読点(、)の使い方と打ち方|公用文の句読点ルール

読点(、)の使い方と打ち方|公用文の句読点ルール

読点(、)の使い方と打ち方|公用文の句読点ルール

 

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読点「、」(読み方:とうてん)については、日本語の表記のうえでも基本的なルールが定まっておらず、ルール化自体が難しい状況にあります。
読点は、あくまで読みやすい文を作るためのものです。
同じ語句であっても、全体の文章の長短によって、読点を打ったり打たなかったりすることもあります。

 

次に示すのは、公用文について一般に使われているルールですが、文全体を見て、読みやすくするためには例外も許容されます。
※横書きの公用文には本来「、」ではなく「,」(カンマ)を使うのが原則(「公用文作成の要領」第3の5の注2)とされていますが、一部の中央官庁(法務省、外務省、文部科学省、宮内庁、消費者庁)を除いてこのルールは無視されており、現在一般には「、」(テン)が使われているようになっています。

 

読点の付け方の原則

読点には、原則として「、」を用いますが、その役割は文の「切れ目」と「係り受けの関係」を明確にして、読みにくさを防ぐことです。
言い換えると、読点は読み手のために付けるもので、書き手が好きに付けるものではありません。
そのため、読点は、必要な所に適切に付けなければなりません。
なお、「係り受けの関係」を示す読点とは、次の例のような文の読点をいいます。

 

例1:彼は、泣きながら逃げる彼女を追いかけた。
例2:彼は泣きながら逃げる彼女を追いかけた。
例3:彼は泣きながら、逃げる彼女を追いかけた。

 

読点のない例2のような文では、泣いているのが「彼」なのか「彼女」なのか分かりません。
例1のように「彼は」の後に読点があると、「泣いている」のは「逃げる彼女」であることが分かり、「彼は」は「追いかけた」に係っていることが分かります。
ちなみに「泣いている」のが「彼」の場合であれば、「泣きながら」の後に読点を付けると、そのことが分かりやすくなります(例3)。

 

また、次の例1、例2のような文章も読点で意味が変わります。

例1:次長及び係長で、市長が指名する者は、文書事務研修に参加しなければならない。
例2:次長及び係長で市長が指名する者は、文書事務研修に参加しなければならない。

 

例1の文は「市長が指名する者」は「次長及び係長」の職にある者のうちからであることは分かりますが、例2の文はそうとは断言できません。
例2では、次長の職にある者は全員、市長が指名するのは係長の職にある者、という意味にも解釈できます。
このように、読点の付け方によって、文の意味が変わることに留意します。読点が文意を決定するのです。

 

単文の主語の後は打つ

単文(「主語+述語関係」が1箇所しかない文をいいます。)の主語の後には、「、」を打ちます。
単文ではなく、条件句などの挿入句がある場合は、挿入句の主語の次には読点を付けません。
主語の後に「、」を打つことにより主語が明確化され、特に長い文章の場合、その意味がとても分かりやすくなります。
単文の例

この条例は、公布の日から施行する。

 

挿入句の例

市長は、市営球場を利用する者がこの条件に違反したときはその利用許可を取り消すことができる。

 

上記の例の「市長は」が主たる主語であって、「市営球場を利用する者が」が挿入句の主語です。
このように、主たる主語には読点を付けて、挿入句の主語には読点を付けません。

 

また、主題を表す助詞のついた文節など主語に準ずる場合(「~については」等)も同様です。
文法学上の主語ではなくても、主題を示す語の次にも読点を付けるのが原則です。

業務改善については、至急その具体案を取りまとめなければならない。

公用文で多用する「~については」は、主語ではありませんが、主語に準じた使い方をしています。
文頭に「~おいては」や手段を示す「~は」などが置かれる場合も同様に「、」を打ちます。

 

一方、主語の後でも、叙述が簡単で打たなくても分かる場合や、重文(「主語+述語」が2箇所以上ある文をいいます。)など打たない方が文の構造がはっきりする場合は、「、」を打ちません。

