな表現をポジティブに言い換えられる場合は、なるべく言い換えるようにします。
否定文は、様々な憶測を呼んだり、相手を不快にさせたりすることもあるため、公務員が日常業務で書く文章には馴染まないことも多いです。
× 改正案は、否決されなかった
○ 改正案は、可決された
× チェックを怠らないようにしてください
○ チェックをしっかり行ってください
依頼は疑問形で伝える
手紙やメールで依頼をする場合、物腰の柔らかい文章が役立ちます。
依頼文では、特に否定疑問形を活用しましょう。
× 事業に協力してください。(要求)
× 事業に協力してほしい。(希望)
△ 事業に協力してくれますか。(意向確認)
△ 事業に協力してもらえますか。(意向確認)
○ 事業に協力してくださいますか。(肯定疑問形)
○ 事業に協力していただけますか。(肯定疑問形)
◎ 事業に協力してくださいませんか。(否定疑問形)
◎ 事業に協力していただけませんか。(否定疑問形)
お役所言葉、専門用語は言い換える
お役所言葉や専門用語は、無意識に使わないよう注意します。
浸透していないカタカナ用語もできるだけ日本語に言い換えて、誰でも理解できるような文章にするよう心がけましょう。
言い換え例
勧奨→お願い 監護→面倒を見ている
ダイバーシティ→多様性
インセンティブ→やる気を引き出す
アカウンタビリティ→説明責任
不要な接続詞は削る
接続詞が多すぎる文書はテンポ良く読めません。
文意を明らかにし、分かりやすい文章を書くことができれば、接続詞は減らすことができます。
全体の構成を見直して、削る接続詞と残す接続詞の仕分けをするようにしましょう。
接続詞は説得力を高める効果がありますが、意味のない「お飾りの接続詞」は読み手の負担になるだけなので、思い切って削ることも大切です。
不要な指示語は削る
人や物事を指す「これ」「それ」「あれ」「どれ」、「この」「その」「あの」「どの」などの指示語を多用すると回りくどく、読み手にとって分かりにくい文章になってしまいます。
指示語は、その指示語が何を指しているのかを考えなくてはならないため、読み手に負担をかける言葉です。
なくても良い指示語、残した方が良い指示語を仕分け、必要最小限の活用にとどめます。
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似ている用語は整理する
読み手に理解してもらうためには、似ている用語は整理し、数を減らすことも必要です。
社会の変化を捉え、政策推進プログラムに基づいて各種施策を実施するとともに、重点事業を優先的に施行していくこが肝要である。
また、将来にわたって安定的な財政運営を推進するために、予算の適正な執行に努め、費用対効果の検証を徹底的に実行していくことが重要である。
なお、全ての業務を遂行する過程において、進行管理を適切に実践しながら、自らの担当業務を履行することで、事業効果の早期実現に努めることが大切である。
上記の例文では、以下の3種類の似たものグループが存在しています。
①政策、施策、事業、業務
②実施、施行、推進、執行、実行、遂行、信仰、実践、履行
③肝要、重要、大切
同じような意味の言葉は統一して整理すると、優しい文章に仕上がります。
社会の変化を捉え、政策推進プログラムに基づいて各種施策を推し進めるとともに、重点事業を優先的に行っていく肝要である。
また、将来にわたって安定的な財政運営をしていくために、予算の適正な執行に努め、費用対効果の検証を徹底的に検証することとする。
なお、全ての業務を遂行する過程において、適切な進行管理を行ないながら、自らの担当業務に取り組み、事業効果の早期実現を目指すものとする。
語句を統一したり、「する」「行う」「取り組む」といった平易な言い回しにしたりすることで、理解しやすい文章になります。
表記ゆれに注意する
同じ文中で、同じ語句を複数の書き方をしてしてまうことを「表記ゆれ」といいます。
表記ゆれは、何か理由があって表記を使い分けているようにも感じられ、読み手に余計な神経を使わせてしまいます。
