「 」『 』の使い分け方|公文書の括弧(かっこ)書
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「 」『 』の使い分け方
区切り符号として公用文に用いるのは、従来以下の6種類でした。
① 。(句点)
② 、(読点)
③ ・(なか点)
④ ( )(丸括弧)
⑤ 「 」(かぎ括弧)
⑥ 『 』(二重かぎ括弧)
しかし、令和4年1月7日文化審議会建議「公用文作成の考え方」では以下のように示され、新たに「【】」(隅付き括弧)が用いることができるようになり、逆に「『』」(二重かぎ括弧)は原則として用いないこととされました。
法令や公用文で用いる括弧は、()と「」を基本とする。()や「」の中に、更に()や「」を用いる場合にも、そのまま重ねて用いる。ただし、解説・広報等では、「」の中で『』(二重かぎ括弧)を使うこともある。また、閉じの丸括弧 )(片括弧)のみで用いることもある。
そのため、従来『』はかぎ括弧の中で更に明示する必要のある事物の名称や語句を示すために使い分けていましたが、かぎ括弧自体が二重に用いることができるので、現在、『』は公用文では原則としては用いません。
ただし、一方で「解説・広報等」においてなら、『』はかぎ括弧の中で会話の引用が二重になっているときに用いることができるされています。
「 」( )と句点「。」の使い方
( )「 」などの括弧内の句点
丸括弧()中も文になっているときは、文末に「。」を打つのが公用文の基本ルールですが、例外もあります。
国語分科会報告書では、解説や広報等においては、丸括弧内の文末の句点を省略することがあるとしています。
また「公文書作成の考え方」では、かぎ括弧「」内が語句や短文の引用であるときは、「。」を打たないこととしています。
① 括弧内が名詞で終わるときは、句点は付けません(例1)。ただし、名詞で終わっても、その次に別の文を続けるときは句点を付けて区切ります(例2)
例1 自転車放置規制条例(令和○年○○市条例第3号)の規定により駅前広場に自転車を放置することは禁じられています。
例2 改正前の○○条例(平成○年○○市条例第2号。以下「旧条例」という。)で定められていた~
② 括弧内で完結する語が動詞であるとき(例1)、又はその他の名詞以外の語であるとき(例2)は句点を付けます。ただし「 」内の引用文が文の形式を成していても、簡単なものは句点を省略することができます(例3)。
例1 公園(○○条例第5条に規定する公園をいう。)では、~
例2 困っていそうな住民には「よろしければ、お手伝いしましょうか。」と声を掛けてください。
例3 「気を付け」の姿勢で注目してください。
注記としての( )と句点「。」の位置
一つの文の最後に注記として( )を付ける場合、どこに最後の句点を付けるかという問題があります。
このような場合は、その文の最後ではなく、その( )の後に句点を付けることになります(例1、例2)。
というのも、その( )もその文の一部と考えるからで、句点は文の完結を示す符号だからです。
例1:スポーツルームを利用する人は、市長に申請することにより、その使用料の減額又は免除を受けることができます(○○条例第5条)。
例2:スポーツルームを利用する者は、その施設内の備品を利用することができる(ただし、施設長の許可を受けた場合に限る。)。
公文書の区切り符号の使い方
・(なか点)
① 事物の名称を列挙する場合に、名詞相互が密接不可分な場合などに使います。
例
委員長・委員
かつお・まぐろ漁業
② 2語以上からなる外来語、外国の地名・人名を書き表す場合に、語の切れ目を示すために使われます。
例
アダム・スミス ファイリング・システム
,(カンマ)
アラビア数字で数を表す場合に,けたを示すために使います。また、横書きの文で読点として使われます。
例
1,000,000円
.(ドット)
アラビア数字で数を表す場合に、小数点として使います。
例
67.5キログラム
( )(丸括弧)
丸括弧の用法は多様ですが、多くは、直前の語句の定義や説明など注記するときに用います。
注記の中で更に注記をする場合にも、更に括弧を使います。
一つの文に注記を付ける場合には、その文の句点の前に注記を付けます。
段落の全体や文章の全体など二つ以上の文に注記をつける場合は、注記はすぐ前の文の句点の後に付けます。
丸括弧は必要に応じて二重に用いることができますが、括弧を使いすぎると文章が分かりにくくなりますので、できるだけ使わないで済むような工夫をします。
また「例)」のように片括弧でも用いることもできます。
例
文書係に引き継ぎます(ただし、○○は引き継ぎません。)。
・・・を調査します。調査後は結果を公表します。(調査は毎年1回実施します。)
「 」(かぎ括弧)
かぎ括弧は、会話を引用するとき、語句を強調するときに用います。
丸括弧と同様、必要に応じて二重に用いることができます。
【】(隅付き括弧)
新たに加えられた隅付き括弧は、項目を示したり、強調すべき点を目立たせたりするときに用います。
々(繰り返し符号)
「々」は「同の字点」と呼ばれ、符号であって文字ではありません。
繰り返し符号は、公用文では、原則として「々」のみを用います。
「々」は、全く同じ意味の語が連続するような漢字の繰り返しの場合にのみ使います。
同じ語が続いたとしても、その続く語が異なる意味で用いられている場合は、繰り返し符号は用いないため、「民主々義」のように単語をまたいで繰り返すことはできません。
例
人々 年々 日々
国々 若々しい 近々に
民主主義(×民主々義)
学生生活(×学生々活)
審査会会長(×審査会々長)
委員会会則(×委員会々則)
また、公用文では「一歩々々」のように2字以上を繰り返すことはできないため、次のようにそのまま書きます。
ますます 一つ一つ 一人一人 一歩一歩 知らず知らず 繰り返し繰り返し
下線(傍線)
公用文では、強調したい場合など、下線(縦書きでは傍線)を用いることができます。
ただし傍点は公用文では使えません。
公文書には使用されない区切り符号
次に例示する符号は、公文書では基本的に用いません。
ただし、「解説・広報等」において、これらを使うことによってより理解できるようになる場合などは、使うことができます。
矢印(→ ⇒ ⇔)や箇条書に用いる丸、四角等の符号(・ ○ ● ◎ ◇ ■等)も文書内で用法を統一すれば用いることができます。
なお、Q&A(問答集)などで「&」(アンパサンド)を用いることがあります。
このように「公文書の考え方」において、符号の使用はかなり自由化されています。
これら以外の符号を使うときは、文中で凡例によりその意味を明らかにします。
『 』(二重かぎ括弧)
従来、かぎ括弧の中で更に明示する必要のある事物の名称や語句を示すために使っていましたが、かぎ括弧は二重に用いることができるので原則としては用いません。
「解説・広報等」において、かぎ括弧の中で会話の引用が二重になっているときに用いることができるされています。
〔 〕(かく型括弧)
{ }(くくり型括弧)
語句の説明や言い換えをする場合に使います。
その他
①~(波型)
表の中などで、「・・・から・・・まで」という意味を示す場合に使います
②-(ハイフン)
③→(矢印)
④くくり
※2行にまたがる ( や { のこと
⑤〃(繰り返し符号)
繰り返しを表わす「〃」(ノノ点)は、表などで用いることがあります。
文字の反復符号(踊り字)は、漢字では「々」を用いますが、平仮名や片仮名の「ゝ」「ヽ」は用いません。
「同」の古字「仝」も用いません。
⑥※(米印)
⑦?(疑問符)!(感嘆符)
「?」(疑問符)及び「!」(感嘆符)については、「解説・広報等」において、発言をそのまま記載する記録において必要に応じて用いることができるされています(文末に付けた符号の後は、1字空ける)。
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