「おそれ、恐れ」「とおり、通り」「いただく、頂く」の使い分け方|公用文漢字

「おそれ、恐れ」「とおり、通り」「いただく、頂く」の使い分け方|公用文漢字

「おそれ、恐れ」「とおり、通り」「いただく、頂く」の使い分け方|公用文漢字

 

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「おそれ」「とおり」「いただく」は用法に注意が必要で、公用文においては用語の意味によって漢字とひらがなを下記のように使い分けます。

 

「おそれ」の使い分け方

おそれ・・・「懸念」という意味で用いるとき
恐れ・・・「恐怖」という意味で用いるとき

 

「とおり」の使い分け方

とおり・・・「次のとおり」のような用法のとき
通り・・・「2通り、3通り」「バス通り」のような用法のとき

 

「いただく」の使い分け方

いただく・・・「~(し)ていただく」のような用法のとき
頂く・・・「物をもらう」という意味で用いるとき

 

理屈抜きで上記のとおり覚えてしまうのがシンプルですが、理由は下記のとおり別々です。

 

「おそれ」「恐れ」の違い

懸念という意味の「おそれ」は、元々は「虞(おそれ)」と書いていました。
「虞(おそれ)」は常用漢字ですが、公用文では使用しないルールとなっています。
マスコミでは懸念の意味でも「恐れ」を使用していますが、公用文では認められません。

 

犯罪を犯すおそれがあることを「虞犯」といい、そのような少年を「虞犯少年」と呼んでいましたが、現在ではほぼ用いられることもなく、古い法令で見かけるくらいの語句となりました。

 

「とおり」「通り」の違い

「とおり」は、「次のとおり」のような用法で、「同様である」という意味のときは「形式名詞」なのでひらがなで書きます。
「2通り」「○○通り」のような名詞、複合名詞の場合は漢字で書きます。

 

 

「いただく」「頂く」の違い

「~(し)ていただく」は、補助動詞なのでひらがなで書きます。
単に「お菓子を頂く」のような、単独の動詞の場合は漢字で書きます。

 

同じ理由で、「~(し)てください」(×下さい)、「~(し)てかまわない」(×構わない)、「~(し)てまいります」(×参ります)、「~(し)てほしい」(×欲しい)、「~(し)かねる」(兼ねる)は全て漢字ではなくひらがなで書きます。
「~(し)て」が付く補助動詞はひらがなで、単独の動詞は漢字で書くと覚えておきましょう。

 

その他、漢字ひらがなを使い分ける語句

「めぐる」と「巡る」の使い分け

「~をめぐる課題」のような「まつわる」という意味では、かつて「繞る」の漢字が使用されていました。
現在では使用しない漢字のため、「まつわる」の意味ではひらがなで「めぐる」を使います。
一方の「周囲を巡る」「季節は巡る」のような「まわる」の意味で、かつて「廻る」の漢字が使用されていた表現は漢字で書きます。

 

「さきに」と「先に」の使い分け

「さきに」は、他と比べて時間的前後関係を表すときは「先に」と漢字で書きます。
「これまでに」「以前に」という意味においては、「さきに」とひらがなで書きます。

 

会議室へは、上司よりも私が先に到着した。
さきに審議会の答申があった件については、現在検討中である。

 

※その他、公用文においての漢字とひらがなの使い分け方については、「など、等」「ため、為」「さらに、更に」など漢字とひらがなの使い分け方|公用文漢字もご参照ください。

 

 

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