文章を書き終えたら、表記ゆれがないか必ず確認するようにしましょう。
以下の事項は表記ゆれしやすいので注意します。
① 漢字(例:市民、住民)
② 数字(例:5丁目、五丁目、5丁目)
③ ひらがなと漢字(例:まちづくり、街づくり)
④ カタカナ用語(例:コミュニティ、コミュニティー)
⑤ 送り仮名(例:取り扱い、取扱い)
補助動詞は平仮名で書く
公用文では「補助動詞」を平仮名で書くのが原則です。
単独の動詞は漢字で書きます。
× 参考にさせて頂きます。
○ 参考にさせていただきます。
○ 資料を頂きます。
× 現場に行って見ることが大切だ。
○ 現場に行ってみることが大切だ。
○ 状況を見ることが大切だ。
同様に形式名詞も平仮名で書きます。
× 詳細は、以下の通りです。
○ 詳細は、以下のとおりです。
慣用句や四字熟語を使う
単調な文章に深みを出したいときは修飾語が効果的であると前述しましたが、さらに個性を出したい場合は慣用句や四字熟語を盛り込んでみてください。
より、説得力とインパクトがある文章を作ることができます。
とても信頼している。
→全幅の信頼を寄せている。
唯一の存在だ。
→唯一無二の存在だ。
語彙力を高める
語彙力、ボキャブラリーは高いほど言葉の引き出しが多く、読み手に合った言葉を選んで文章を書くことができます。
語彙力は一朝一夕で身に付くものではないので、日々の習慣が大切です。
公用文だけでなく、本でも新聞でも良いので、自分の中にない光るフレーズに触れたら、それらをメモし、日々収集してみてください。傍らに辞書を置いて、意味を調べながら行うと、より身に付きやすくなります。
実例を盛り込む
読み手を説得したり行動を促したりするための文章には、実例を盛り込めないか検討してみてください。
エピソードを紹介してから、主張を述べて相手に行動を促すと、納得と共感が得られます。
具体的な事実には誰も反論できないからです。
エピソードを盛り込んだ例
新型コロナウイルス感染拡大に伴う緊急事態宣言が発令されています。各自治体におかれましては帰省の自粛を呼びかける取組を積極的に実施るようお願いいたします。
例えば、北海道羅臼町では、帰省を自粛する学生に対して「おうえん特産品小包」を送る取組を実施しています。1人暮らしの学生でも食べやすい昆布ふりかけや昆布ラーメンなど約4,000塩分の詰め合わせにマスクも同封しています。
コロナ渦のなか不安な生活を送っている人々のためにも~
状態を表わす語句の熟語は省略しない
× 安全・安心のために、地域と共に防災対策を推進する。
× 脱炭素社会のために、ごみ減量を促進する。
文章の構成要素のうち「主語」は省略できます。
上記の例でいえば、「本市は」という主語が省略されています。
ただし、状態、性質、状況を表わす「形容動詞」等の熟語は省略できません。
上記の例文は一見正しそうですが、「熟語」がないため「目的語」が宙ぶらりんになってしまっています。
○ 安全・安心を確保するために、地域と共に防災対策を推進する。
○ 脱炭素社会を実現するために、ごみ減量を促進する。
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正しい熟語を選ぶ
正しくなくても、前向きな述語だと何となく意味が通じてしまうことがあります。
しかし、分かる人には間違いであることが分かるため、どんな読み手にも信頼されるよう正しい日本語を使うようにします。
× 施策の充実を進める
○ 施策を充実させる/施策の充実を図る/施策の充実に努める/施策を進める
× 定住人口を高める
○ 定住人口を増やす/定住率を高める
× 是正を講じる
○ 是正措置を講じる
誤字脱字に気を付ける
誤字脱字を避けるのは当たり前のようですが、下記の表現は間違えが起こりやすいので特に注意します。
間違いやすい漢字
実績、業績、功績(×実積、業積、功積)
要件を満たす(×用件)
初めて実施する(×始めて)
一堂に会する(×一同)
大いに活用する(×多いに)
多いに越したことはない(×大い)
回答は不要です(×不用)