・夏は暑い。
・彼は、身長は180センチメートル、体重は90キログラムあります。

 

また、格助詞「が」の付く主語には、単文の主語でも原則として「、」を打ちません。

・彼がその事務の担当者である。
・詳細については、首長が定める。

 

さらに、並列に使う副助詞「も」が付く主語にも、原則として「、」を打ちません。
ただし、後に文章が続きとき、後の部分が長いときは「、」を打つこともあります。

私たちも応援に向かいます。

 

「対句」の主語にも、次のように読点を付けません。
対句のような場合、読点を付けない方が、どの文節とどの文節が対応しているか分かりやすいからです。

都道府県は副知事を、市区町村は副市長村長を置くことができる。

 

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名詞を列挙する場合は打つ

名詞を列挙する場合、列挙する語が二つのときは、読点を付けないで「及び」「又は」などの接続詞でつなぎます(例1)。
三つ以上の名詞を列挙するときは、最後の名詞のつなぎだけに接続詞用い、その前の名詞のつなぎには「、」を打ちます(例2)。
ここで、名詞をつなぐ接続詞には読点をつけないことです。
接続詞に準じる「その他」「その他の」で名詞を列挙する場合も同様です。
ただし、列挙する語の最後を「等」「など」でくくるときは、それぞれの語は読点だけでつなぎ、接続詞は使いません(例3)。

 

※名詞を列挙するときに「・」(中点)を用いることもありますが、公用文では原則として「、」を用います(中点は固有名詞や外来語・外国人名の中で単語を区切りたいときに用いる)。

 

例1 部長及び課長
例2 部長、課長、課長補佐及び係長
例3 航空機、船舶、電車、自動車などの交通機関

 

ただし、かぎ括弧で囲まれた語句を列挙する場合は、法令を除いて「、」を省略することができます。

明日の会議では、「来年度の主要施策」「予算の基本方針」などを議題とします。

 

また、「と、や、か」などの助詞を使って名詞を並列する場合には、「、」は打ちません。

都道府県市区町村
リンゴバナナ

 

動詞の連用形の後

動詞の連用形「~し」の後に(用語が付かないとき)は、原則として「、」を打ちます。

・諸般の事情を勘案し、最終決定を行う。

「~し」などの連用形で続く動詞(「連用形止め」又は「中止法」)の後には「、」を打ちます。

 

ただし、助詞「て」が付いて、「~(し)て」と変化した場合は、原則として「、」を打ちません。

諸般の事情を勘案して最終決定を行う。

 

また、法令文中の「~に関し」や「~に対し」も後にも、慣用上「、」を打たないことが多いです。

30日以内に首長に対し提出しなければならない。

 

また、動詞を列挙して記述する場合には、その列挙する語が二つであっても、「及び」「又は」など接続詞の前に読点を付けます(例1)。
三つ以上の語を列挙する場合は、前に列挙する語は読点でつなぎ、最後の二つのつなぎにも読点を付けて、接続詞を用います(例2)。
この原則は、接続詞に準じる「その他」「その他の」で動詞を列挙する場合も同様です。さらに、動詞句、形容詞句又は副詞句を列挙して記述する場合も同様です(例3)。

例1 市長は、次の条件に該当するときは、使用料を減免し、又は免除することができる。
例2 建設資材を製造し、販売し、及び輸出するもの
例3 地方公共団体は、義務を課し、又は権利を制限するには、条例によらなければならない。

 

文の始めの接続詞の後には打つ

文の始めに置く接続詞の後には「、」を打ちます。

したがって、この件は
しかし、それには賛成できない。

 

この場合、そのすぐ後に短い主語がくるときは、主語の後の「、」は省略することができる。

しかし、私はそれには賛成できない。

 

この他、「ただし」「なお」「すなわち」などの接続詞も同様に、後に「、」を打ちます。
また、「この場合において」といった接続詞句も同様に、後に「、」を打ちます。
一方、「仮に」「もし」「例えば」「特に」「殊に」などは、副詞であって接続詞ではないので、基本的に後に「、」は打ちません。
ただし、これらの副詞と修飾される語句の間に他の句や節がある場合は「、」を打ちます。

