公文書の書き方とレイアウト|依頼文、通知文などの文例と書式
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公用文の書式については、一般的にその種類ごとに訓令形式の公文例規程などで定められますが、法令で規定されている場合はその書式によらなければなりません。
「要式行為」といい、法令に規定された書式を守らないと、無効になる場合もあるので注意します。
照会、回答、通知文などのために用いる往復文書の書式については公式の規格はありませんが、以下では一般的に用いられる書式をご紹介します。
公文書の文例・レイアウト
公文書をその機能と形式から分類すると、おおむね次のようになります。
↓クリックしていただくと、それぞれの文例・レイアウトに飛びます。
(1) 照会文
(2) 依頼文
(3) 協議文
(4) 回答文
(5) 報告文
(6) 通知文
(7) 通達文
(8) 申請文
(9) 進達文
(10) 諮問文
(11) 指令文
ア 許可書・認可書
イ 補助金交付
ウ 命令
エ 免除
オ 戒告書
(12) 契約文
(13) 証明文
(14) 表彰文
(15) 起案文
(16) 告示文
(17) 不定形文
ア 書簡
イ 電子メール
公文書の書き方の基本(依頼文の例)
※○は文字、□は空白(スペース)
文書番号○号
令和○年○月○日
□○○総務部長
□○ ○ ○ ○ 殿
○○市総務部長
○○ ○○
○○○○○○○○○○○について(依頼)
□事務上の参考としたいので、下記の事項について、○月○日までに御回答ください。
記
1□照会内容
□□○○○○・・・・
2□回答方法
□□○○○○・・・・
---------------------(中略)---------------------
○○市○○部○○課○○係
担当:○○
電話:XX(XXXX)XXXX
e-mail:XXXX@city.jp
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文書記号・番号
施行がある公文書は、必ず送付(施行)記号と番号を右上に表示します。
送付(施行)番号を取得するまでもない簡易な庁内文書については、文書番号は表示しません。
この場所に起案番号やファイル番号等、送付(施行)以外の記号・番号を表示することもありません。
単に日付のみとします。
文書記号・番号についての詳細は、文書記号・番号とは?を参照。
日付
日付は、右上の文書記号・番号の下部に、最初と最後の文字を合わせて表示します。
日付は、文書を発送する日、相手方に交付する文書は交付する日を書きます。
その事案の決定日とは、必ずしも一致しません。
また、日付は、原則として西暦ではなく元号で表示します。
詳細は、公用文における日付、時刻、時間の書き方を参照。
あて先
あて先は、2字目から書き出して、用紙の左半分に収まるようにします。
あて先と敬称との間はバランスよく空けるようにします。
詳細は、公文書の宛名・発信者の書き方を参照。
発信者名
発信者名は、公印部分の余白を残し、右半分に収まるように表示します。
公印は、発信者名の最後の文字に半分かけます。
また、公印の印影は、文書の右端からはみ出ないようにします。
公印を省略する場合は、右端に合わせて表示します。
対外文書の発信者名は、原則として首長名を書きます。
ただし、委任された事務や代理する事務の文書の発信者名は、受任者の職名、氏名・代理者名を書きます。
詳細は、公文書の宛名・発信者の書き方を参照。
件名
件名は、なるべく短く、しかも文書の内容が的確に把握できるような表現を工夫します。
件名は、全体が中央に収まるようにします。
2行以上になる場合には、おおむね3字以上空けて書き出し、各行の最初の文字をそろえます。
件名の末尾には、例えば、(通知)、(照会)のように、その文書がどういう性質のものであるかを、括弧書きします。
本文と記書き
本文は、件名の下に最初の1字分を空けて書き始めます。
また、新たな段落の書き出しも1字分空けます。
対外文書の場合は、本文の書き出しには、必要に応じて時候のあいさつなどを書きます。
※対内文書の場合は時候のあいさつなど儀礼的な文章は書きません。