「趣旨」と「主旨」の使い分け
趣旨:物事の理由、目的、狙い
主旨:文章の重要な部分。考えの中心。
論文の主旨は/判決の主旨は(×趣旨)
説明会の趣旨は/この文章を書いた趣旨は(×主旨)
この他にも、「意思、意志」など間違いやすい表現は多くあります。
自信がない語句を使うときは、辞書で用法を調べながら文章を書くようにしましょう。
誤用されがちな語句に気を付ける
誤った言葉の使い方が、正しい用法よりも多く広まっている語句が存在します。
例えば「役不足」は、力量に比べて役目が軽いことを言います。
そのため、「私には役不足ですが、期待に添えるよう努力します」という表現は誤りです。
他にも以下のような語句の用法は注意します。
穿った見方(○本質をついた見方/×ひねくれた見方)
佳境に入る(○興味深い局面に入る/×大詰めを迎える)
恣意的に(○自分勝手に/×作為的に、わざと)
おざなり(○いい加減なこと/×おそろかにすること)
なおざり(○おそろかにすること/×いい加減なこと)
重複表現を避ける
小説ではインパクトを強くするための手段として重複表現を用いることがありますが、公用文では重複表現は避けます。
× 解決が難しい多くの困難な課題が山積している
○ 困難な課題が山積している
例文の前者は①「解決が難しい」「困難」、②「多くの」「山積」という2つの重複表現が入ってしまっています。
この他以下のような表現は重複表現しやすいので注意します。
従来~(×従来から~)
検討段階(×検討過程の段階)
違和感がある/を持つ(×違和感を感じる)
適任者(×一番ふさわしい適任者)
成果が出る/ある(×成果が実る)
混合表現を避ける
日本語が使われる年月の中で、用法が混ざった表現を「混合表現」といいます。
一見正しく思われますが、公用文では混合表現は避けるようにします。
例えば、「当面の間」という言葉は「変わる可能性がある暫定的な期間」という意味で使われていますが、これは「当面」+「当分の間」が混ざってできた混合表現です。
混合表現の例
×ご多忙中の折(「ご多忙中にもかかわらず」と「ご多忙の折」の混合表現)
×念頭に入れておく(「念頭に置く」と「頭に入れる」の混合表現)
×過半数を超える(「過半数」と「半数を超える」の混合表現)
二重否定は使わない
「ないわけではない」「ないとは限らない」のような、否定を重ねて用いるのが「二重否定」です。
消極的な肯定方法として二重否定が用いられますが、回りくどく誤解を招く表現なので、肯定表現を使うようにします。
× 台風が直撃しないとも限りません。
○ 台風が直撃する可能性があります。
同様に「○○なしでは、××できなかった」というのも一種の二重否定です。
数字を示して伝える
数字を一切使わずに正確な情報を伝えるのは不可能です。
数字ではなく「たくさん」「かなりの」「非常に多くの」など表現だけでは、読み手の数だけ解釈があり、誤解を生んでしまいます。
× 用地取得に想定以上の時間を要したため、事業の工期が大幅に延びた。
△ 200件の用地取得に想定以上の時間を要したため、事業の工期が大幅に延びた。
○ 200件の用地を5年で取得する計画であったが、地権者の移転先が見つからないなどの理由で10年を要したため、工期を5年延伸せざるを得ない状態となった。
使える数字を入れれば入れるほど、説得力が格段に上がります。
数字を間引かずに、事実を正確に伝えるようにしましょう。
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事実、分析、意見の順番で書く
客観的な「事実」と主観的な「意見」を混同している文書は、書き手の意見が事実のような誤解を招くことになってしまいます。
事実と意見を組み込む場合、明確に段落を分けて「事実」と「意見」を書くようにします。
その間に「分析」を橋渡しするように入れると、なお分かりやすくなります。
人事評価制度アンケートの結果、「適正な評価を行っている」と回答した管理職員の割合は88%であったが、「適正な評価を受けている」と回答した一般職員の割合は27%にとどまっている。【事実】
