合議とは|協議、決裁との違い|公務員の決定関与の審議方法

合議とは|協議、決裁との違い|公務員の決定関与の審議方法

合議とは|協議、決裁との違い|公務員の決定関与の審議方法

合議とは

「合議」とは、決定権者又は審議を行う決定関与者と、それ以外の職位にあるものとが、それぞれの職位との関連において、事案に対する意見を決定権者に表明することをいいます。
行政団体によっては「協議」とも呼ばれ、合議と協議の違いはありません。
また、合議は決定関与における決裁ルートの一貫とされることもあります。
合議の省略、範囲については後述します。

 

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決定関与とは

決定関与とは、その事案の処理について何らかの関係を有し、かつ、その決定内容に意見を表明すべき職務上の地位にある者が、決定権者に対し事案決定への意思表示を行うことをいいます。

 

決定関与の意義

決定関与は、組織体としての事務処理の統一性を必要最小限度確保し、事務の適正執行を図るために行われるものです。
したがって、決定関与者の範囲を必要以上に拡大すると、責任の所在が不明確になるとともに、決定関与に時間がかかり、効率的な事務執行を妨げることとなります。
従来、意見を表明するわけではないが、周知や情報提供を行う必要がある職員に対し、「協議(合議)」という形で文書を回付することが多く見られました。しかし、これは本来の意味の協議ではありません。

 

周知や情報提供は、協議や審議としてではなく、起案前の事前協議や決定後通知などを利用して行い、本来の意思決定は迅速に行うことが重要です。
意見調整や周知を、すべて正式な意思決定の手続の中で行うことは、迅速な意思決定の妨げになりますので、やめましょう。

 

決定者と決定関与者

事案についての決定権を持っているのは、「決定権者」だけです。
決定関与者はあくまで決定権者に意見を表明できるだけであって、たとえ決定関与者が反対意見を表明したとしても、決定権者がその意見を踏まえたうえで決定を行えばその意思決定は有効です。
事案の決定において、決定関与者が承認をすることは必須ではありません。

 

つまり、「決定関与者全員の承認がなければ決定とならない」ということではありません。
なぜなら、決定書方式においては、事案を決定するのは決定権を持つ一人の決定権者だからです。
決定関与者として決定者に意見を表明することができるのは、その事案について、YES、NOを判断する権限のある人、判断をする必要がある人ということになります。

 

決定書方式においては、意見調整は意思決定の手続の中で行うのではなく、他の手段で行うこととなっています。
YES、NOの判断を行わない者を、単なる周知や意見調整のために決定関与者として加えることはやめ、意思決定を迅速化します。 決定関与者として誰を加えるべきかについては、それぞれの決定関与者の項目を参照してください。

 

決定関与の運用

決定関与の種類

審議

審議とは、その事案の主幹の系列(担当者から決定権者にいたるライン組織)に属する者が、その職位との関連において、事案について調査、検討し、事案に対する意見を決定者に表明することをいいます。
例えば、部長決裁をする際に起案者の直属の係長や課長が決定関与(承認)する場合が、これに当たります。
審議は、事案の決定権限に応じて、起案者の属する係の係長、課長、部長、副市長の順で行いますが、起案者と同じ課内の他係の係長を審議に加える場合には、課長の前に行うことができます。

 

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審議を行うことは必須ではありません。
つまり、事前協議等により実質的に承認を得ている場合や、決定後通知で足りる場合は、審議という形で起案文書に記録を残す必要はありません。
不必要な審議は省略し、意思決定の迅速化を図るものとします。
審議者は、事案を検討のうえ、「承認」の記録を残すことになります。

 

審査

「審査」とは、起案文書について適正な意思決定が行われるよう、法令等への適合性などについて調査及び検討をし、その意見を表明することをいいます。

 

ア 審査の内容
審査は、形式と内容の両面から行います。
(ア) 形式審査
文体、表現、用字、用語、形式、保存情報、決裁区分、決定関与者などについて行います。

 