内容が複雑になる場合は、本文には趣旨だけを書き、記書きに具体的、最目的内容を箇条書きにします。
「記」という文字は、中央に書きます。もちろん、内容が簡単な場合は、記書きの形式にする必要はありません。
連絡先等
送付の発生する文書には、相手先へのマナーとして、事務担当者の連絡先や問い合わせ先を文書の末尾の右半分の位置に書きます。
記載する内容については特に定めはありませんが、通常は担当部課、電話番号、担当者名、メールアドレス等を、文書の性質に応じて記載します。
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公文書作成にあたっての注意点
①誰から誰あての文書であるかを考える
文書は担当者から発するのではなく、発信の名義人から発するものです。
文面における主語・述語や言い回しについては、その点を考慮する必要があります。
例えば、上級の職員から下級の職員に通達を行うのに、必要以上に敬語を使うのは不自然です。
文章を作成したら、誰から誰に対して発している文章なのかを再度確認しましょう。
②事実を明確に述べる
公文書は「手紙」ではありません。
余計な修飾語句は省き、事実を明確に述べる必要があります。
特に、権利義務関係を発生させるような通知文書等については、記載内容がその後の権利義務関係に大きな影響を与えます。
内容があいまいにならないよう、十分注意が必要です。
起案文の必要項目、作成時の注意点
起案とは、行政の事務事業を遂行するうえで必要とされる意思決定の内容を文書の形式にまとめあげる事務、つまり決定案を作成することをいいます。そして、決定案を記載した文書を起案文書といいます。
起案を行うのは、組織における意思決定の記録を明確な共通のルールに従って残すことで、事務事業の効率性、円滑性を保つとともに、対外的な説明責任を果たすためです。
また、行政の行った行為について疑義が生じたときに、その行為の決定についての証拠ともなります。
この機能を果たすためには、起案はその内容だけでなく、その形式が適法、つまりルールに従ったものである必要があります。
また、起案文は、基本的に次の①~⑥要素からなります。
①属性情報
件名、起案日、決裁区分など、文書の情報として必要な部分
②起案伺い文
どのような処理(「実施」「通知」「回答」など)の決定について判断を仰ぐのかを記入する部分
③起案本文
決定の基幹となる部分。決定し、実施すべき内容、理由、目的、対象、根拠法令、従来の経過、処理方針、必要経費など
④送付文書(施行文書)
送付(施行)を伴う起案の場合に、相手方に送付するあて先や送付番号の付いた送付鑑文書
⑤添付文書
意思決定を行うために必要な内容のうち、起案本文に書くことができない細かな内容を別紙とした場合の別紙部分
⑥関連文書
意思決定に直接必要なわけではないが、意思決定をするに当たって参考とする文書等
起案文の作成例
ここでは庁内向けに説明会を開催する場合において、その開催及び会場使用料の支払いについて決定し、庁内に開催通知を送付する場合の起案文書の文例を示します。
件名:「文書事務説明会の開催について」
起案伺い文:「文書事務説明会を次のとおり実施してよろしいですか。」
起案本文:
1 目的 適正な文書管理の必要性についての理解を深め、市の情報管理を適正化するため
2 日時 令和6年4月1日(月)14時から15時
3 会場 研修室
4 対象者 各係文書担当者200名(別紙1名簿のとおり)
5 次第 別紙2次第のとおり
6 通知 別紙3各課長あて通知文書を、各課庶務担当係に送付します。
7 会場使用料の支払い
(1) 支出額 15,600円
(2) 支出科 令和6年度 市一般会計 総務費
(3) 内訳 施設使用料12,200円、付帯設備2,900円(プロジェクター1,500円、拡声装置500円、マイク(有線)300円*2、マイク(無線)300円)
(4) 支払方法 会計事務規則第○条の規定により前金払いとします。
起案作成の詳細については、公文書の起案方法を参照。
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