このように、人事評価制度の現状としては、評価する側とされる側の意識の差が大きくなっている。【分析】
その原因としては、評価基準が明確になっておらず、評価する側とされる側が基準を共有できていないことが考えられる。【意見】
簡単な動詞を使う
議会答弁など、格調高い文章を書こうとして回りくどく難しい表現を多用してしまうことがあります。
分かりやすい文章にするため、あえて簡単な動詞を使うことも大切です。
文章の性質によっては格調よりも分かりやすさを重視するため、難しい動詞を「する」「している」など、シンプルな表現に言い換えられないかもチェックしてみましょう。
分かりやすく表現する例
生活する(×生活を営む)
支援する(×支援を行う)
運営する(×運営を図る)
不足している(×不足が生じている)
防止する(×防止を図る)
結論を先に書く
公用文に限らず、ビジネス文書は結論を先に書くのが鉄則といわれます。
結論を先に書き、それを補強するために敬意や理由を添えるようにすれば、読み手の納得感を高めることができます。
メールや仕事の文書においては、結論を先出しで書けないか、まずは考えてみましょう。
「3段論法」「起承転結」は論文などに適する構成で、公用文には適しません。
公用文では「結・承・転・提」が理想です。
「結」は結論(知らせたいこと)、「承」は説明(なぜそうなのか)、「転」は補足(必要なデータ等)、「提」は提言(必要があれば意見も)です。
結論と説明はどんな文章でも必要ですが、補足と提言は必要に応じて入れるようにします。
手持ち資料は箇条書にする
上司の手持ち資料などは、要点を掴みやすい箇条書がおすすめです。
日頃から箇条書で文書を作成する癖をつけると、業務効率も高まります。
普通の文章
本市の総人口は令和5年に20万人を突破し、過去5年間の推移を見ると平成20年から毎年微増している状況である。平成20年に策定した本市の総合戦略プランでは、子育てしやすい環境の整備とファミリー層の定住促進を掲げ、保育園の民営化による待機児童ゼロに向けた取組を促進してきたことも寄与し、生産年齢人口が約5%増加し、年少人口についても約4%の増加となっている。
上記を箇条書にした例
・本市の総人口は令和5年に20万人を突破した。
・過去5年間の推移は、平成20年から毎年微増している。
・生産年齢人口は約5%増加し、年少人口も約4%の増加となっている。
・平成20年に策定した『総合戦略プラン』では、「子育てしやすい環境の整備」と「ファミリー層の定住促進」を目標に掲げた。
・目標達成に向け、保育園の民営化による待機児童ゼロに向けた取組を進めてきた。このことが人口増加に寄与したものと思われる。
通知文は「さて」「つきましては」で伝える
通知文は、定型的な挨拶文に始まり、「さて」で本題に入り、「つきましては」で依頼したい内容に移行します。
補足的な事務連絡は、「なお」として最後に記載します。
「挨拶」→「さて」本題→「つきましては」依頼→「なお」補足。
この流れを逸脱しなければ、定型的ながら、失礼のない通知文を書くことができます。
通知文の例
地域活性化フォーラムの開催について(通知)
日頃から、本協会の活動に御協力を賜り、心より御礼申し上げます。
さて、官民連携手法について理解を深め、地域課題の解決につなげていくことを目的に下記の日程で地域活性化フォーラムを開催いたします。
つきましては、御多忙の折りとは存じますが、貴所属職員への周知と参加の勧奨をお願いいたします。
なお、会場には駐車場がありませんので、公共交通機関を御利用ください。
案内文にQ&Aを添える
説明会の案内通知には、場合によっては安心して参加できるように工夫も必要です。
例えば保育園の「統合」や「民営化」など、保護者が不安になる語句を使う場合は、事前に想定される疑問や不安をQ&A形式で添えておくことで、当日の説明会を穏やかに進行しやすくなります。
Q&Aのレイアウト例
よくいただくご質問をご紹介します。
Q.保育園の民営化によって、保育環境はどのように変わりますか?