(イ) 内容審査
事案の内容について法律的、行政的、財務的な観点から行います。
実際に審査を行うに当たっては、起案文書について適正な意思決定が行われるよう、次の事項について注意します。
① 決裁区分及び協議先の適否
② 法令等への適合性
③ 起案内容と起案目的との整合性
④ 起案方法及び行政文書の作成に関する基準への適合性
⑤ 秘密文書の指定の妥当性

 

イ 審査の種類
(ア) 係内審査(文書取扱責任者)
文書の審査は、各係の文書取扱責任者が行います。
文書取扱責任者は、係で取り扱うすべての起案文書を審査します。
ただし、文書取扱責任者が審査を行う起案文書が文書取扱責任者の所属する係のものであるときは、文書取扱責任者がその起案文書について審議を行うことにより、審査を行ったものとみなします。
(イ) 法令審査(文書係)
次の文書は、文書係長、総務課長、総務部長の協議の際に、文書係の審査を受けなければなりません。
① 告示に関する文書
② 要綱に関する文書
③ 通達と依命通達に関する文書
④ その他特に重要な文書
なお、文書係は、必要なときは、いつでも文書を審査してその是正を指示することができます。

 

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ウ 審査の方法
(ア) 電子関与方式による場合
起案者は、回議ルート設定画面において、決定権者及び必要な決定関与者を設定します。
その際、文書取扱責任者が係長や主査の立場で承認者として加わっている場合、つまり審議を行う場合には、承認者として承認の処理を行うことで審査も行ったこととみなします。
したがって、審議者としての立場と審査者としての立場で別に承認を行う必要はありません。
文書取扱責任者が承認者として設定されていない場合には、決定関与者区分「文書審査者」として追加を行います。
文書係による文書審査を要する事案の場合は、決裁決定関与者区分を「文書審査者」として文書係を追加します。

 

(イ) 書面関与方式による場合
起案用紙の審議に係る所定欄に押印を行うことで、審査の記録を残します。

 

エ 起案の差戻し
審査の結果、起案文書に誤りがあるときは、その軽重にかかわらず、その旨を起案者に連絡して、起案を差し戻します。

 

協議(合議)

決定権者又は審議を行う決定関与者と、それ以外の職位にあるものとが、それぞれの職位との関連において、事案に対する意見を決定権者に表明することをいいます。

 

ア 協議の範囲
他の部課の所掌事務に関係する起案文書については、その部課に協議をしなければなりません。
しかし、協議の範囲について明確に定める規定はありません。
意思決定に係る事案の性格、内容や決定権者の職位、組織構成などにより、必要に応じて協議先を追加します。
ただし、協議先に加えることができるのは、当該事案についてYES、NOの意見を表明することができる者だけであり、単に周知や情報提供をしなければならない人は含みません。
協議先に加えるのは本当に決定に必要な者だけとし、不必要な協議先は増やさないようにします。
また、協議を受けた部課は、速やかに判断を行います。

 

イ 協議の省略
本来協議が必要な者、つまり当該事案についてYES、NOの意見が表明できる者であっても、正式な起案の前に事前協議を行っている場合には、起案の手続の中では協議を省略することができます。
その場合には、起案文書に協議済みである旨を記載するとともに、必要に応じて、当該事前協議者に決定後通知を送付します。
また、単に情報提供を目的とする場合には、協議は省略しなければなりません。
この場合には、決定後通知や写しの配布など適切な手段によって周知してください。
情報提供だけで足りるにもかかわらず、協議者として加えてしまうと、本来の意思決定に時間がかかってしまいます。

 

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決定関与の方式

決定関与は、原則として電子関与方式により行います。
ただし、例外的な場合において書面起案方式により起案した文書については、書面関与方式によることができます。

 

(1) 電子関与方式
文書管理システムを使用して電子決裁を行う場合で、決定関与を必要とするときは、当該事案の決定関与者に起案文書を回付して、文書管理システムによりその関与の記録を残す方式により行います。
この記録により、決定権者に意見を表明したものとなります。

 

(2) 書面関与方式
文書規則等の規定により書面起案方式により作成した起案文書については、起案文書を回付して、決定関与者の署名又は押印を求める方式により行います。
この記録により、決定者に意見を表明したものとなります。

 