 

文中の接続詞「かつ」の句点

接続詞「かつ」は、二つの動作又は状態が並行して行われることを表す語で、「同時に」「その上」と同じ意味で用いられます。
この「かつ」で、句と句をつなぐときは、「かつ」の前後に句点を打ちます(例1)。
一方、句ではなく、単語と単語をつなぐときは、句点を打ちません(例2)。

 

例1 市長は、その指針を策定し、かつ、これを公表しなければならない。
例2 委員会は、民主的かつ効率的な運営を徹底しています。

 

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接続助詞の後は打つ

接続助詞の後は「、」を打つのが原則です。
「ので」「と」「から」「が」「けれども」等の順接又は逆接を表す接続助詞は「、」を打つことが多いです。
前置きを表わす「が」も同様に「、」を打ちます。

・外に出てみると、雨が降っていた。(順接)
・準備も必要であるが、行動も必要だ。(逆接)
・明日試験結果の発表があるが、期待したい。(前置き)

 

重文の場合、主語の後には打たない

重文と条件節は主語が二つある文章のことで、どちらの場合も各主語の後に「、」を打ちません。
ただし二つの文章をつなぐ、「~すれば」「~だが」等の後には「、」を打ちます。
「~にあっては」「~場合は」などが複数用いられる文も同様です。

彼が賛成すれば、私はやりやすくなる。(条件節)
私は賛成だが、彼は反対だ。(重文)
雨が降った場合は延期で、雪が降った場合は中止だ。(複数の場合)

 

上記の例でいえば「私は、賛成だが、彼は、反対だ。」とはしません。
ただし、主語が長文化したときなど、「、」を打った方が分かりやすくなる場合は打っても許容されます。

挿入句の前後には「、」を打つ

部長は、多くの職員が知っていることであるが、今月で退職するため、仕事をする気がない。

 

例文も重文ですが、「多くの職員が知っていることであるが」の主語は、「部長は」ではないので、この部分は挿入句です。
この場合は、挿入句の前後に「、」を打つルールから、重文であっても「部長は」の後にも「、」を打つことになります。
また、例えば、条件を表す「条件句」が二つ以上あるときは、以下の例のように一つずつ読点で区切って書くことになります。

市長は、利用者がこの規則に違反したとき、又は係員の指示に従わないときは、その利用の許可を取り消すことができる。

 

かぎ括弧「」+「と」の後

かぎ括弧で囲まれた会話等の部分の次の置かれる格助詞「と」の後には、次に続く語句が「言った」「思った」「考えた」などのときは「、」を打ちませんが、それ以外のときは原則として「、」を打ちます。

彼は、「必ず試合に勝つ。」と言った。
「必ず試合に勝つ」と、私は、内心思った。

 

限定、条件を表わすときは打つ

限定、条件などを表す語句の後には、「、」を打ちます。

令和3年3月31日までに生まれた者で、中学校を卒業したもの

 

被修飾語と離れているときは打つ

副詞的語句が被修飾語と離れているときは「、」を打ちますが、直接係っているときは「、」を打ちません。
読点には、読点に囲まれた部分を読み飛ばしても文脈が通じる機能があるためです。

 

・昨年、資格取得のため、退職した。
・資格取得のため、昨年退職した。

 

同格的用法でも「、」を打てる

読点には、同格的用法があり、「すなわち」という意味を読点に代替させることができます。

 

この問題に関する受け止め方の違い、温度差がある。

 

その他、読みやすくなる場合

その他、読み違いや読みにくさを避けるために必要な場合には「、」を打ちます。

ここで、はきものを脱いでください。

 

句点(。)の使い方と打ち方

文を書いて、その一つの文を言い切ったら句点「。」を付けます。
この点について、間違いはほとんどありませんが、以下のような場合は注意が必要です。

 

( )「 」などの括弧内の句点

① 括弧内が名詞で終わるときは、句点は付けません(例1)。ただし、名詞で終わっても、その次に別の文を続けるときは句点を付けて区切ります(例2)