A.民間事業者のノウハウを活かして保育サービスを拡充し、より質の高いきめ細やかな保育を実現します。
例えば、多様化する保育ニーズに柔軟に対応するため、保育時間の延長や布団レンタル、おむつ処理など様々なオプションをお選びいただけるようになります。
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報告書には「所感」を添える
担当業務の進捗状況を上司に報告する際など、報告書を作成すると上司と部下が共通認識を持ちやすくなります。
報告書例文
令和○年○月○日
○○部長 殿
○○担当課
市民アンケート調査の結果について(報告)
標題の件について、以下のとおり報告いたします。
1 調査目的
・鉄道の高架化によって利用可能となる高架下に、どのような施設が整備されることを望んでいるのか、市民の意向を把握する。
・高架下利用のゾーニング案を作成するための基礎資料とする。
2 実施期間
令和4年1月~3月
3 対象者
住民基本台帳から無作為抽出した1,000人の市民
回答数 400人(回収率40%)
4 回答の傾向
年齢や性別にかかわらず、以下の施設を望む声が多い。
「保育施設」「公園」「医療施設」
5 今後の進め方
関係各課で構成する検討組織を設置する。(6月頃)
ゾーニング案を作成して市長に報告する。(11月頃)
議会の常任委員会で庶務報告する。(12月頃)
一般的な報告書はこのようなレイアウトになりますが、以下のような担当者の所感を最後に添えると、より有益な報告書になります。
6 所感
・他調査の傾向から30%程度の回収率を見込んでいたが、40%という高い回収率となった。市民の期待の大きさが数字に表れたものと思われる。
・保育や医療など生活に直結する施設を誘致することを想定しながら、今後の検討にあたってはスピード感を持って対応していきたい。
事業説明には「目的」「目標」「手段」を入れる
事業説明は、「目的」「目標」「手段」を入れることで、読み手に理解しやすくなります。
そのためには、以下のような定型文が便利です。
定型文例
「手段(名詞)」を行うことで、「目標(名詞)」を図り、「目的(名詞)」に寄与するものである。
「目的」「目標」「手段」が整理されてる文章は、一文が長くても読み手が迷子になりにいです。
上記の定型文で作られた具体例は以下のような文になります。
コミュニティ助成事業は、宝くじの社会貢献広報事業として、コミュニティ活動の拠点となる集会施設の整備、防災活動に直接必要な設備等の整備、青少年の健全育成に資する親子参加型のスポーツ事業等に対して、助成を行うことで、地域コミュニティ活動の充実・強化を図り、地域社会の健全な発展と住民福祉の向上に寄与するものである。
長い文章ですが、以下の「目的」「目標」「手段」が読み取れると思います。
【目的】
・地域社会の健全な発展
・住民福祉の向上
【目標】
・地域コミュニティ活動の充実・強化
【手段】
・助成
【助成対象】
・コミュニティ活動の拠点となる集会施設の整備
・防災活動に直接必要な設備等の整備
・青少年の健全育成に資する親子参加型のスポーツ事業等
このように、まず「目的」「目標」「手段」を箇条書で整理してから構文に組み込めば、簡単に文章を作ることができます。
人を動かす文章を書く
参加人数を増やしたいときなど、人を動かすためには、「動機付け」を意識した文章を意識します。
動機付けには①危機感を持たせる、②必要性を訴える、③メリットを伝えることがポイントです。
例文
メタボリックシンドロームの危険通知
先日は、健康診断を受診していただき、誠にありがとうございます。
突然、残念なお知らせですが、あなたは「内臓脂肪症候群」です。【①危機感を持たせる】
このまま放っておくと動脈硬化、心臓病、脳卒中のリスクが高まります。好きな物を食べられなくなったり、お酒が飲めなくなったりする危険性もあります。そのリスクを軽減するためにも、別紙記載の方法で特定保健指導をぜひお受けください。【②必要性を訴える】
