「ので、から」「ついては、あっては」「場合、とき」の使い分け方|公文書の書き方
公用文を書くときに、以下のような語句は使い分けに注意します。
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「ので」と「から」の使い分け
「ので」「から」はどちらも原因、理由、根拠を表す助詞です。
その使い分け方ですが、「ので」は因果関係で結ばれる二つの事柄が一般的で客観的な事実であるような場合に、その原因、理由、根拠を表すのに用います。
一方「から」は、「原因、理由、根拠」がどちらかというと話し手の主観的な場合に用います。
例
応募者が定数を超えたので、締め切った。(事実)
寒いから、服を着た。(主観)
公用文では、主観より事実の方が表現として馴染むため、基本的に常に「ので」を使います。
「ついては」と「あっては」を使い分け方
「ついては」「あっては」は、係助詞「は」を強調した表現で、話の題目となるものを示したり、他と区別したりする語句です。
公用文でよく使われる表現ですが、その違いは「ついては」は単独で使われることが多く、「あっては」は二つ以上の事柄を対句的に列挙する場合に疲れることが多いということです。
例
・都道府県にあっては副知事を、市町村にあっては副市長村長を置くことができる。(二つの事柄)
「あっては」は2以上の事柄を列挙する場合に用いるのが基本ですが、同じ題目でも更に他とは異なることを強調するために単独で使われることもあります。
1つの事柄についてであっても、次のような括弧書きの中などで選択的な事柄を示す場合は、「あっては」を用いることがあります。
例
行政機関の官房長(官房長を置かない庁にあっては、それに相当する職にある者)は、報告しなければならない。
「場合」と「とき」を使い分け方
「場合」「とき」はどちらも前提条件を表す語句です。
その使い分け方として公式のルールはありませんが、ほとんどの場合相互に入替え可能ですが、原則して「とき」を用います。
「場合」を使うとしても、同一の文書の中ではどちらかを統一して使うようにします。
ただし、一つの文章の中で、大きな前提条件を掲げてさらに絞って小さな前提条件を重ねる場合は、大きな前提条件に「場合」を使い、小さな前提条件に「とき」を使うというルールはあります。
例文
・上記の条件に該当する場合【大前提】において、75歳に達したとき【小前提】は~
・他省庁から協議があった場合【大前提】において、その内容に意義があるとき【小前提】は、すぐに総務課まで連絡すること。
また、条件を表すときに「~場合は」なのか「~場合には」という問題があります。
公的なルールはないものの、語感が変にならない限りは、「場合は」の方を用いた方が文章が簡潔で分かりやすくなります。
ちなみに「とき」を、漢字で「時」と書くか、平仮名で「とき」と書くかは、意味の違いで使い分けます。
「時」は、時間の流れの中にある、その時代、その時期、その時間など本来の意味の「実質名詞」として用いる場合に漢字で書きます。
一方、「とき」は、「場合」と同じ意味で条件を表す「形式名詞」として用いる場合に平仮名で書きます。
「形式名詞」には、「とき」以外にも「こと、とおり、もの」など多く存在し、公用文で多用されます。
「形式名詞」は本来の意味を失い、形式的に用いられ、修飾語がなければ独立した意味を持ち得ない名詞です。
公用文においては、両者を明確にするため、原則として「形式名詞=平仮名」「実質名詞=漢字」で表記するのがルールになっています。
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