 

例1 自転車放置規制条例(令和○年○○市条例第3号)の規定により駅前広場に自転車を放置することは禁じられています。
例2 改正前の○○条例(平成○年○○市条例第2号。以下「旧条例」という。)で定められていた~

 

② 括弧内で完結する語が動詞であるとき(例1)、又はその他の名詞以外の語であるとき(例2)は句点を付けます。ただし「 」内の引用文が文の形式を成していても、簡単なものは句点を省略することができます(例3)。

 

例1 公園(○○条例第5条に規定する公園をいう。)では、~
例2 困っていそうな住民には「よろしければ、お手伝いしましょうか。」と声を掛けてください。
例3 「気を付け」の姿勢で注目してください。

 

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箇条書の句点

①箇条書が名詞で終わるときは、句点を付けません(例1)。
ただし、「こと」又は「とき」で終わるときは、必ず句点を付けます(例2、例3)。
また、名詞で終わっても、その次に別の文を続けるときは句点を付けて区切ります(例1)。

 

例1

文書担当は、その所属する課における次の事務に従事する。
(1) 文書の収受に関する事務
(2) 文書の審査に関する事務
(3) 文書の保管に関する事務。ただし、~を除く。

 

例2

ホールを利用する人は、次の事項を守らなければなりません。
(1) 施設を損傷しないこと
(2) 施設内で火気を使用しないこと
(3) 他人の迷惑になるような行為をしないこと

 

例3

自然公園を占用する人は、市長の許可を受けなければなりません。ただし、次のいずれかに該当するときは利用を許可しないことになっています。
(1) その利用が秩序又は風紀を乱すおそれがあると認められるとき
(2) その利用が施設又は設備を損傷するおそれがあると認められるとき
(3) その他修理工事等の必要があると認められるとき

 

② 完結する語が動詞又はその他の名詞以外の語であるときは、句点を付ける。

左横書きの文書の書き方は、次のとおりである。
(1) 本文は、1字分空けて書き始める。
(2) ただし書は、行を改めない。
(3) なお書き、おって書きは、行を改める。

 

注記としての括弧書きの句点の位置

一つの文の最後に注記として( )を付ける場合、どこに最後の句点を付けるかという問題があります。
このような場合は、その文の最後ではなく、その( )の後に句点を付けることになります(例1、例2)。
というのも、その( )もその文の一部と考えるからで、句点は文の完結を示す符号だからです。

 

例1:スポーツルームを利用する人は、市長に申請することにより、その使用料の減額又は免除を受けることができます(○○条例第5条)
例2:スポーツルームを利用する者は、その施設内の備品を利用することができる(ただし、施設長の許可を受けた場合に限る。)。

 

なお二つ以上の文や段落全体に( )で注記を付けるような場合があるが、その場合の( )はその直前の文の一部ではないので、上記の限りではありません。 

 

 

まとめ

読点を打つシーン

・単文の主語の後(「~については、」も打つ)
・名詞を列挙する場合
・「~し」などの連用形で続く動詞の後
・接続詞の後(そのすぐ後に短い主語がくるときは、主語の後の読点は省略可)
・「ので」「と」「から」「が」「けれども」等の順接又は逆接を表す接続助詞の後
・重文又は条件節の場合で、「~すれば」「~だが」「~にあっては」「~場合は」等の後
・挿入句の前後
・その他、読点を打つことで文章が分かりやすくなる場合

 

読点を打たないシーン

・単文であっても、格助詞「が」又は副助詞「も」が付く主語の後。
・名詞を列挙する場合で、かぎ括弧で囲まれた語句を列挙する場合
・名詞を列挙する場合で、「及び、又は」などの接続詞や、「と、や、か」などの助詞を使って名詞を並列する場合
・動詞の連用形の後に助詞「て」が付いて、「~(し)て」と変化した場合
・「~に関し」「~に対し」の後
・「仮に」「もし」「例えば」「特に」などの副詞の後
・重文又は条件節の場合で、各主語の後

 

 

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