市役所・官公庁でのメールの書き方|公文書のメール例、レイアウト例
市役所や官公庁でも、仕事の様々な場面で電子メールが多く使われるようになりました。
電子メールは、複数の人に即座に多くの情報を伝え、その記録を残すことができる大変便利な手段です。
しかし、一方で不慣れな人も多く、相手の読みやすさ等が考慮されていなかったり、マナーに合っていない電子メールが多く見受けられます。
電子メールの本文は、職務上作成されているものであれば行政文書には当たりますが、その文章に決まった形式があるわけではありません。
しかし、相手はその文章を画面上で見ることになりますので、その見やすさなどには、紙に印刷する文書とは違った工夫が必要になります。
ここで紹介するのは、あくまで電子メール作成上の注意です。
また、施行文書等を電子メールで送付する場合の注意点については、庁内施行、使送、送付・発送の意味とはの「2 電子による送付」を参照してください。
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電子メールを読みやすくする
電子メールの場合、相手方は画面上で文書を確認します。
いかに簡潔に、読みやすく要点を伝えるかがポイントとなります。
段落を分け、箇条書き等を使って簡潔に内容を伝えます。
文字の配置を工夫する
空白を使って文字の書き位置をずらしたり、センタリングしたりすると、相手の環境によって文字がずれてしまいます。
文字の配置は自分が見ている画面とは同じにならないことを考え、左詰めにします。
また、改行や空行を入れて、相手が読みやすいようにします。
文章を簡潔にする
用件を先に出し、箇条書きを併用して、相手方が読みやすい工夫をします。
スピーディーなやり取りという、電子メールの良さを活かすためには、相手方に失礼に当たらない程度に文章を簡素化する必要があります。
<読みづらい例>
件名:○○市○○白書執筆のお願い
○○○○様
いつもお世話になっています。○○市の○○です。
このたび○○市○○白書を作成することになりました。今回は○○○の分野で高い見識をお持ちの○○○様に、国の○○施策の動向と今後の展望について御執筆いただきたく、お願いのメールです。配布先には、一般市民が目にする公共の場も考えていますので、専門用語はなるべく使わず、誰にでも分かるように書いていただけるとありがたいのですが。勝手なお願いなのは重々承知しておりますが、なにとぞ意図を汲み取っていただき、執筆していただければと思います。なお、原稿の分量は、400字詰めで5枚程度(2000字程度)です。5月20日までにいただけると助かります。よろしくお願いいたします。
<修正した例>
件名:○○市○○白書執筆のお願い
○○○○様
いつもお世話になっています。
○○市の○○です。
このたび○○市○○白書を作成することになりました。
今回は産業振興の分野で高い見識をお持ちの○○様に、国の○○施策の動向と今後の展望について御執筆いただきたく、お願いのメールです。
配布先には、一般市民が目にする公共の場も考えていますので、専門用語はなるべく使わず、誰にでも分かるように書いていただけるとありがたいのですが。
勝手なお願いなのは重々承知しておりますが、なにとぞ意図を汲み取っていただき、執筆いただければと思います。
なお、原稿の分量は、400字詰めで5枚程度(2000字程度)です。
5月20日までにいただけると助かります。
よろしくお願いいたします。
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メールでのお礼文の書き方
公務においては、メールや手紙で感謝の気持ちを文章で伝える場面も多いです。
ただし、形式的なお礼文はもらっても大して嬉しくありません。
お礼文には自分の言葉を添えて温かみを出すのがポイントです。
仕事上のメールであっても、相手との関係性に配慮しながら心遣いを添え、温もりがあるメールを書けると理想的です。
○○様
平素より、大変お世話になっております。
先日は、お忙しい中、たくさんのアドバイスをいただき、心から御礼申し上げます。
おかげさまで、事業に反対する地元住民の皆さんとの話し合いを無事に行うことができました。
ありがとうございました。
上記例は公務メールの定型文のようなものですが、事務的で感謝の気持ちは伝わりにくいです。
相手の顔を思い浮かべながら丁寧にメールを打つことで、文章に温かみを出すこともできるようになります。
○○市 ○○課 ○○○○様
いつも大変お世話になっております。
先日は、お忙しい中、ご相談にのっていただき、誠にありがとうございました。
○○様からたくさんの貴重なアドバイスをいただいたおかげで、事業に反対する地元住民の皆さんにご理解いただくことができました。
今回も住民の様々な価値観に触れることとなり、合意形成の難しさだけでなく、その醍醐味も味わうことができました。これも○○様のおかげです。
いよいよ今年も残り少なくなってきました。今年の忘年会は、地元のおでん屋で行います。名物は、ナイフとフォークで食べる「巨大煮込みダイコン」です。いつか○○様ともご一緒できれば幸いです。