これまで何人ものメタボリックシンドロームを卒業させてきた保健師と管理栄養士が、あなたをお待ちしております。
なお、費用は全額、当健康保険組合が負担します。【③メリットを伝える】
このように①~③全てを組み込んだ文章は強い動機付け効果があります。
「共感」「具体例」「メリット」で納得させる
相手を納得させる3大要素は①共感、②具体例の提示、③メリットへの言及です。
再開発事業など、住民を説得しなければいけないシーンで重宝する構成なので、ぜひ覚えておきましょう。
例文
○○様の思い出が詰まった大切な土地や建物が、再開発事業によって移転せざるを得なくなっていることは、誠に心苦しい限りでございます。(共感)
令和○年に、○○市で発生した大規模な火災は未だに記憶に新しく、街並みが極めて似ている本地区におきましても対岸の火事とすることなく、他山の石としてその教訓をしっかりと街づくりに活かしてまいりたいと考えております。(具体例)
防災性の向上や良好な住環境の形成に寄与するこの事業により、燃えないまち、逃げなくてもすむ安全・安心のまちを息子さんやお孫さんに遺すことできるなら、○○様の大切な土地や建物がかけがえのない新たな財産として生まれ変わることになるものと確信をしております。(メリット)
ぜひ○○様のお力をお貸しください。
「話し言葉」「書き言葉」に注意する
「すみませんでした」などの、話し言葉(口語表現)を文書やメールで用いないよう注意しましょう。
書き言葉では「申し訳ございませんでした」となります。
また、「ら抜き言葉」(例:見れます)、「い抜き言葉」(例:知ってますか)、「さ入れ言葉」(例:伸びなさそう、足りなさそう)も使わないよう注意します。
完成した文章は声に出して読み返す
文章は、書き終えたら必ず読み返します。
大事なのは声に出して読み返して、文章を耳でも聞くということです。
テンポは良いか、言い回しに違和感がおかしくないか、同じ語尾を繰り返していないかなど、それぞれのチェックポイントを耳で聞きながら確認していきます。
コツはパソコンの画面上ではなく、印刷したものを最初から最後まで音読することです。
声に出して読んだときに違和感を感じる部分に、改善点が隠れています。
他人の文書を添削する
他人の文書を添削する癖をつけると、文書力を磨くことができます。
添削する文書は、職場で誰かが作った文書でもいいですし、街中の広告文でも構いません。
他人の書いた文書を読んでみて、主語述語の関係、一文の長さ、句読点や漢字の使い方等が適切かをチェックして添削してみるのです。
遊び感覚で楽しみながら文章力を向上させることができます。
文章の癖を直す
文章の「癖」は、実は誰もが持っています。
たくさんの文章に触れていくと、自分の文章を読んで「自分の癖」が分かるようになります。
・一文が長くなってしまう
・回りくどい表現を使ってしまう
・冷たい印象を与えてしまう
・並記表記を多用しがち
上記のような癖がありがちですが、自分自身の癖が分かれば、それを避けるようにすることで文書力を磨くことができます。
もし自分の文章を読んでも「癖」が分からなければ、信頼できる上司等に見付けてもらうのもいいでしょう。
予告の副詞を活用する
「かねて」「ようやく」「あいにく」「取りあえず」といった語句を「予告の副詞」といいます。
日本語は基本的に最後まで読まないと意味が分かりません。
しかし、こういった「予告の副詞」をうまく活用すると、どのような意味で終わるのかが予想できるので読み手の理解を助けます。
ただし乱用すると冗長な文章になってしまうので注意します。
予告の副詞の例
恐らく むしろ 必ず 必ずしも かえって もしも とかく
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