市長宛の宛名の敬称は様?殿?|官公庁公文書の手紙の宛名の書き方

市長宛の宛名の敬称は様?殿?|官公庁公文書の手紙の宛名の書き方

市長宛の宛名の敬称は様?殿?|官公庁公文書の手紙の宛名の書き方

 

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「敬称」とは、人名や官職名の下に付けてその人への敬意を表す語や相手や相手方の事物を呼ぶときに敬意を表す言い方いいます。

 

公用文の敬称の基本

官公庁で用いる公用文の宛名(受信者名)に付ける敬称は基本的に以下のとおりです。
①官庁・会社などの団体・組織名・・・「御中」

例 ○○市総務部総務課御中 ○○株式会社御中

 

②職名のみの場合・個人名を付けた職名の場合・・・「殿」「様」
この場合は、統一されたルールはなく、市区町村によっては全て「様」で統一しているところもあります。
また、同等の組織同士では「殿」を使い、外部の異種の団体・組織には「様」を使うというところもあります。ここは行政団体の原則によります。

例 ○○県人事局長殿  鈴木事務局長様

 

③多人数宛て(同文)の場合・・・「各位」
「各位」はこれだけで敬称のため、「各位様」「各位殿」は誤った表現です。

例 ○○委員会委員各位  懇談会参加者各位

 

④個人名(氏名をかいたとき)の場合・・・「様」「先生」
この場合、ほとんどが「様」で統一されています。
「先生」という敬称は、特別な場合に「真に先生」であるときに限って使わないと失礼にあたるので注意します。

例 田中 太郎様  田中 花子先生

 

敬称(様・殿)の使い分け方

官公庁で用いる公用文に使う敬称は、原則として次のようにします。
その他、法令等で様式を定めている場合には、それに従います。

 

住民に対する文書

すべての文書に「様」を使います。
許可書、命令書にも「様」を付けます。
会社などの私法人も一般住民と同等なので、「様」を使います。

 

国、地方公共団体その他の公法人(公社・公団など)、議会、行政委員会、監査委員、付属機関の長、議員、委員に対する文書

原則は「殿」を使います。
例外として行事の招待状と案内状には「様」を使います。
招待状と案内状は、住民に対しても出す場合が多く、敬称を住民と区別することは難しいので、「様」を使います。

 

表彰状、感謝状、賞状

敬称をつける場合は、すべて「殿」を使います。
ただし、小・中学生には「君」(男子)や「さん」(女子)を使います。

 

付属機関の委員その他に対する委嘱状

「様」を使います(市議会議員と官公署職員に委嘱する場合を含みます。)。

 

対内文書

「殿」を使います。

 

市側が受信者となる文書

外部から市長に対する文書(申請書・届出書等)の様式を、市側が用意する場合は、規則等に定める各様式によるほか、原則として「殿」を使います。

 

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宛名の書き方

官公庁で用いる公用文における宛名は、権利や義務に関わることが多いので、その表記については十分注意するようにします。

 

宛名の書き方の基本

宛名の書き方については、次のような一般原則があります。

 

① 往復文書などの一般文書では、宛先が個人の場合その氏名、団体の場合はその団体の長の職・氏名を書きます。ただし、官公庁間の往復文書で補助期間宛ての場合は、その職名だけを書きます。
② 宛名と発信者名は対照的にします。発信者名が職・氏名のときは、宛名も職・氏名を書きます。
③ 同一内容の文書を同種の機関・団体の全部に宛てる場合は、「各○○長殿」「各自治会長様」「○○委員会委員各位」などとします。

 

宛名を書く位置

宛名は、用紙の左半分にバランスよく収まるように書きます。
1行で表示しても2行で表示してもかまいませんが、2行書きする場合には、上段に「職名」下段に「氏名」を表示するようにします。
具体的な通知文や依頼文などの文例とレイアウトは「公文書の作成例」も参照してください。

 

ただし、行政委員会、付属機関などの長は、2行で書くようにします。
その場合は、行政委員会や付属機関の名称を1段目、職名と氏名を2段目に表示します。

 

対内文書の宛名の書き方

①職名と氏名
市長、副市長は氏名を省略し、職名だけを書くことができます。
部長以下は、氏名を省略し、職名のみを書きます。

 

市長宛の例(対内文書)

○○市長

 

○○市長 対 内 太 郎

 

○○市長
 対 内 太 郎

 

部長以下宛の例(対内文書)

○ ○ 部 長

 

○ ○ 課 長
(※ 他に同じ職名の課長がいるときは、○○部○○課長とします。)

 

行政委員会、付属機関などの長の例(対内文書)

