公務における文書の廃棄と、歴史的価値のある文書の保存

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公務における文書の廃棄と、歴史的価値のある文書の保存

1 廃棄の意義
保存の必要がなくなった行政文書は、速やかに廃棄を行います。
保存期間は、行政文書を最低限保有しなければならない期間を定めたものであり、保存期間を過ぎた文書を廃棄しなかったからといって、直ちに規則に反するわけではありません。
ただし、保存期間を基準として定めるのは、後述のとおり、行政文書の管理の基準を客観的に示すためでもあります。
保存期間を定めておきながら、廃棄をしたりしなかったりするのでは、基準として定める意味が薄れてしまいます。
保存期限日を過ぎても、廃棄していない限りは行政文書開示請求の対象になることについても、認識しておく必要があります。
また、保存の必要がなくなった行政文書をいつまでも管理していたのでは、保存スペースを圧迫し、本当に必要な行政文書を適切に管理できなくなってしまいます。
さらに、個人情報等の秘密情報は、保有しているだけで漏えいの危険を伴うものであり、必要がなくなった個人情報は速やかに廃棄しなければなりません。
しかし、当初定めた保存期間が満了したからといってすぐに廃棄したりせず、保存期間延長の必要がないかを十分確認しなければなりません。
廃棄や保存期間の延長は、各文書管理責任者の決定により行います。

 

2 廃棄の方法
不適切な廃棄による情報の漏えいは後を絶ちません。
次の方法により、必ず適切に廃棄を行います。
また、紙文書等の場合であっても、実物を廃棄するだけでなく、文書管理システムに必要事項を入力して「廃棄」の処理も行わなければなりません。

 

(1) 紙文書の場合
秘密文書が含まれる紙文書を廃棄するときは、焼却、裁断、溶解等による処理を行うことが必要です。
一般の紙ゴミとしての処理は許されません。
また、特に個人情報を含む秘密文書の廃棄処理を民間事業者に外部委託することによって行う場合は、個人情報保護条例などの規定により、個人情報に係る業務の処理の外部委託として、委託契約上、所定の事項を盛り込まなければなりません。
外部委託に当たっては、単に契約締結時において、個人情報保護に関する特約条項を付けるだけでなく、事業者の選定においても当該事業者自身の個人情報保護措置等の確認を行うとともに、契約後も特約条項の履行状況の確認を行う必要があります。
文書係が管理する文書庫にある文書については、保存期間満了時に、文書係が一括して溶解処分を行います。
それ以外の文書についても、この溶解処分時に持参すれば、合わせて処理を行います。

 

(2) 文書管理システムで管理する電子文書の場合
文書管理システムで管理する電子文書は、文書管理システムに必要事項を入力して「廃棄」の処理を行います。
これにより、実体も廃棄されます。

 

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(3) 文書管理システム以外で管理する電子文書の場合
文書管理システム以外で管理する電子文書についても、適切な方法で削除しなければなりません。
特に問題となるのは、フロッピーディスクやCD-ROM等の外部記録媒体やパソコンのハードディスクを廃棄する場合です。
単にパソコン上で削除するだけでは、画面上表示されなくなるだけで、データ自体は残っていますので、特別なソフトウェアを使用することにより、復元することが可能です。
適切な処理を行わずにこれらを廃棄したことにより情報が漏えいした事件も、多く発生しています。
これらを廃棄する場合には、物理的に破壊するか、ソフトウェアを使用し、復元不可能にしたうえで廃棄しなければなりません。

 

第6節 歴史的に価値のある文書の保存
1 歴史的に価値のある文書の保存の必要性
文書の中には、証拠としての保存が必要な期間、業務での利用に必要な期間が過ぎたとしても、歴史的・資料的な価値があるものもあります。
現在業務のために実際に利用している行政文書と、歴史的に価値のある資料とは、一見全く別物のように見えます。
しかし、現在、過去の社会状況の研究に利用される、歴史的な資料価値のある貴重な文書も、元々は、官公庁が日常業務の中で作成した行政文書です。
現在私たちが日常業務の中で扱っている行政文書も、将来は、社会状況を明らかにするために重要な資料的価値を持つことになります。
歴史的に価値のある文書(以下「歴史的文書」といいます。)は、住民との共有財産として永く後代に伝えられ、自治体の歴史形成に寄与するものであり、散逸及び消滅を防ぐ必要があります。

 

2 公文書館等への移管
上記で述べた歴史的文書を管理するためには、通常の行政文書のようにその業務の主管課が業務に使用する文書として保存するのではなく、別の仕組みの中で管理する必要があります。
つまり、業務に使用する文書としての保存期間を終了した文書は、すべて廃棄するのではなく、廃棄するのか、歴史的文書として管理するのかを、専門的知識を持った職員が判断し、分類・管理をする仕組みが必要であるということです。
この選別・分類・保管を行う仕組みを、通常は公文書館への移管といいます。
公文書館法(昭和62年法律第105号)第3条においては、国及び地方公共団体は、歴史資料として重要な公文書等の保存及び利用に関し、適切な措置を講ずる責務を有するものと定められています。
自治体が定める文書管理規則などでは、歴史的文書について、住民との共有財産として保存、活用するよう文書管理責任者に努力義務を課すとともに、統括文書管理責任者に、歴史的文書の管理、利用等について、その方法等につき検討を行うよう努力義務を課している例も多いです。

 

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