温かみを出すポイントは「平素から」「心から御礼申し上げます」といった形式ばった語句を削り、「相手の名前」「おかげ」「貴重な」「仕事に関係ない話」を散りばめます。
とはいえ、顔文字や(笑)(汗)などを連発して品位を落とさないことも重要です。
小細工なしでも、心遣いの文章を添えるれば真心を伝えることはできます。
他にも以下のように「追伸」で砕けた話題を出したり、学んだことを自分の言葉で述べたりしても、形式的なお礼メールから脱却できます。
視察のお礼例文
いつも大変お世話になっております。
先日は、お忙しい中、○○事業についての丁寧なご説明に加え、複数の現場を御案内いただき、心から感謝申し上げます。
住民主体の街づくりが動き出した現場を拝見し、貴市と地元住民が一丸となって新しい街を作り上げていることに大変感銘を受けました。そして、街づくりの奥深さを改めて思い知らされた次第です。
本市でも、市長が「住民と二人三脚の街づくり」を方針に掲げているところであり、今後は貴市の取組みをお手本としながら街づくりに邁進してまります。
予算議会の開会中にもかかわらずご対応いただいたことに、改めて心から御礼申し上げます。本当にありがとうございました。
追伸 本市にお越しの際は、ぜひお声がけください。美味しいやきとりと日本酒をご馳走させていただきます。
人事異動のお礼例文
日頃から、○○にご尽力いただいている皆様に敬意を表します。
さて、4月1日付けの人事異動に伴い、私は○○部○○課に異動することとなりました。これまで○○担当として3年間、皆様にかわいがっていただき、たくさんのことを勉強させていただきました。
皆様から学んだ「仲間愛」「ワンチーム」を胸に刻み、新しい所属でも誠心誠意がんばってまいります。
本当にありがとうございました。
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電子メールを使用するうえで配慮するポイント
電子メールの特性として、いつ読まれるかは相手しだいということがあります。
これは、お互いの都合を気にせずに連絡をすることができるという点で、大変便利な点ではありますが、一方で、いつ読まれたのか、了承したのかなど、相手の状況がわかりづらいといった欠点もあります。
使用に当たっては、こういった特性を理解する必要があります。
緊急の要件では使用しない
前述のとおり、電子メールが読まれるタイミングは相手しだいですので、緊急の要件には適しません。
電話で連絡をしたうえで、詳しい情報は聞き間違いのないように電子メールで送るなど、手段を組み合わせる必要があります。
また、電子メールは、内容については正確に伝えられる反面、微妙なニュアンスを伝えられなかったり、声の調子や表情が伝えられなかったりといったことがあります。そのため、お詫びやお願いなど、儀礼的な正確の強いものには、向かない場合もあります。
メールを受け取ったら返信する
電子メールは、相手方が読んだのかどうかがわかりません。
正式な回答等をするのが後になる場合や、回答が必要ない場合でも、受け取ったということや、内容について了承したのかどうかなどを、返信して伝えるのがマナーです。
相手方のPC環境を配慮する
外部の人に電子メールを送る場合には、接続環境やPCの環境が自分とは違うことを考慮する必要があります。
① テキスト形式で送る
電子メールは通常テキスト形式で作成するのが一般的ですが、電子メールソフトによっては、HTML形式で作成できるものもあります。
これを使うことにより、文字に修飾を加えたりすることができますが、受信先のメールソフトによっては、対応できずに、文字が正しく表示されないことがあります。
こういったことがないように、電子メールを送る場合は通常はテキスト形式で送ります。
② 添付ファイルの容量に気を付ける
添付ファイルの容量があまり多くなると、相手方の接続環境によっては、受信に時間がかかったり、受信できなかったりということがあります。
また、企業等の場合は受信できる添付ファイルの容量を制限している場合が多くあります。
容量が多くなる場合には、相手方に受信環境を確認のうえ、添付ファイルを分割するなどの対応をします。
メール作成時の留意点
件名
件名は、内容が一目でわかるものをつける必要があります。
電子メールを受け取った相手は、件名と差出人をチェックし、今すぐ読むべき内容なのか、後でもいいものなのかを選り分けます。
また、課あてのアドレスのように、複数人で一つのアカウントを使用しているような場合には、件名等によって、誰あてのメールなのかを判断します。
件名が単に「お願い」や「資料の送付について」等だと、いったい何の件についてなのか、電子メールを開かないとわかりません。
また、後から探して参照したりするときにも分かりづらくなります。
送る側にとっては、その相手に送る電子メールはその1通だけであっても、受け取る相手にとっては何十通も同時に処理しなければいけない場合もありますので、配慮が必要です。
また、一斉調査に対する回答などのように、相手が複数の回答者から同じような内容の電子メールを受け取っていると考えられる場合には、件名の頭に組織名を入れるなどの工夫も必要です。