○○市○○委員会
   委員長 対 内 太 郎

 

○○市○○審議会
   会長 対 内 太 郎

 

②事務取扱を置く場合
事務取扱を置く場合であっても、氏名を省略するときには、本来の権限者の職名だけを表記します。

 

総務部長事務取扱副市長
      対 内 太 郎

 

総 務 部 長
(※氏名を省略する場合)

 

③同じ内容の文書を複数の宛名に出す場合
各部長、各課長などに同じ内容の文書を出すときには、宛名を「各部長殿」などとすることができます。 宛名と、それに該当する職は次のようになります。
この宛名は、該当する職のすべてに文書を出さない場合にも使用することができます。
例えば、保育園には文書を出さない場合でも「各事務事業所の長」としてかまいません。
「所属長殿」という表現は、文書を受け取った方で誰にあてたものか判断に困るので使いません。

 

宛名 該当する職
各部長 部長、保健所長、教育委員会事務局次長、議会事務局長
各課長 市長部局の課長、会計室長、教育委員会事務局の課長と室長、監査委員事務局長、選挙管理委員会事務局長、市議会事務局次長

各事務事業所の長
(課長級)

事務所長、福祉事務所長、図書館長、教育研究所長 その他課長級の事務事業所の長

各事務事業所の長
(係長級)

消費者センター所長、保育園長、その他係長級の事務事業所の長
各学校(園)長 中学校の校長、小学校の校長、幼稚園の園長

 

上記の表により、各課長等に同じ文書を出すときの宛名の例を示すと、次のようになります。
ア 市の基本施策についての通知文書を出す場合
(市長部局の部長と、各部局の長あてに出します。)

教育長、各部長、会計室長、
監査委員事務局長、
選挙管理委員会事務局長 殿

 

イ 部単位の調査についての依頼文書を出す場合
(市長部局の部長と、各部局における部長級の職あてに出します。)

各部長、会計室長、
監査委員事務局長、
選挙管理委員会事務局長 殿

 

ウ 課単位(事務事業所含む。)に通知文書を出す場合

各課長、
各事務事業所の長(課長級) 殿

 

エ 課単位とすべての事務事業所に通知文書を出す場合

各課長、
各事務事業所の長 殿

 

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対外文書の宛名の書き方

知事や市長宛などといった対外文書の宛名は、氏名を省略して職名だけを表示することができます。

 

知事宛の例(対外文書)

○○県知事 対 外 一 郎 殿

 

○○県知事 殿

 

○○県知事
 対 外 一 郎 殿

 

局長宛の例(対外文書)

○○県○○局長 対 外 一 郎 殿

 

○○県○○局長 殿

 

○○県○○局長
 田 中 一 郎 殿

 

企業宛の例(対外文書)

○○産業株式会社
代表取締役 対 外 一 郎 様

 

市長宛の例(対外文書)

○○県○○市長
 対 外 一 郎 殿

 

○○県○○市長 対 外 一 郎 殿

 

○○県○○市長 殿

 

団体や人を指す言葉

官公庁で用いる公用文で自分の団体や相手の団体、相手の人をどう呼べばいいか迷うことがありますが、ルールはおおよそ次のとおりです。

自分の役所の場合

省ならば「当省」又は「○○省」。
県ならば「当県」又は「○○県」。
市ならば「当市」又は「○○市」を用います。
「本省」「本県」「本市」は、対外的には用いないのが一般的です。
なお、自身を指して「当職」とするのは、堅苦しい印象があるので避けます。

 

相手の団体

「貴省」「貴県」「貴市」などと「貴」を付けるのが一般的です。

 

相手の人

「あなた」と平仮名で書くのが一般的です。
なお、相手が公務員のときは、「貴職」とするのが適当な場合もあります。

 

発信者名の書き方

発信者名の書き方の基本

官公庁で用いる公用文の発信者名の書き方には、次のような一般原則があります。
① 発信者名を職名のみとするか、職名と氏名を併記するかは、その団体の取決めによりますが、併記する場合は2行にします。
② 自治体の対外文書の発信者名は、原則その自治体の長名を用います(行政委員会の固有の権限に基づく文書を除く)。
③ 公印は、発信者名の最後の1字に半分掛けて押します。発信者名の位置は公印の大きさによって決めます(公印の右端が他の項目の右側と揃うことが望ましい)。

 

発信者名を書く位置

発信者名は、用紙の右半分にバランスよく収まるように書きます。
宛名同様、1行で表示しても2行で表示してもかまいませんが、2行で表示する場合には、上段に「職名」下段に「氏名」を表示するようにします。

