文書主義とは|文書主義の3つの原則を簡単に解説
スポンサードリンク
文書作成の原則の意義
自治体の仕事のほとんどは、文書によって行われます。
そして、自治体の意思決定及び事務事業の実績については、行政文書を作成することが原則とされています。
すなわち「文書主義」を採用するということです。
日常生活においては、何かを決めるに当たっていちいち文書に残すようなことはしません。
それは、そう決めたことを知らせなければいけない人がごく限られており、その決定内容の詳細が後から問題になることはほとんどないからです。
しかし、行政に限らず、多くの人間が事務を分担しているような組織体においては、決めた当事者だけが知っていればいいというわけにはいきません。
効率的に事務処理を行うために情報伝達の手段として「文書」を用い、また、その決定が将来にわたって客観的に分かるようにしておくために「文書」を残しておく必要があります。
組織体の中でも、特に行政をつかさどる自治体においては、その事務処理が住民等の権利義務と密接な関係を持ち、その正確性、公平性が強く求められています。
自治体における意思決定は、内部だけのものではなく、現在そして未来の住民へのアカウンタビリティ(説明責任)として客観的に分かる形、そして前述したように、訴訟における証拠として証明力を持つ形で適切に管理されなければいけないのです。
自治体において「文書主義の原則」が採用されているのは、文書が、情報の記録、保存及び伝達手段として、次のような特性を備えているからであり、この特性が、公正・公平・確実な仕事を行っていくために必要とされるからです。
① 伝達性・・・時間、空間を越えて意思を伝達することができる。
② 客観性・・・他の伝達手段に比べて被伝達者の主観に左右されることが少ない。
③ 保存性・・・記録を長時間にわたって保存することができる。
④ 確実性・・・記載内容を何度でも読み返して確かめることができる。
しかし、説明責任を果たすためには、単に文書があればいいというものではありません。
形式的な要件を備えることはもちろんですが、その内容が、客観的に社会に通用する形でなければいけません。
役所の中でしか分からないような略語を多用したり、肝心なことが省略されているような文書では、意味がありません。
適切な内容を、適切な形式で、また適正な手続で作成することが重要です。
文書の作成においては、外部への説明、将来においての説明のために文書(記録)を作成しているということを常に意識する必要があります。
スポンサードリンク
自治体の意思決定及び事務事業の実績
自治体の意思決定とは、機関としての意思決定をいいます。
決定権限については、委任や専決等により、副市長、部長や課長に下ろされているものもありますが、それらについても、自治体の意思決定は、起案文書を作成し、行う必要があります。
事務事業の実績についても同様です。
業務執行の記録として、自治体が行う事務事業については、その実績を文書化する必要があります。
文書主義の例外
自治体の意思決定は起案文書を作成するのが原則ですが、軽微な事案又は緊急な場合には、起案文書によらずに決定することができます。
処理に係る事案が軽微なものである場合
処理に係る事案が軽微なものである場合は、文書を作成しなくてもかまいません。
担当者の判断で行えるような場合にまで、起案文書を作成する必要はありません。
緊急な場合
起案文書を作成し、意思決定をしていたのでは、業務処理が間に合わない、住民等の生命や財産を守ることができないといった緊急の場合には、文書によらず、意思決定を行うことができます。
ただし、この場合であっても、当該事案の決定権者による意思決定が必要なことはいうまでもありません。
また、この場合には、事後に必ず起案する必要があります。
その際には、事前に文書によらず意思決定を行った旨を起案文書中に、その理由とともに記載する必要があります。
この措置は、あくまでも例外的なものであり、真に緊急の場合のみ許されているものです。
安易に日付をさかのぼって起案するようなことは、当該文書の信頼性が問題となるだけでなく、市の行う文書事務全体の信頼性を損ねることとなりますので、決して行うことのないようにします。
事案の起案及び決定は、施行日を勘案し、余裕を持って行う必要があります。
スポンサードリンク