署名を付ける
電子メール文の最後には、署名を付けるのがマナーです。
署名を付けなければ、いったいどの組織の誰から電子メールがきたのか分からないばかりか、内容について電話等で問い合わせたくても連絡先が分からないということになってしまいます。
署名には通常、所属部署、氏名、電子メールアドレス、電話番号などを入れます。
用途によっては、住所やURL(ホームページアドレス)を入れる場合もあります。
署名は、その都度入力するのではなく、登録をしておくと便利です。
相手先に応じて何パターンか作成しておくと、より適切でしょう。
<署名の例>
************************************************
○○市○○部○○課○○係
山田 太郎
TEL:(XXXX)XXXX(代) 内線XXXX
(XXXX)XXXX(直通)
FAX:(XXXX)XXXX
E-mail:taro-yamada@city.jp
************************************************
自己紹介をする
面識のない人に電子メールを送るときは、簡単な自己紹介を入れておきます。
必要以上に文章を長くする必要はありませんが、全く知らない人からいきなり要件だけの電子メールが届いても、相手はとまどってしまいます。
1通の電子メールで一つの要件にする
同じ相手に対する用件が複数ある場合でも、それぞれの用件に分けて複数の電子メールを送る方が、相手は処理しやすくなります。
それぞれの内容について返信したり他の担当者に転送する場合にもその方が処理しやすいですし、後から電子メールを探す場合や、電子メールをダウンロードして保存する場合などにも、その方が便利です。
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くどい表現を避ける
具体的に以下のような語句を必要以上に用いると、くどい表現になりがちなので注意します。
こと もの ところ という しているところ していく となっている 行っている 思う 考える
くどい表現の例文
×勝つことができるでしょう。(勝てるでしょう)
×賛成できないものがある。(賛成できない)
×嫌いということではない。(嫌いではない)
×団結というものに期待している。(団結に期待している)
×伺っているところであり~(伺っているので~)
×書いてくことにしている。(書くことにしている)
×調査中になっており~(調査中であり~)
×目指したいと思います。(目指します)
×検証を行っている。(検証している)
また、二重否定の表現もくどい表現の例です。
×~しないわけではない。(~することもある)
×~を除いて実現しなかった。(~のみ実現した)
他にも重言を使用しないよう注意が必要です。
×諸先生方 ×各都道府県ごと ×一番最後
×今の現状 ×過半数を超える ×従来から
×まず最初に ×当面の間
公用文でも分かりやすい自然な言い回しを意識します。
くどい表現をなくすためには、字数をできるだけ減らす観点で読み直すと解決することも多いです。
メールを出すときの工夫
季節を感じさせるような入りから文章を始めると、中身を相手に読んでもらいやすくなります。
例えば「ノー残業デー」を周知するメールでも、
本日は、ノー残業デーです。労働時間縮減の主旨を御理解いただき、定時退庁に努めましょう。
ノー残業デーを始め、働き方改革は、労働環境を大きく見直すための取組みです。
職員の皆さんの御理解と御協力をお願いいたします。
このような無機質な定型文では「また邪魔なメールが来た」と思われて、読んでもらえず削除されてしまうかもしれません。
毎月同じような文章を機械的に送るのではなく、季節感を出しながら、読み手に対する心遣いを滲ませてみてください。
例1
新入生のランドセルが街に彩を添えていますね。花冷えが続いていますが、職員の皆さんは体調を崩されたりしていませんか?
本日は、ノー残業デーです。
定時退庁に努めていただき、ご家族や友人とゆっくり過ごしたり、趣味のために時間を使ったりしてみてはいかがでしょうか。
例2
冬来たりなば、春遠からじ。
寒い日が続きますが、新しい春はひっそりと準備を始めています。
職員の皆さんも、春を待たずに新しいことにチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
本日は、ノー残業デーです。定時退庁に努めましょう。
まとめ
・電子メールは、左詰めや改行を使って読みやすく工夫する。
・電子メールは用件を先に出し、箇条書きを併用して、読みやすく工夫する。
・文面だけでなく、緊急の場合は避ける、必ず返信する、相手方のPC環境への考慮するといった、電子メールを使用するうえでの配慮に気を付ける。
・メールの件名は件名は、内容が一目でわかるものをつける。
・電子メールの最後には、署名を付ける。
・面識のない人に電子メールを送るときは、簡単な自己紹介を入れる。
・一通の電子メールでは一つの要件にする。
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