 

また、公印を押す場合は、公印の右端を日付や本文の右端とそろえるために、職氏名や職名は公印の幅(3字分)だけ左に寄せます。
公印を押さない場合は、職名の最後の文字を、日付や本文の右端とそろえます。
※公印の使用方法については「公印の使い方」も参照してください。

 

対内文書の発信者名の書き方

市長、副市長は、職氏名を書きます。
部長以下は、氏名を省略し、職名のみ書きます。
職務代理者を置く場合には職務代理であることを明示します。
事務取扱者を置く場合は、氏名を表示する場合には、事務取扱である旨を明示します。
氏名を表示しない場合には、本来の権限者の職名だけを書きます。

 

市長の例(対内文書・発信者)

○○市長

 

○○市長 対 内 太 郎

 

○○市長
 対 内 太 郎

 

副市長の例(対内文書・発信者)

市長職務代理者 副市長 対 内 太 郎

 

市長職務代理者 副市長
 対 内 太 郎

 

部長以下の例(対内文書・発信者)

○ ○ 部 長

 

○ ○ 課 長
(※ 他に同じ職名の課長がいるときは、○○部○○課長とします。)

 

その他の例(対内文書・発信者)

○○市○○委員会
   委員長 対 内 太 郎

 

○○市○○審議会
   会長 対 内 太 郎

 

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対外文書の発信者名の書き方

対外文書は、原則として市長名で出します(保健所、福祉事務所、行政委員会等独立した機関として文書を発するときは、その長の名で出します。)
ただし、行政文書の性質又は内容により特に必要がある場合は、副市長名若しくは部長名又は市名を用いることができます。
また、一般照復文書、対内文書その他の発信者は、その事案の軽重により部長名又は課長名を用いることができます。
たとえば、回答文書等では、部長名、課長名などで出すこともあります。
この場合は、原則としては受信者の職名の「格」を合わせた発信者名とします。
対外文書の場合は、すべて氏名は省略しないで、職氏名を書きます。

 

市長の例(対外文書・発信者)

○○市長 対 外 太 郎

 

○○市長
 対 外 太 郎

 

部長の例(対外文書・発信者)

○○市○○部長 対 外 太 郎

 

○○市○○部長
 対 外 太 郎

 

課長の例(対外文書・発信者)

○○市○○部○○課長 対 外 太 郎

 

○○市○○部○○課長
 対 外 太 郎

 

その他の例(対外文書・発信者)

○○市○○部○○課長事務取扱
○○部参事 対 外 太 郎

 

○○市立○○小学校長
対 外 太 郎

 

決定権者と発信者名

対外文書は、原則として市長名で出しますが、事案の決定権者と、文書の発信者は異なります。
たとえば部長専決事案であっても、市長名で文書を発することがあります。
補助執行(専決)は、内部的に長の職務の執行を補助して行うことです。
対外的には長の名で執行され、長が自ら行ったのと同じ効果を持ちますので、部長専決の事案について市長名で文書を発しても何ら間違いではありません。※専決については、こちらの「3 決定権限の委任方式 」を参照してください。
内部的にその事案の決定権を市長以外の者が持つとしても、必ずしもその決定権者が発信者となるわけではなく、対外的には原則として市長名で発信するので注意してください。

 

まとめ

・「様」を使う相手・・・住民
・「様」を使う文書・・・付属機関の委員その他に対する委嘱状
・「殿」を使う相手・・・国、地方公共団体その他の公法人(公社・公団など)、議会、行政委員会、監査委員、付属機関の長、議員、委員
・「殿」を使う文書・・・対内文書、表彰状、感謝状、賞状

 

宛名の書き方
対外文書の宛名の書き方・・・宛名は左上に記載。知事や市長宛の宛名は氏名を省略可(例:○○市長 殿)。1行で表示しても2行で表示しても可。
対内文書の宛名の書き方・・・宛名は左上に記載。知事や市長宛の宛名は氏名を省略可。部長以下は、氏名を省略し、職名のみを書く。1行で表示しても2行で表示しても可。

 

発信者の書き方
対外文書の発信者の書き方・・・発信者は右上に記載。対外文書は、原則として市長名。一般照復文書、対内文書その他の発信者は、その事案の軽重により部長名又は課長名を用いることも可。対外文書の場合は、すべて氏名は省略しないで、職氏名を書く。1行で表示しても2行で表示しても可。
対内文書の発信者の書き方・・・発信者は右上に記載。市長、副市長は、職氏名を書く。部長以下は、氏名を省略し、職名のみ書く。1行で表示しても2行で表示しても可。

 

 

 

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