決定関与の順番

協議は、主幹の系列における、課長の承認が終わった後に行います。
課内他係の係長の審議が必要な場合は、主管課長の前に行います。
また、決定関与は必ず最終決定者の前に行うことになります。
決定権者の後に他部署の協議を行うようなことは、上記の決定関与の意義から考えてもあり得ません。
文書係による文書審査は、市長および副市長による決定の直前に行います。
一人の職員が複数の職位を兼ねている場合(局長が次長事務取扱になっているような場合)には、重複して決定関与者とする必要はありません。
ただし、同じ職員であっても、明確に別の権限者として承認・決定の記録が必要な特殊な場合もあります。

 

引上げ

引上げとは、決定権者又は決定関与者が、まだ自分に到着していない起案文書について、自ら下位の関与者を後閲にして承認・決定することです。
決定権者又は決定関与者は、当該事案の決定又は決定関与を行うに当たり、時間的余裕がないと認めるときは、当該起案を引き上げ、決定又は決定関与を行うことができます。
引上げを行ったときには、決定関与できなかった決定関与者に対しては、決定後に起案文書を後閲させます。
文書管理システムで引上げを行うと、決定関与できなかった関与者は、自動的に後閲に指定され、決定後通知者となります。
起案者が決定後通知の処理を行なうことにより、後閲となった決定関与者は、浄書後の文書を決定後通知として閲覧できるようになります。

 

決定後通知

(1) 決定後通知とは
決定後通知とは、意思決定は行わないが、その事案に関係のある者に対し、情報提供として決定後の起案文書を見せる行為をいいます。
決定後通知は、決定権者に意見を表明するわけではないので、決定関与ではありません。
意思決定ではなく周知を目的としている場合には、協議ではなく、決定後通知を行います。

 

(2) 決定後通知の効果
決定後通知は、最終決定の後に行います。
あくまで決定後の情報提供であり、意思決定そのものには影響を与えません。
決定後通知者が決定後通知を見ると見ないとにかかわらず、その事案は有効なものとして決定されています。

 

(3) 決定後通知の対象者
ア 起案者が指定する場合
起案者が、起案文書を作成するときに、決定後通知者を指定することができます。
決定後通知の対象者に制限はありません。
情報提供を必要とする者であれば、組織、職位にかかわらず決定後通知者とすることができます。

 

イ 決定関与者が自ら指定する場合
決定関与者が承認・決定を行う際に、「要再回」にチェックし、決定後に再度閲覧したい旨を自ら設定することにより、決定後通知者に指定されます。

 

ウ 代決による決定後通知
緊急の事案につき代決を行ったときは、本来の決定権者は決定後通知者に指定されます。

 

エ 後閲による決定後通知
起案者の指定又は上位関与者の引上げにより後閲になった場合には、後閲となった決定関与者は、決定後通知者に指定されます。

 

(4) 決定後通知の方法
起案者が指定する場合には、回議ルート設定時に、決定関与者区分を「決定後通知者」として、決定者の後に設定します。
決裁終了後、浄書後に、起案者が「決定後通知」の処理を行うことにより、決定後通知が送付されます。
決定後通知は、対象者全員に同報により送付します。

 

文書管理システム等における設定(決定関与者区分)

文書管理システムにおいては、必要な対象者を、承認・決定を行う順番に設定します。
それぞれの対象者について、その人がどのような立場で承認・決定を行うのか、「決定関与者区分」を必ず設定する必要があります。 決定関与者区分には次のような種類があります。
決定者や決定後通知者は定義上は決定関与者ではありませんが、回議ルートの設定においては、その種類は「決定関与者区分」として設定します。

 

(1) 決定者
その事案についての決定権を持つ者で、一つの起案につき必ず1名設定します。
(2) 承認者
その事案についての審議を行う者(主管の系列で、起案者と決定者以外の者)に設定します。
(3) 協議者
その事案についての協議を行うもの(主管の系列以外で、決定に関与する者)に設定します。
(4) 決定後通知者
その事案について、意思決定は行わないが、情報提供を行う必要がある者に設定します。
※ 後閲者
起案の時点で、承認者又は協議者が不在であることが分かっているような場合には、決定関与者区分は「後閲者」を選択したうえで、後閲の指定を行います。

 

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