広報文の書き方|公務員の文章作成方法

広報文の書き方|公務員の文章作成方法

広報文の書き方|公務員の文章作成方法

「公用文作成の考え方」では、「解説・広報等」について、一部公用文の書き方の特例を認めています。
「公用文作成の考え方」で「解説・広報等」とされているものの中には、広報誌のほか、政策パンフレットやホームページなども含まれています。一方、報道発表資料は「記録・公開資料等」にあたり、含まれません。

 

この広報文の書き方について、現状公的に決まったルールはありませんが、ポイントは以下のとおりです。

 

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漢字の使い方

「公用文作成の考え方」では、「解説・広報等」においては、読み手にとって分かりやすい振り仮名や、平仮名表記が認めれています。ただし、国語分科会報告で例示されている以外、その範囲は明らかではありません。
そのため、その範囲は組織ごとにルールを決める必要があります。

 

とはいえ、「常用漢字表」にない漢字や読みを用いることは特例でも認められません。
当て字や熟字訓の使用も同表付表の範囲に限るべきです。

 

広報文では「および」「または」「もしくは」などの接続詞を平仮名で表記することが一般的です。
「ご挨拶」などの接頭辞の「御」も平仮名で書いています。

 

送り仮名の使い方

送り仮名については、「公用文作成の考え方」では、「解説・広報等」においては、送り仮名を省略せずに、学校教育で学んだ表記ができるものとしています。
公用文では、「送り仮名の付け方」通則6の許容を適用していますが、マスコミでは許容は一切適用していません。
広報文では、マスコミ表記に倣う例が多いため、通則6も適用しないべきです。
そのため、広報文では「取扱い」は「取り扱い」、「手続」は手続き」と表記されます。

 

ただし、送り仮名を付けない慣用が固定していると認められる複合語の表記については、マスコミも通則7を適応しているため、公用文同様とします。
そのため、通則7に例示されている「手引」「取組」などはこのまま表記します。

 

数字の使い方

数字については、広報文では、算用数字を用いるのが原則です。
縦書きでも同様で、2桁では半角の算用数字をそのまま用い、3桁以上では数字を縦に並べます。また、西暦等では漢数字を並べることもあります。
一般の公用文では「千」を単位に使用しませんが、広報文では「5万5千人」など切りの良い数字の場合に単位で使用することができます。
また、概数についても漢数字を使用するのが原則ですが、広報文では、読み間違うおそれがないときは、「2、3億」など算用数字を使用することができます。

 

句読点の使い方
広報文では、括弧の中が文であっても、読み間違うおそれがないときは、句点を付けないのが特徴です。
これは箇条書でも同様の扱いをすることがあります。
読点については、公用文と広報文とで同じ使い方をします。
「?」「!」などの符号については、ある程度自由に用いることができますが、乱用は避けます。

 

難しい言葉は使わない

広報文は、一般の人を対象としたものであり、難しい言葉は使わないのが鉄則です。

 

・法令上の専門用語はできるだけ使わない。
・名詞の列挙に用いる「及び」や「又は」はできるだけ使わず、3つ以上の列挙は箇条書にする。
・階層列挙に使う「並びに」「若しくは」は使わない。
・時間の程度を表わす「直ちに」「遅滞なく」「速やかに」は使わない。
・類推を表わす「推定する」「みなす」は使わない。
・接続詞「第一に」「まず」「つぎに」「しかし」「ただし」「なお」「そして」「だから」「いずれにしても」は使わない。
・接続詞「したがって」「なぜならば」「例えば」「つまり」は使える。
・曖昧語「等」「など」「ほか」「その他」「多め」「早め」などはできるだけ使わない。

 

以上のように、広報文は、厳密さよりも分かりやすさを優先します。

 

短く簡潔な文章にする

広報文では、短い文章にすることがポイントです。
一文の論点は一つにし、連用形止めや接続助詞を多用せず、句点「。」で文を短く区切っていくのが良いでしょう。
不要な接続詞を使わず、一つの段落に一つの主張のみを盛り込みます。
必要ないことは思い切って削ることが重要です。

 

広報文では相手の興味を引く必要があるため、最初に重要な結論から書き始め、順次詳しい説明を加えていくことも重要です。
その際、主な変更点、新規性を明確にすることも求められます。

 

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標題(タイトル)について

まずは、標題(タイトル)がとても重要です。
新聞でも本でもそうですが、見出しやタイトルを見て興味がないと判断されると、本文まで読んでもらえません。
公用文の通知文の標題が「補正予算案の編成について」だとしたら、広報文では「10億円の景気応援費を含む補正予算案を編成」くらい具体的にしたほうが良いでしょう。
具体的な数字、符号、擬音語、擬態語、サブタイトルを活用するのも効果的です。

 

広報文には、リードと呼ばれる要約文が付く場合があります。
新聞でも一面記事を読むとリードが付いているのが分かります。
リードでは、その記事の要約、いつどこで誰が何をどうしたということが簡単に記されます。
通常1文から3文までぐらいに要約しますが、後の本文と記述が重複しないようにします。

 

本文について

本文は、まず施策の主要な内容から書いていきます。
その後、施策を実施するに至った背景や理由について説明していきます。
施策の期待される効果や影響、新規性についても説明することが大切です。
そして、最後に補足的なことや手続的なことを付け加えます。

 

長い文章になるときは、見出しを活用します。
見出しは、長くてもいいので、それを眺めれば文章の趣旨が分かるものが理想です。

 

文章自体は、5W1Hを基本に書きます。
「いつ、どこで、誰が、何を、どうした」が基本の型になります。

 

広報文への書き換え例

通知文を広報文に書き換えると、例えば以下のようになります。
通知文と比べると、案内文はかなり簡易的にすることができます。

 

通知文の例

  拠点校部活動への入部希望者の募集について(お知らせ)

 

 猛暑の候、保護者の皆様には、ますますご健勝のことと存じます。平素は、本校教育活動にご理解、御協力を賜り、誠にありがとうございます。
 さて、○○市では、平成○年度から部活動振興事業の一環として、在籍する中学校で希望する部活動が行われていない場合は、○○市が指定する拠点校において、希望する部活動へ入部できることとされています。
 本年度も、拠点校を指定したので、現在運動部に所属していない生徒を対象に入部希望生徒を募集することとします。
 なお、詳細については、後日、入部希望生徒と保護者の方を対象とした説明会でお知らせしますので、説明会に参加希望の方は、下記の「説明会参加希望申込書」に必要事項を記入の上、8月31日(金)までに各担任へ提出願います。
 後日、希望される方には説明会の日時をお知らせします。
 ※ 該当する種目は、バレーボール(男)、ソフトボール(女)、バスケットボール(女)、剣道(男女)及び柔道(女)です。

 

案内文の例

  拠点校部活動への入部希望者の募集

 

 ○○市が指定する拠点校で実施する「拠点校部活動」への入部希望者を募集します。どうかふるって応募してください。現在運動部に所属していない生徒に限ります。応募できる種目は、次のとおりです。
 ・バレーボール(男)
 ・ソフトボール(女)
 ・バスケットボール(女)
 ・剣道(男女)
 ・柔道(女)
 詳細については、入部希望者と保護者を対象とした説明会でお知らせします。参加希望の方は、「説明会参加申込書」に必要事項を記入し、8月31日(金)までに各担任へ提出してください。後日、説明会の日時を連絡します。

 

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